髪は逆立ち、右手を振り上げ、左足を蹴り上げています。
動きのある異形の金銅仏です。
右足先は欠けています。
東北から出たもので、室町時代のものと思われます。
この金銅仏の正体はいかに。
右手のものが、独鈷杵だとすれば、蔵王権現か金剛力士像。
もし、右手が筆で左手が巻物(これは硯のようにも見える)の場合は、四天王の中の広目天。
正直よくわかりませんが、なんとも親しみがわいてくる、ゆかいな金銅仏です。
(高さ約11センチ)
<追記>
コメントで、このゆかいなブロンズ像の正体が、道教の魁星(かいせい)だということを
教えていただき感謝です。調べてみると、魁星は、北斗七星の先頭の星を神格化したもの。
一番目ということで、中国では科挙の受験者の守り神として信仰されたそうです。
右手に筆、左手に枡を持ち、走る鬼の姿で偶像化されました。
『道教の美術』(2009年三井記念美術館他)には、中国明時代(14世紀)の魁星立像(泉屋博古館)
が掲載されています。日本の道教の尊像は希少です。