高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)水月 昭道光文社このアイテムの詳細を見る |
「無職」という肩書きの人が起こす事件が、最近とても目に付く。
一昨日の荒川沖駅での8人死傷事件、昨日の岡山駅での線路へ突き落とした事件。
今日のニュースだけを見ても、大きな事件が2件もある。
無職が悪いのではないと思うけど、
居場所、とか、生きる場所とか、活躍する場所というのは、
人には、必要なんだと思う。
さて、この本は、博士号を取っても、多くの博士さんたちには、
フリーターの道しか残されていないという現状が書かれている。
大学院に行って、博士の学位をもらうと、普通に順調にいけば、
27歳。
んんん~~~~、たしかに、この年まで学生で、社会経験がないというのは、
一般的な企業では、腰がひけそう。
しかも、高学歴で、カシコイってなると、扱いづらそうにも思えるだろうな~。
この本では、なぜ、最近、博士なのにフリーターが多いのか、
とってもわかりやすく書いてある。
大学の非常勤講師室には、こういう高学歴フリーター(失礼っ!)が
多くいらっしゃったりする。
40代半ばを超えてる(と思われる)女性は、
いまだに大学院に勉強しに通っておられる。
英語の先生も、何が専門なのかよくわからない先生も、
普段何をしておられるのかと尋ねると、
他大学でも非常勤講師をしておられるとのこと。
ようするに、非常勤講師のはしご・・・。
えっ?生活、大変なんじゃ・・・
そういえば、ほとんどの人が、家からお弁当を持って来られている。
非常勤講師の講師料は、残念ながら、とっても低料金。
フツウの授業だと、大学によっても多少差はあるけど、
一コマ数千円~1万円位がフツーかな。
(ホントは、ここにも枠が数段階あって、人や内容によって、
数万円もらえたりもあり・・・)
みなさん、いい年をした方々で、平均でも30歳は軽く超える。
研究員として残るために、授業を受けるワケでもないのに、
院に学費?を払い続け、
学会に所属するのに、年会費を払い続け、
国内・海外で開かれる学会への出席の交通費も自費なので、大変だとか。
非常勤講師なんて、一番にクビ切られる可能性も高い。
なんてったって、そういう人たちが、ワンサカいらっしゃる。
思わず、質問をしてしまった。
「で、みなさんは、そこまでして、何を目指していらっしゃるんですか?」
一様に返ってきたのは、「専任教員(正規雇用の教員)」。
ほ~~~~、そうなんだ・・・。
「競争率、高そうですね」
っていうか、客観的に見ると、どうもそんなポストが、簡単に空きそうには見えない・・・。
特に、研究している人が多い分野なんぞ、空きを待ってる人が、
ワンサカいそうだし。。。
学府の頂点でもある東大院卒の方が、見えないところから飛んできて、
スポっと納まってしまったりすることも、よくあるし。。。
大学が、有名になるために、著名な先生を招聘することも多い。。。
でも、ラッキーにも、空きが出ると、誰かが納まるというのは、間違いなく、
みなさん、そのチャンスをじっと待っていらっしゃる。
非常勤講師のほかに、非正規雇用の教員というと、
大学には、一見、専任教員と見分けがつかない教員が存在する。
いわゆる「ポスドク」(ポストドクトラルフェロー:博士研究員)
と呼ばれていたりする。
年収4~500万くらいはあるし、研究費も100万円くらいは、いただける、
各種保険付き。
でも、いかんせん、任期が、平均3年ほど。
任期が終わると、(終わる前に)次の職場を探しておかなければならない。
これは、この本によると、余っている博士活用の一つの制度らしい。
そうなのか~~。
この2月に、任期が切れた先生の送別会をしたばかりだった。
次の大学が決まっておられたけど、「運がよかったです」って
言っておられたっけ。
知人のご主人は、この研究員だった。
でも奥様が、有名企業にお勤めで、しっかりした年収のある方だったので、
小学生のお子さんもいらっしゃったけど、
奥様に生活を支えられて、自由に好きなだけ学問に打ち込めておられるのが、
ちょっと今風で、ちょっとカッコよくも見えた。
ところが、最近、ご主人もその研究員を辞められ(たぶん任期切れね)
おや?と思っていたら、すぐに株式会社設立のハガキが来た。
新築マンションの管理会社、ご一家は、最上階の数部屋分をワンフロアにした
ペントハウスに。
おおおぉぉぉ~~~~、もともとご主人もお金持ちだったんだぁ・・・。
世の中には、いろんなヒトがいらっしゃる。
「博士」と呼ばれる人たちで、現在、正規雇用にない者(つまりフリーター)の数は、
すでに、1万2000人以上。
一方で、大学院生の数は、戦後最大となり、昨年には26万人を突破した。
らしい。
勉強してきたことの何を、社会でどう活かすのか。
甲子園を目指して、日々野球に打ち込んでいる高校球児たちだって、
ほとんどのコたちは、野球では食っていけない。
甲子園に出場したコたちでも、プロに行けるのは、ほんの少し。
彼等は、高校3年生のときに、いやでも人生の大きなシフトチェンジをすることになる。
特に小さいときから、野球一筋、特待生で進学を繰り返した子達にしてみると
それは、とても大変なことにちがいない。
本人に、少しは時間的余裕をもって、
人生における野球の存在をどう捉えさせておくかが、大事なように思う。
野球だけでなく、どんな部活動でも、勉強でも同じ。
勉強でいい学校に行っても、その先が見えていないと、同じこと。
大学院に入るのは、ほとんどが22歳以上でしょ。
大学院に入院することが、学卒時の目標になってしまってないか。
何をするために、何になるために、誰に貢献するために、どういう生活をするために、
入院という手段を選ぶのか、
目の前だけでなく、もうちょっとだけ先を見て、自分の生きていく方法を
選んだほうが良さそうよね。
この少子化の現代、どう見ても、アカデミックポジションの数は、
院生の数から見ると、とんでもなく少ない。
「専任教員」とはいえ、昔とちがって、
今の大学の先生方は、色々な仕事をしてるよ。
高校を回って、ウチの大学を受験してくださいって、お願いをしに、
授業のない日(つまり休日とか研究日)に、自分の車で担当地域をまわったり。。。
夢を追いかけるのは、とっても素敵なことだけど、
周りを見渡して、柔軟に、世の中の流れに乗って生きることも大事かな。
でも、いつの時代も、ピンチはチャンス!
もしかして、いまが、あなたのビッグチャンスかも!!
さぁ、視点を変えてみよぉ~~!!!
この本には、博士余りのこの時代でも、
うまくシフトチェンジできている人の、「成功談」や、考え方も挙げてあって、
少し、ホッ(^。^)っとできました。