SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JACKIE & ROY 「TIME & LOVE」

2008年03月01日 | Vocal

このアルバムの関係者を見ていこう。
制作はクリード・テイラー(CTIレーベル)。
編曲・指揮がドン・セベスキー。
エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー。
主役はジャッキー&ロイ(ジャッキー・ケインとロイ・クラールの夫婦)。
バックには、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにロン・カーター、ドラムスがビリー・コブハム、フルートにヒューバート・ローズ、ピアノはボブ・ジェームス、ギターにジェイ・バーリナー、パーカッションはアイアート・モレイラとフィル・クラウス。
いい意味で、聴く前から中の音がイメージできる。
中でも3曲目の「Summer Song/ Summertime」や4曲目の「Bachianas Brasileiras #5」は、いかにもドン・セベスキーといった味付けがなされている。
彼の手腕が光ったジム・ホールの名作「アランフェス協奏曲」を彷彿とさせるが、そういえばこの「アランフェス協奏曲」にもポール・デスモンドが参加していた。このポール・デスモンドの魅力を最大限に引き上げたのがクリード・テイラーであり、ドン・セベスキーだったのではないだろうか。
私がポール・デスモンドの大ファンになったのもきっと彼らのお陰なのである。
それにしてもデスモンドの吹く爽やかなアルト・サックスと、ジャッキー&ロイの澄んだ歌声が実によく似合っている。3曲目だけの登場がもったいないくらいだ。なぜ全曲にデスモンドを参加させなかったのか、それだけが残念だ。

録音は1972年6月になっており、当時の匂いがプンプンしてくるアルバムだ。これを古くさいと感じる人もいるだろうが、ジャッキー・ケインのスキャットを聴いていると、第1期リターン・トゥ・フォーエバーのフローラ・プリムにも似て心が浄化されていくような気分を味わえる。私なんかはむしろこの時代の音を新鮮な気持ちで楽しめる。
何ともいえない愛しさが感じられるアルバムだと思う。