文屋

文にまつわるお話。詩・小説・エッセイ・俳句・コピーライティングまで。そして音楽や映画のことも。京都から発信。

●ブックファーストのフェアが好調で、5月末まで延長に。

2005年04月28日 09時51分45秒 | 日録雑感


京都ブックファーストの京都の詩人フェア「新しい言葉たち」が
5月末まで延長になった。
定価、0円で配っている手作りのリーフレットが好評で
品切れ。

せっせと、遅い遅いプリンターで作らなければならない。



それから、この参加詩人が集う、リーディングイベントですが

ゴールデンウィーク開催のつもりが準備不足で
5月末に行う予定で企画を進めている。

東京からのゲストも交渉中。

ご期待ください。

○沈黙という列車事故

2005年04月27日 23時20分48秒 | 世間批評

ニューヨークの地下鉄なんか、ある日駅に行くと
「NO TRAIN」とくる。唖然とする。
予告はあるのだろうが、ほとんどふいうち。
突然ある路線が運行停止になる。
そのため、10分ぐらい歩いて別の路線を利用しないといけない。
でも、これは、怠惰の結果ではなく努力なんだと今日思った。
たとえば、今回のJRの事故。
駅をオーバーランしてしまったりすると
運転手は、地獄のような刑罰を受けるという。
それがまた、とにかく旧軍隊式の、精神修養のような
矯正教育だったようだ。
心を肉体のように唯物的に苦しめる。
苦しませれば、人は、二度と苦しみを避けるようになるだろうと
いう発想。昔の軍隊で、罰として柱にしがみついて
セミの真似をひたすらやらされる罰に等しい。
屈辱を強いる。
そういう教育体制でしか、ものごとの改善ができなかったことは、
現在の状況だろう。
ニュースを見ていて思ったのだが、このごろのニュース、
肉声には、文字のテロップが流れる。
いまの時代、メールというものが発達して、文字伝達が
音声伝達に比べて、標準化している。
だからこのごろの若い人たちは、音声認識がまるで
幼児か老人のレベルになっている。
人の言うことがまったく聞けない。聞く耳がない。
ということは、同時に、人にものを伝える音声を持たない。
その結果だろうか、教育が人声ではなく、文書に頼る。
反省文、反省文、そして反省文、それから反省文となる。
言葉は、文になると形になる。形しか信用できない
そうした世の中になったのだろう。
今回の運転手の、抑圧は、この数値的な規制にあったと思う。
心からでてくる人声による伝達や対話がなく
まるでロボットのように測られる、能力。
だから、狂ったように、数値にこだわった。
人間の評価や評定がデジタルに記録され
人間の欠点が、その数値から、消去され、殺される。
言い訳ができない世の中になったのだろうね。
とにかく今回の事故、犠牲者や運転手の
あらゆる声が聞こえない。
沈黙の事故だったんだなあと思う。
人は、もっと言い争わなければならない。

そのために、「NO TRAIN」であってもかまわない。



●「スタジオ・ボイス」5月号で菊池成孔が「ロックに焼け死ぬ」と言っている。

2005年04月15日 10時33分56秒 | 音楽

久しぶりに「スタジオボイス」を買った。
「ポストジャズのサウンド・テクスチャー」5月号。

ジャズの超克。

というような話題の時に、

山下洋輔---坂田明---中村誠一の流れから
はにわオールスターズ---生活向上委員会---渋さ知らず
片山広明---コンポステラ---篠田昌巳

になるのかなあ。

案の定、この周辺を雑誌はとりあげている。

しかし、少しだけ新しい波の音が聞こえる。

菊池成孔が、関係アルバムで挙げているのが、ほとんど
マイルス・ディビスなんだけど
『ダーク・メイガス』の中に、マイルスのこの音楽のことを

「焼け死ぬようなロック」って言っている。

超克って、焼け死ぬことだったんだと、この言葉は、沁みた。

ジャズで、焼け死んだやつなんて、
パーカーでもドルフィーでもなくて

マイルスだけじゃないかって。
しかも、隣組のロックのフィールドで焼け死んだのだ。

あとは、ローランド・カークと、ジャニス・ジョプリンくらい。

詩人で、誰がおる?

と問うても、唇寒し。

やってるフィールドなんて、関係ないんだ。

焼け死ぬのに。問題は、「焼け死んでいるかどうかの」
「アクチュアルなパフォーマンス」が、どっかにあるかということ。

問題の所在を表現のフィールドにあずけたり
恒常的な、表現主体の倫理にあずけたりしても、何も越えることはできない。
「熱」、それがあって、自らの体温で、焼け死ねるかだろうね。

そういう音楽あるだろうか。
文学あるだろうか。
芸人いるだろうか。



てなこと思った。



     --------------このこと、断然つづく

●「マキシン・サリバン」の1937年に歌った、ブルースカイズが突然聞こえてきた。ああ幸せだ。

2005年04月13日 16時28分06秒 | 音楽


昨日、久しぶりにタワーレコードを探索した。
「ああ、何もないなあ」と帰りかけたら
いつもの、“箱物安棚”に、紙ジャケ仕様の一枚が。
めずらしや、マキシン・サリバンではないか。

マキシンの名を見かけるのは、久しぶりだった。
彼女が亡くなったのが、1987年で、その前年に来日して
日本のステージにも立っている。

1911年生まれだから、日本に来たときは、76才。
そのころに吹き込まれたCDもぼくはもっている。

歳にまったく関係なく艶のある声に驚いたものだ。

その彼女の若々しい音源。
1930年代と40年代。

PROPERレーベルで、1250円だった。

いつものことだが、このPROPER盤のライナーノーツの充実ぶりは凄い。
いままで見たこともなかった、彼女の若いころの写真が
何枚ものっている。

帰りの車で、聞いていて驚いた。

4曲目の「blue skies」が、いまヒューレット・パッカードのCM
で流れている音源だった。

テレビを見ていて、「えらい粋な選曲やなあ」
「誰、歌ってるんやろか」と思っていたところ。

ぼくは、ビリー・ホリディではないかと考えていたが
ビリーにしては、声に張りと艶がありすぎ、
若いころのエラかもしれないと、、、、、。

それが、マキシン・サリバンとは。
なるほどといえばなるほど。

それにしても、なんとマニアックなのだろう。

その昔、セイコーのCMで、レスポールとマリーフォード夫妻の
音源が使われていたとき以来の感激だった。

もうひとつの驚きが、この

「blue skies」のイントロのピアノが気になっていたのだが
というのは、この音は、30年代の声だが
ピアノがいやに、「モダンやなあ」という印象をテレビから伝わっていたので。

それが、クロード・ソーンヒルであることがわかった。

クロード・ソーンヒル楽団のあの甘いとろけそうなアンサンブルが
大好きなぼくは、そのアレンジャーが若いころの
ギル・エバンスだったことをあとで知った。

ジョン・カービーやチャーリー・シェーバースなどの名も見える。

マキシンは、1930年代から、87年まで
「生涯モダンな歌姫」だったんだと確信した。

このCD、ジャケットの写真とともに、家宝にします。

★野村芳太郎監督の「張込み」は、高峰秀子という「女優」を見つめる映画だと思う。

2005年04月11日 20時11分03秒 | 世間批評

べつに亡くなったからではないが、ぼくは野村芳太郎が撮った映画
「張込み」が好きだ。
女優が際だっている。その昔、この映画をはじめてビデオで見たときに、
高峰秀子を恋しく思った。
逃亡中の犯人の愛人が、いまは、公務員の家庭に嫁いで
つつましやかに暮らしている。
その暮らしを、張り込んだ刑事ふたりが、じっと見つめる。
見つめているうちに、ほんのりと恋慕する。
それは、描かれてないのだが、見つめることで、映画を見る観客の心が
登場人物の刑事の心を透かす。

淡々としていながら、スリリング。
物語は、ほとんど動かない。しかし、微動している。
ミニマルに、律動していく。

そして、もう何も起こらない。犯人はこない。

というとき、少し動き、一気にクライマックスに達す。

犯人と密会する、高峰の律動が、観客にぴたっと伝わる。

ヒッチコックの「裏窓」にも似ているが、九州の安宿や
鉄道、町の風景などの湿っぽさが、まさに日本。
昭和三十年代の空気。

リチャード・ドレイファス主演で、アメリカでもリメイクされ
最近では、テレビでビートたけしと緒形拳の子がやっていたが
まったく野村のこの作品と比べたら、月とすっぽんだった。

女優とは、スクリーンを通じて、恋される人。

そんなことが確信できる。

野村の弟子が山田洋次。
「拝啓天皇陛下様」「馬鹿まるだし」「馬鹿が戦車でやってくる」などは
驚くほどの秀作。


■ブックファーストのフェア、写真撮ってきました。晴れがましいなあ。恥ずかしいなあ。

2005年04月08日 15時05分56秒 | 日録雑感


ブックファーストへ行って写真をとってきました。

詩は、出版界ではマイナーな世界なので
こんな華々しく飾られたのは、画期的です。

オーバーではなく感激しました。

田中宏輔さんの同人誌「ディオニソス」が
定価100円だったので、買いました。
安い!

安いから買ったのではないけれど。


●京都の現代詩人、8人の詩集・詩誌などが約50点ほど店頭に並びます。

2005年04月05日 19時43分59秒 | 日録雑感


■ブックファースト京都店でのフェア詳報■


期間・4月8日〜5月8日
場所・三条河原町下がる ブックファースト

詩集・詩誌など50点あまり店頭に並びます。
店頭用に小リーフレット、用意しました。
手作りの小特集詩誌です。


■リーディングの会は、黄金週間の連休の一日を予定しています。



京都から、現代詩の世界を拓く。

新しい言葉たち




東と西や中央と地方といった地と図の対比を超えて
京都で現代詩を書いてきた人たちは、いつも果敢であった。
そして孤高であった。
無縁ではぐれていることを、自らの位置に定め
それでもなお、多方面から注視の眼を集めた。
そうした現代詩の世界で先端を歩む
京都に住む詩人たちが、はじめてここに集った。
ここにあることの、鋭い空気を満たして
濃密に繊細に。


参加詩人 浅山泰美・河津聖恵・佐々木浩・田中宏輔・藤原安紀子
     遠藤志野・萩原健次郎・豊原エス





浅山泰美
■出品書籍 ファントム・木精の書翰・月暈・襤褸の涙(以上思潮社)・浅山泰美詩集(素人社)・エンジェルコーリング(砂子屋書房) 
同人誌「庭園」私家


河津聖恵
■出品書籍 姉の筆端・クウカンクラーゲ・Iritis・青の太陽(以上思潮社)
同人誌「BCG」私家


佐々木浩
■出品書籍 象が死んだら・アップルパイが大好きな女の子(共に書肆山田)・対詩集「鏡に映る影」(舞出晋一氏と共著、ミッドナイトプレス刊)


田中宏輔
■出品書籍 The wasteless Land. (書肆山田) 
同人誌「dionysos 」私家


藤原安紀子
■出品書籍 音づれる聲(書肆山田)
同人誌「ムーンドロップ」私家


遠藤志野
■出品書籍 オリツバメ(草原詩社=星雲社)
同人誌「gui」私家


萩原健次郎
■出品書籍 脳の木(書肆山田)・眼中のリカ(白地社)・萩原健次郎詩集(素人社)・k市民(思潮社)・求愛・絵桜・冬白(以上彼方社=星雲社)
同人誌 「別冊庭園」私家・「紙子」私家  編集・文「言葉は京でつづられた」(青幻舎)
評論連載「伊東静雄論」(編集工房ノア『海鳴り』)


豊原エス
■出品書籍 歌いながら生きていく(青幻舎)・空を見上げる・うた・ホイッスル (以上私家)


◆菫ほどな ちいさきものに生まれたし 漱石の句を思って路傍の菫を眺めていた。

2005年04月05日 14時17分36秒 | 日録雑感


菫ほどなちいさきものに生まれたし


夏目漱石の句。春の、光栄であれば、こうした感慨もありうるが
ぼくは、この写真の菫を、昨年の冬の手前から見つづけてきた。
そうすると、確かに、いまは、この草花の光栄であろう。
初冬のころの、草群れは、ただ貧しく寄せ合うだけの
雑草であった。
光栄などは、夢も見ていないが如くに、ただ厳しい風情であった。

春の、日差し、寒くはない、この風にゆうらりとする
菫の花穂は、いまこのときにしか、夢見ていない。

彼(彼女?)は、生きても死んでもいなかった。

ただ生きる運動の渦中にすぎなかった。

そう、菫ほどに。

ちいさな渦中であるのかもしれないが

この春、菫は、花を揺らしている。

●コンクリートの駐車場のわずかな土に群れている菫が花を誇らしげにつけていた。

2005年04月04日 20時35分28秒 | 日録雑感
久方ぶりに、外を歩いていても寒いとは思わなかった。
日差しが、春めいてきて、なんだか、浮き立つ。
コンクリートを一面に張った、町中の駐車場の片隅で
ずっと群れて、冬の寒さを我慢していた菫が
穂にいっぱい花をつけている。
誇らしげ。
「どうた、咲いたぞ」と言っているみたい。
でも、このあと、どこに種を落とすのだろうか。

菫色という色が、よく沁みてくる。

◆ミシェル・ンデゲオチェロの脳天抜けた声でも聴きたいねえ。西欧に飽きてきたからなあ。

2005年04月01日 10時17分39秒 | 音楽

車の中では、ワルター・ギーゼキングのCDばっかり。
ラベルとドビュッシーをばらばらで聴いている。
昔からなんだが、ラベルとドビュッシーの区別がつかない。
区別をつけずに聴いているといえばいいか。
弦楽四重奏でも、だいたいが、この二人はカップリングされている場合が多く、
たとえば、アルバン・ベルクSQのもイタリアSQのもそう。
そんな区別のつかないふたりの合間に
すっきりと個性をもっていつもぼくに迫ってくるのが
フランクとフォーレ。
少し流れれば、イギリスにわたって、ディーリアス。
ピアノと西欧に飽きてきたようなので、

車から降りたら、今事務所では、
アレステッド・デベロプメント。

ジャズの、どいつもこいつも「打開してないなあ」なんて
いらいらしてくるといつも、自分の中の打開策として聴くのが
スライ・アンド・ファミリーストーンなんだけど
アレステッドの脳天抜けた、調子がなかなかいい。
ハミガキに入っている、ハーブの香料みたい。

なんかきょう、インフルエンザの快気祝いみたいなもので
ミシェル・ンデゲオチェロの新譜でも買いに行こうか。