SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

FREDDIE HUBBARD 「blue spirits」

2008年01月16日 | Trumpet/Cornett

フレディ・ハバードはブルーノートが似合う人だ。
「Open Sesame」がそうだったように、ジャケットのダブルトーンはこの色の組み合わせこそ彼なのだと思う。しかも彼の場合は横顔の大写しが多い。ここに撮影したフランシス・ウルフの鋭い眼力を感じる。
この表情の奥に何が隠されているかは、音を聴けばある程度理解できるかもしれない。
一言でいってしまえば内向性の強い音なのだ。
このある種の寂しさは単純に曲想がブルージーだからという表現で片付けるわけにはいかない。それは彼の人間的な本質から滲み出てくるものだと思いたい。
彼はもともと吹きまくるタイプのトランペッターである。にもかかわらずここではあまり熱っぽさを感じない。
かといってクールに決めているわけでもなさそうだ。
全体の音の流れに身を任せて沸き上がるフレーズを無心に吹いているような気がする。
この音だけを聴くと、彼がフリージャズに走ったのも何となく頷けるのである。

昨日から本格的な冬になった。
窓の外は今朝から細かい雪が絶え間なく降り続いている。こんな日は家でじっくりジャズを聴くのがいい。
アンプのボリュームは10時方向。私は今、かなりの音量でこの「blue spirits」を聴いている。
音が小さいときにはあまり気にも停めなかったビック・ブラックのコンガがやたらと前に出てくる。しかもかなりアグレッシブなリズムである。
それとジェームス・スポルディングのフルートとアルトもなかなか前屈みで強烈だ。
どうやらこのアルバムの深い色は彼ら2人の存在にも大きく影響されているようだ。ここにメロディアスなハバードとジョン・ヘンダーソン、ハロルド・メイバーンらが絡む。構図としてはそんな感じなのだ。
ブルーノート・ファンにはこれもたまらない演奏だろう。