夕方、お茶のおけいこに出かける前、
チットは
こんなことを言っていました。
「今日のお菓子は、あれがいいな。
ひとつは道明寺、
もうひとつは、つつじかさつきをかたどった 練り切り。」
やえざくら(八重桜)が咲くころになると、
チットはかならず・ショクハツ(触発)されて、
「道明寺桜餅」を
食べたがります。
・・・・
でも、
おけいこなのに、そんなことばっかり言っててイイの
クリンがきくと、
「お菓子2個食べる楽しみがないとね。
お稽古は心があらたまるんだけど、
お茶の教室って、意外にいろいろ大変でね。」
と
打ち明けました。
チットはつねに、
シシュクする・明治のすきしゃ(数寄者)
ますだどんのう(かんじ:益田鈍翁)の
考え方を
さんこうにしています
どんのうは、
明治時代に大成功した、じつぎょう家
「三井物産」の人です。
そして、日本文化のヒゴ者で
こびじゅつ(古美術)の 目利きでもありました
そのどんのうのモットーは、
『茶是常識』。
「儀礼」が 一人歩きしたり、
お客を困らせるような茶道では、
いけないよ
って
言ってたそうです。
もちろん、テキトーでいいってことではなく、
お手前のけいこは いっぱいして、
おいしいお茶をたてて、
お客さんの立場に立った、
たのしいおもてなしを
目ざしなさいってことでした
<近藤道生「平心庵日記」には、どんのうのこと、たくさんかかれています>
そんな・すてきな
どんのうに、
目をかけられてた・画家のひとり、
「田村彩天」は、
どんのうもあいした、うつくしい日本の
「一瞬の風景」を よく えがきました
春のくれの 今日、
一日 外は雨でした。
まつば(松葉)によりそう
しんりょく(新緑)は、
さいてんや、
どんのうや、
日本人たちが
みんなあいした うるわしい春のワンシーンです
その木にとまる、
長いシマシマ尾っぽの鳥さんに、