ヘラを使ったフォーヴ調の筆致で子供たちを描いていますが、皆表情がなく、暗くて希望のない世界です。
この絵は、1937(昭和12)年3月、日動画廊での個展出品作「子供の裸群」と思われます。
1937年は盧溝橋事件があり、日本の中国に対する本格的な軍事侵略が開始された年です。
「反体制リベラリスト」だった内田巌(1900-1953)は、目的意識をもって暗雲立ち込めるこの時代と空気を描ききっています。
戦後のプロパガンダの絵と比べると深さを感じます。
(板に油33,5×53センチ)
*バブル時代の「立派な額」に入っていますが、額を外して撮影しました。
<売約済みになりました>