無知の涙

おじさんの独り言

自転しながら公転する

2021年02月05日 | 小説

先週木曜日の5時に夢中で中瀬親方が絶賛していたので買ってみました。

都という32歳の女性を主軸に、身の回りで起こる様々な出来事にスポットを当て展開してゆくストーリー。

更年期障害を患った母の世話をするために東京暮らしをやめ、茨城の実家に戻り、近くのショッピングモールで働き始めた都。

そこで貫一という男性と知り合い、付き合いはじめるが、中卒で元ヤンで読書家で今は回転寿司で働く寿司職人という彼に少なからずの不安を感じていた。

仕事に恋、親の世話、確実に年を取りつつある自分、そして結婚。

どれも答えがでず解決もしない。自分を中心に物事が回っているのではない。

現実的な数々の問題の周りを自分がただ巡っているだけ。自転しながら公転を続けてゆく地球のように。

それでも答えにありつかんとあがき続け、彼女が最後に手を伸ばしたもの。

それが幸せかどうかの答えは明確にはでていないし、何が正解かなんて死ぬまでわからないが、最後の都の言葉がすべてを物語っていると思いました。

 

なかなか面白かったけど、女性が読んだほうがいろいろ共感できるような気がしました。

個人的には寛一の視点でこの物語を追ってみたい気分でした。あのとき寛一はなにを考えてのだろうとか、都のあの言動にどう思っていたのだろうとか、都の父親に対してどう思ったのだろうとか、気になります。

 

 

 

 


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