カラオケ大好きHさんに負けず劣らず僕もカラオケ好きです。
というより歌うのが好きです。
残念なコトに下手です。
音程というモノが、まるで取れません。
一つくらい取り柄があっても良いような気がしますが・・・。
先天的に定められる能力というのがイロイロありますが、生まれる前に一つだけ選べるとしたら、絶対に歌唱力を選びます。
でもホントに恥ずかしい限りですが、高1くらいまで自分で歌が上手いと思っていました。
ギターを格安で譲ってもらった時に、もちろんアンプも譲ってもらったのですが、マイクをそのアンプにつないでBOФWY歌ってましたから。
は…恥ずかしいなぁ。
アネキに『ヘタクソなんだから、あんま大音量で歌うんじゃねぇ!!』と叱咤されましたが、俺の歌唱力に嫉妬しやがって!と思ってました。
アネキの言ってるコトが、決して僕の才能に嫉妬してのコトではないのに気付いたのは、高1の時にカラオケ行った時です。
友達からハッキリとヘタクソと言われました。
足元がガラガラ音を立てて崩れてゆくような、あの感じはなかなか経験し難いものです。あまりしたくないけど。
しばらくはショック過ぎて歌えませんでした。
バンドやり始めて、めまぐるしく自分の音楽性が変動してゆく中で、様々な音楽に触れてるうちに自然とまた歌うようになりました。
心から良いと思う曲は、やはり自分で歌いたいですもん。
その代わりだいぶ練習しました。
でも才能って限界あります。どんなに努力しても、限界のレベルというものがどうしてもあります。
それでもアキラメられませんでした。
上手いボーカルの人や、周囲にいる上手い人を研究しました。
高い声で歌うことが、上手く歌う秘訣なのではないだろうか?
と僕は思い始めました。
そして自分の声を録音してみましたが、僕の声ってかなり低いのが判明。
いきなり低い声の人が高い声になれるワケないので、普段の発声から高くしようと思いました。
最初は苦労しましたが、仕事で人と話すときや、友達と話すときとか意識して高い声を出すようにしました。留守番電話に吹き込む声だって高くしました。
数年の努力の結果、ちょっとだけ高くなりました。
おかげで思わぬ苦労をしたこともありました。
やはり高めの声というのは、聞く人に優しそうな印象を与えるらしく、
電話だけで話していると、
なんだか僕が優しい人ような先入観を与えてしまうのです。
バイトの面接とか大変でしたね。
電話で面接希望し、それから実際に会うと、だいたい相手が「あれ?」という反応を見せます(-_-;)
「声は優しそうなんですけどね」とバイトの後輩が口を滑らせたりしました。
一番困ったのが、前の職場です。
大阪の取引先があって、とうぜん普段のやりとりは電話です(まだパソコンというものが一般的ではありませんでした)。
1年もするとその会社の方々とだいぶ仲良くなったのですが、
いつの頃からか僕が電話すると、
「おーい、○○ちゃん、○○社のキムタクやでぇ!」
というような言葉(僕とやりとりしてたのは女性だったのです)。
ちょっ、おいおい!
しかもそれを聞いた女性陣から黄色い歓声が飛び交うのが電話越しに聞こえ来る始末。
今書いてるだけで冷や汗かいてきますが、当時は本当に寒くなりました。
僕は取り返しのつかないことをしているのではないだろうか・・・?と。
お願いだから保留押して!状態です。
今はもう気にしなくなりましたが、確かに当時はかなっり意識して声だしてました。それにしても思わぬ効果です。
まぁお客さんから人気あるのは僕としても有難いことでしたので、そのままにしていたのですが、
あるとき、その担当女性から、「来週うちの社の女性だけで東京行くんですけど、ぜひお会いしたいです」というような問題発言が飛び出しました。
僕の目も飛び出しました。
マーズーイってぇぇぇぇぇぇ!!
キティさんの着ぐるみから変なオッサンが這い出てきたくらいのショックを与えるでしょう。
今そこにある危機発生。
「え?えー、ヘェ~。で、でも来週はお爺ちゃんの葬式があるから、ちょっと無理ですね~」
やっちまいました。
社会人の禁じ手「勝手に身内殺し」
来週葬式があるから、っていうのも意味が分かりませんが、マジでイッパイイッパイでした。
おじいちゃん、ごめんね。
生まれて初めて不眠症にかかりましたね。2,3日でしたけど。
そんな歌が上手くなりたいだけなのに、思わぬ災難に見舞われたワケですが、
そこまで苦労しても、別に歌が上手くなってるということはありませんでした、これがまた。
少しばかり地声が高くなったって、あまり歌唱力じたいに影響しません。要は音程です。
何年もかけて積み重ねてきたものが、全くの無駄だと分かったときの、あの無駄な落ち込み加減ほど無駄な行為はありませんね。
無駄と3回言ったワケですが、それでも好きな事なので、歌うこと自体は全く苦になりません。
下手の考え休むに似たり、とにかく歌いまくることにしました。
友達と2人でカラオケ行って、15時間近く歌ったこともありました。
昔は無制限というカラオケシステムがあったのです。
寝たりさえしなければ、均一の値段で何時間でも歌ってられるという便利なシステムです。
一人が意識を失うと、もう一人が歌い続け、そいつが意識を失うと、復活したもう一人が歌い続けるという荒行のような状態。
バンドやりながら実に様々な曲を聴きましたので、とにかく歌う曲の数だけは尽きません。
声が涸れてどうにもならなくなると終了。
おかげで声量だけはソコソコついたように思います。
なんとか死ぬまでに「100万人の第九」に参加できるくらいの技量を身につけたいのですが、
今のままでは夢のまた夢で終わりそうです。