文屋

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■さっきテレビで、キンキキッズが山之口獏の詩を歌っていた。妙な夜。

2010年08月15日 23時45分14秒 | 世間批評

キンキキッズの番組、
ゲストは、なぎらけんいちだった。

番組の最後に、アルフィーや小柳トムなんかが
合唱した曲の選曲に驚いた。

「生活の柄」という曲。

これは、山之口獏の詩。
それに高田渡が曲をつけて歌っていた曲。

もっと驚いたのは、番組で
この曲について、なんのコメントも説明もしなかったこと。

なんだか、この齟齬が、少しうれしかった。
別に、クレジットで山之口獏とでても
それが、なんの反響にもならなかっただろうから。

こういうのって、昨年の
桑田佳祐の「音楽虎さん」で、彼が「蟹工船」を
うたったときにも感じた。
そのとき、彼は、小林多喜二の小説の言葉を
歌っていた。

山之口獏の「生活の柄」、
せっかくだから、掲げてみます。


「生活の柄」 山之口獏      

歩き疲れては
夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである
草に埋もれて寝たのである
ところ構わず寝たのである
寝たのであるが
ねむれたのでもあったのか!
このごろはねむれない
陸を敷いてはねむれない
夜空の下ではねむれない
揺り起されてはねむれない
この生活の柄が夏むきなのか!
寝たかとおもうと冷気にからかわれて
秋は 浮浪人のままではねむれない


もちろん、この詩を
キンキキッズのふたりも歌っていました。