虹色仮面 通信

神出鬼没なオッサンが毎日感じたことを取り留めなく書き連ねます

廃案

2020-11-03 06:26:10 | 社会
1日に投開票された「大阪都構想」の是非を問う(2度目の)住民投票は、僅差で再び廃案となりました。

この是非について、そして政治的な駆け引きについて、この場で論じるつもりはありません。
しかし、大阪の置かれた状況について、個人的に思うところもありますので、今日はその印象や感想を含めて述べてみます(的外れな部分もあるとは思いますが…)

背景には、ここ20年で大きく加速した「東京一極集中」にあると思っています。
東京をはじめとする首都圏はこの20年で、100万人以上の人口増となり、圏内の生産額も上がる一方。
対して、大阪圏は人口も減少傾向にあり、それに伴い経済も下向きな状況が続いてきた。
かつて言われた「東の東京(首都圏)、西の大阪(近畿圏)」のバランスが維持できないほど大きな差が開いてしまった。

これは現代の社会制度や新自由主義のダイナミズムにより、大きな商圏ほど発展し、スケールメリットを見出せなくなる地域は埋もれていく図式が明確になり、西日本を代表する都市である大阪もその流れに抗えないように見えます。
地域性や特徴云々より、数的規模(スケールメリット)が勝ってしまう現代社会。なんとも由々しきことです。

それらの状況(流れ)を見て「このままではいかん!」と、維新はいろんな施策で動き出したのだろうと思っています。
そこに郷土愛の強い大阪の人たちは共感したんだろうとも...。
もちろん(今回の主たる争点だった)行政の各種問題もあるでしょうが、何より大阪の存在感を示したかったんでしょうし、話題にすることで大阪に注目を集めたかったのではなかろうか?
正直、そう思っています。

2度の住民投票により、結果的には意見(思想)の分断を招き、後々面倒になる可能性も含んでいます。
でも、地方行政の在り方を示した部分においては、一定の評価をして良いと思っていますし、現状での課題を炙り出すきっかけになったと思います。
ただ維新という政党は、何事も拙速すぎる傾向があったのと、ここ数年で政治に対する不信(とりわけ国政、政権与党に対して)がかなり強くなったため、変化より現状維持を求めた(とはいえ、ほとんど差がない)というのが、今回の結果だと思います。
また偏った報道を平気な顔して行うマスコミに翻弄された一面もあったと思います。それはそれで極めて残念なことですが…。

今は何より、コロナ対策が第一です。
それ以外はすべて後回しでいいはずです。
それなのに、どうしてこのタイミングで住民投票の判断をしたのでしょうか?
また全体的に議論が深まらなかった気がしてなりません。そこは時間をかけるべきだったと思っています。

大阪はとても魅力的な街であり、しっかりした文化も根付いています。
そして、住民の郷土愛は他の追随を許さないほど素晴らしいものがあります。
ただ根っこの部分は極めて保守的な土地柄(風土)なので、簡単に変われない部分もあるようです。

そこが東京(首都圏)との大きな違いです。
東京は良いものは積極的に取り入れ(る柔軟性)、それを増幅させるパワーが半端ない場所だと感じています。
ここ20年、そのパワーが加速度的に上がっていて、他都市(地域)との差を大きくしたのです。

その背景にあるのは、人の多さが生み出すスケールメリットです。
多様性を容認している風土や地域性もあります。
地域が持つ底力といえるかもしれません。今は何より「それ」がカギなのです。

今のままでは、大阪は(行政面でも経済面でも)より厳しい状態になるだろうと危惧しています。
今後は(必然的に)形を変えていくでしょうが、大阪には東京とは違った部分でいいから競える(意識し合える)存在でいてほしいですね。
ここ30年は、意識する関係性としては「大阪→東京」のみで、その逆はほとんどないと感じます。少しは東京の人たち(社会)が大阪を意識したり、刺激されたりするようになればと思いますね。
このような都市が増えることで、日本全体の底上げ(とくに質の面)が成されればいいですけどね。
それができるのは「東名阪福」だけでしょう。「札」がそこに入らないのは残念ですが…。

余談ながら、スポーツは社会の縮図という人がいます。
言い方を変えると、地域のパワー(人的、経済的など)がそのまま本拠地チームの結果(繁栄)に投影されるという理屈です。 
プロ野球でも、Jリーグでも、上位に居るのは首都圏に本拠を置くチームが目立ちます。
反面、関西圏のチームは…。
これも全くの偶然ではないですね。
スポーツからリードするやり方もあるように思いますけどね。それはまたの機会に。