SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

RALPH SHARON 「The Ralph Sharon Trio」

2008年03月07日 | Piano/keyboard

とっておきのピアノトリオだといいたい。
最近のピアノトリオブームに乗って続々と出てくる新譜もいいが、このラルフ・シャロンのベツレヘム盤は地味ながら名作中の名作だと思う。
何がいいかってまずこのリラックスした大人のムードである。
何の気負いもなく淡々と、しかもスインギーにピアノを弾いていく。正に職人芸という言葉が一番ぴったりする人だ。これはブロック・コードと転がるシングルトーンのバランスがやたらといいからではないかと思う。こう弾いてほしいと思った時に、ちゃんとその通りに弾いてくれる。リスナーにとってこれはまったく嬉しいことなのだ。
彼はトニー・ベネットやクリス・コナーといったジャズ・ヴォーカリストの伴奏者として活躍した人だ。
おそらく相手が望むことを察知する能力が自然に備わっているのではないだろうか。
要するに絶妙のタイム感覚の持ち主なのだ。だから伴奏者として重宝がられた人なのだと思う。
但し全く派手さのない人だ。
自分が主役になることを必ずしも「よし」としなかったのではないかと勘ぐりたくなるくらいの人である。もしそうだとしたら彼は私が思っているとおりの人に違いない。

ジャケットはベツレヘムのお抱えカメラマン兼デザイナー、バート・ゴールドブラッドの作品である。
こちらも泣けてくるほどの出来映えだ。
ジャケットの左下に特大の虫眼鏡で見ないと見えないくらいの大きさで、彼(バート・ゴールドブラッド)の名前が刻まれている。こちらも職人芸だ。
ラルフ・シャロンはまるで学校の先生のような眼鏡をかけて、煙草を薄く銜えている。その口元を見つめていると彼の弾く旋律が聞こえてくるようだ。弾いているのはマット・デニスの名作「ANGEL EYES」のような気がしてならない。