無知の涙

おじさんの独り言

ハイスクール落ガキ 「人間そんなもんよ」

2008年09月19日 | 思い出

何故か帰りの道中を、
フテブテ君と連れ添うハメに。


念願の友達が出来たような雰囲気だが、
あまり友達になりたくないヤツ。


フテブテ君はそんな僕の気持ちも知らずに、
自分がこれまでにしてきた武勇伝を語っている。


けっこう遠くの学校に通っていたので、
電車TIMEは恐ろしく長い。


僕は電車の窓を開けて、タバコに火を点ける。


一番前の車両は不良連中がタムロするので、
それを知っている大人たちはほとんど近づかない。
何も知らずに入ってきても、すぐに出てゆく。


車掌がすぐ前にいるが、運転中はまず後ろは見ないし、
駅~駅はゆうに5分以上あるので、
よほどウッカリでもしなければ、まず見つかることはない。


ようやく景色が見慣れた風景に変わってゆき、
ゴールに近づいてきたと安堵したその瞬間、
一組の不良グループが先頭車両に入ってきた。


見慣れない制服だ。
何やらこっちを見てる。


めんどくせーなー、と思いながら、
僕も連中を見る。

すると連中の中の一人がこっちに声をかけてきた。


「○○じゃねーか!」

それはフテブテくんの名前だった。
なんだ友達かよ、と僕は思いフテブテくんを見る。
だが、何やらフテブテくんはバツの悪そうな表情をしてる。


「なんだよ、オマエ、その格好!
 もしかしてデビュー?(高校に入った途端にツッパリだしたヤツを指す)」


は?と僕は思った。
フテブテ君が、この悪魔超人が高校デビュー?


ちょっと戸惑ってると、そいつは僕に話しかけてきた。

「知ってる?コイツ、中学ん時の俺の舎弟。
 一度なんてよ、俺のケリ腹に食らってウンコもらしたんだぜ」


というと、そいつは高らかに笑った。


へー、でもフテブテ君の腰の入ったパンチを見た限りは、
そうは見えないけど。
っつーか、明らかに目の前で馬鹿笑いしてるマヌケ丸出しの男よりは
強いような気がするけど。
世の中って不思議、と僕は思った。


「なに?コイツと友達になったの?」とそいつは僕に言った。


「そうだよ、友達になったんだ」と僕は言った。


消したい過去があり、変えたい自分がいる。
フテブテ君もそう思ってるなら、僕と同じじゃないか、
そう思った。
ベクトルは正反対だとしても。


そうして僕たちは本当の意味で友達になった。


ただ、クラスの人に無闇矢鱈な暴力は今後絶対にしない、
と約束してもらってだけどね。
 


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