Pa'Lante!(パランテ!)

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原田知世サンはいつまで歌がヘタだったのか?

2006-09-21 23:03:58 | 日本のロック・ポップス
今や日本を代表する、実力派にして技巧派ボーカリストである原田知世サンは、ムカ~シ、歌が下手、と言われておりました。

では、その、原田知世さん。
本当に歌がヘタだったのでしょうか。
また、もし、そうであったなら、いつ、音痴を克服したのでしょうか。
というコトを、アイドル時代のベスト盤で検証してみようってのが、今回の企画でゴザイまス。
と言うコトなので、まず、皆さん、自腹でコレを用意しましょう。

原田知世
『2000 Best』

ハイ。
1982年から1988年までの知世さんのベストですね。
複数のレコード会社を超えた企画として、多数のアーティストのベスト盤が出た2000年の企画の一つです。

では行きます。

「時をかける少女」
「ダンデライオン」
「守ってあげたい」
このベスト盤に於いて最も歌唱力不足を露呈しているのがこれらの、1983~1984年のトラックですね。声に張りはナイし、全般的に声量不足。高音はフラットするし、アチコチでフラつく。が、意外にも全体的な音程はそれほど悪くないデスね。
だから、音感がナイというレベルの「音痴」ではなく、「上手くナイね~」というハナシだと思います。
一方、リズムの面では、ゆったりしたテンポでは、リズムが前に行き過ぎると言う、素人の多くが陥る(ワタシも陥る)欠点があります。どう聴いても、休符を待ちきれてません。特に「ダンデライオン」。ゆったりしたテンポの方が誤摩化しが利かないというのは、こういう曲を聴くと良く分かります。

が、ソコのアナタ。
ヒトの事は笑えませんゼ。
自覚がないアナタも、録音して自分で聴けば案外そうなってるモンです。
一度お試し下さい。

「天国にいちばん近い島」1985年。
音程的の面では、ほぼ完成。フラットする部分も、良く聴かなきゃあんまりない。良く聴けばソコソコありマスが・・・。
ただし、ですね。とても丁寧に歌っているのが分かります。
だからして、リズムのズレは既にほぼ無い。
そして、声の響きを使い分ける歌唱法の萌芽がありますね。

そして、唐突に来た。「早春物語」1985年。
未だ安定する前の時期ではありマスが、実に完成度の高い技巧的な歌唱。
「張る」事ではなく「抜く」ことで生む緊張感。
この歌唱にはマジで驚く。
今日の技巧派としての「芽」ではなく、既に「実」があります。
声量を必要としない楽曲であるコトが「吉」と出た面もあるでしょうが、この歌唱は、簡単に出来るモンではナイです。素晴らしい技術だと思います。必聴です。

「どうしてますか」1986年。
「早春物語」のような技巧は駆使せず素直な歌唱。
既に、コノ時期になると、どう聴いても音痴でもヘタでもない。
が、欠点を言うなら、声のノビが足りない。
コレは肺活量不足とか筋力不足によるものでしょう。
よく聴くと、その部分で苦労しているのが聴いてとれる。
特にサビの部分を注意して聴くと、声を張ろうとしているのに気が付く。
澄んだ声でも消え入らない、強さと透明感の両立を目指していたンだと思いますが、成功には至ってません。
ただし、どう聴いても「ヘタ」では全くない。

そして、同じ年の「雨のプラネタリウム」。
あっと言う間に弱点を克服して強さをゲット。
なんだコノ上達ぶりは?

翌、1987年、「彼と彼女のソネット」。
完璧な歌唱。コレ聴いて、「上手い」と思わないヒトはまず居ないでしょう。
でも、このレベルでも、技巧的には90年代半ば以降のレベルには、まだまだ達してナイんですよね。(90年代半ばからの知世さんは、ホントにトンでもなくスッゲェってコトですね。)

で、このベスト盤は、最後の三曲は、「時をかける少女」より以前の、最初期のものが入ってます。そんで、不思議な事に、1982年の二曲は、83年頃よりは上手い。(上手くはナイけど)
つまり、ナンダ?
一番売れた、というか目立って世に出て来た1983~1984年が、歌唱力の底だったのぉ?

と言うコトで検証してみましたが、「ヘタ」だったのは、デビューの82年から、ぜいぜい84年までで、「歌が下手」と言われていたのは、まだ歌唱力が完成する前、「子供の延長」でしかなかった時期だと言ってイイんじゃないの?

だいたい、「原田知世は音痴」とエラソーに言ってた輩が、14歳とか15歳で、どんだけスゲェ歌唱力を持ってたのかと言うコトなのでありますが、別にワタシがムキになるハナシでもありませんので、「う~ン、長文になったなぁ」とか思いつつ、今日はこのヘンで終わるのでアリますね。

ぢゃ、どもども。
コメント (6)
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