ちょっと前だけど、『言葉は京でつづられた。』という本を編集執筆した。
京都モザイクという、軽装なMook本。(青幻舎刊)
遅ればせながらPRしておきます。多分全国の書店でもとめられると思います。
普通の「京都文学散歩」みたいにしたくなくて、ちょっと変わった著者も選んだ。
たとえば、西東三鬼。三鬼といえば、神戸を想起しますが、
京大俳句事件との関連から、きっと京都との関連はあるはずと、調べた。
昔、角川から出ていた、「西東三鬼読本」で、自句自解を見つけて
ある句を、京都でのできごとを材に書かれたことを特定することができ
掲載した。三鬼のことは、まだまだ謎が多い。
昨年、近しい句友、鈴木六林男も亡くなって、もう、真相を語る人が
ほとんどいなくなった。
それから、九鬼周造もとりあげた。九鬼も調べれば調べるほど、深く、
また、一時期、詩を書いていたことを知る。
この仕事で、いろんな作家の文にふれ、とても新鮮に思ったのは、
漱石と子規の絆。漱石などは「京都といえば、大きな赤提灯である」
などと言っている。なぜ、提灯?と考えて
調べてみれば、どうも、子規と来た京の思い出に根差していたことがわかった。
中也と富永太郎とのことは、前々からよく知っていたのでおどろかなかった。
もっともおもしろかったのは、
「黒髪」の作者、近松秋江。めめしき恋情が、むしろ男の男たる強さでもあるなどと
サディスティックな倒錯を感じた。
これを読んだ以後、私小説を撫でるように読みつづけて、
宇野浩二という異彩に、出会う。
「蔵の中」は、スラップスティックで落語的で
悲惨さに、笑えたほど。
「言葉は京でつづられた。」
ぜひ、読んでください。
京都モザイクという、軽装なMook本。(青幻舎刊)
遅ればせながらPRしておきます。多分全国の書店でもとめられると思います。
普通の「京都文学散歩」みたいにしたくなくて、ちょっと変わった著者も選んだ。
たとえば、西東三鬼。三鬼といえば、神戸を想起しますが、
京大俳句事件との関連から、きっと京都との関連はあるはずと、調べた。
昔、角川から出ていた、「西東三鬼読本」で、自句自解を見つけて
ある句を、京都でのできごとを材に書かれたことを特定することができ
掲載した。三鬼のことは、まだまだ謎が多い。
昨年、近しい句友、鈴木六林男も亡くなって、もう、真相を語る人が
ほとんどいなくなった。
それから、九鬼周造もとりあげた。九鬼も調べれば調べるほど、深く、
また、一時期、詩を書いていたことを知る。
この仕事で、いろんな作家の文にふれ、とても新鮮に思ったのは、
漱石と子規の絆。漱石などは「京都といえば、大きな赤提灯である」
などと言っている。なぜ、提灯?と考えて
調べてみれば、どうも、子規と来た京の思い出に根差していたことがわかった。
中也と富永太郎とのことは、前々からよく知っていたのでおどろかなかった。
もっともおもしろかったのは、
「黒髪」の作者、近松秋江。めめしき恋情が、むしろ男の男たる強さでもあるなどと
サディスティックな倒錯を感じた。
これを読んだ以後、私小説を撫でるように読みつづけて、
宇野浩二という異彩に、出会う。
「蔵の中」は、スラップスティックで落語的で
悲惨さに、笑えたほど。
「言葉は京でつづられた。」
ぜひ、読んでください。
「俳愚伝」には京都での留置場生活が書かれていますね。
文庫解説のきく枝夫人の話など読むと三鬼はますます
エタイの知れないところが…
>めめしき恋情が、むしろ男の男たる強さでもあるなどと
鉄幹の「われおの子意気の子…恋の子ああもだえの子」が
思い浮かびました。
その昔、この話を原作にしたNHKのドラマがあったのです。
早坂暁の脚本で、とても面白かった。
ぼくは、まだ高校生のころかなあ、
三鬼の句、
このドラマを見てから興味をもちました。
留置場で、前衛俳句の旗手たちが
あんパンとジャムパンのどちらが偉いか
と真剣に議論していた話は、絶品。