哲学書なんて読んでいて、早々にお手上げとなってしまって
それで、テレビドラマの「白夜行」を見て、
木目のこまやかな演出に感心して、それからストーリーが
気になって、原作を読みはじめる。
この作者、なんとなく大阪出身で、「出」が似ているようで
下町の空気をよく知っている。
それと、時代感覚もよく知っている、あるいは、沁みている。
時々挿入される野球などの風俗ネタやゲームの情報が
気分を増幅させている。
犯罪が風景になっているというような。
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この前、四条の西大路、西院の交差点で
ほほ笑む女性にショックを受けた。
といっても実際の人間ではなくて、マクドナルドの
ディスプレイ。
等身大の女性モデルが、ずっと気になっていた。
知り合いにそのモデルの名を聞いても、知らないという。
あれだけ、メジャーでポピュラーな姿で、オーラぷんぷんなのに
その名が知られていない。
そんなもんかと思っていた。
いまテレビを見ていたらその人の特集をしていた。
名は、蝦原友里というそうな。
時代をつくる人だと思う。
強力なパワー。
商業的パワー。
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きのう、「パッチギ」を見た。
まあ、京都の映画。
それにしても、京都、60年代からいまも
変わっていないロケーションがこんなにもあるなんて。
これは、絶句。
60年代後半の設定でロケしているんだろうけど
ほとんど、ふだん歩いている、よく知っている
今の京都。
「丸二食堂」の看板なんて、そのまま。
ああ、古都なんだとびっくり、なっとく。
映画「パッチギ」、
主役の役者、線があまりにも細い。
笹野高史(在日朝鮮人の長老役)、一世一代の名演だよ。
というよりも、あれぐらいは、おちゃのこさいさいかもしれない。
女番長役の真木よう子もいい。
彼女は、「無名塾」出身で、「ヴェロニカは死ぬことにした」
に主演している。
他に、役者名確認しなかったけど、看護婦役の役者、恐るべし。
それにしても、
あの時代の京都の
「墳」や「飢餓」といったヒップな店の名を
映画の中に入って布置したくなった。
ああ、ジャズの「カルコ20」なんかも。
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チャーリー・パーカー聴いて
またまたジャズに戻りそうだけど
シュターツカペレ・ドレスデン
という楽団の音に惹かれっ放し。
たまたまずっと持ってたジェフリー・テイト指揮の
「ベートーベンの7番」を聴いてその音の波に酔う。
で、振り返ってみれば
ヘルベルト・ブロムシュテット
オイゲン・ヨッフム
オットマール・スイトナーなど
みな、シュターツカペレ・ドレスデンの音。