JAZZ SINGER REIKO OSHIBUCHI 押淵玲子オフィシャルブログ

福岡で活動しているSINGERです。乳がん闘病中(再発転移あり)の事や、音楽の事など。
そして、趣味の着物リメイクなど

話題の「ごんぎつね」

2013-05-10 12:56:11 | 日記
先ほどネットにつないでニュースや話題などチェックしてたら
「ごんぎつね」の感想文の話題が出ていた。

ある小学生の書いた感想文
「こそこそした罪滅ぼしは身勝手で自己 満足、撃たれて当たり前」
という文面があったらしい。
全文を読んでいないので
作文全体で何を訴えたかったのかわからない。
どうも違和感を覚えるのだが・・・。
本当に小学生がそう思ったのならば、ちょっと問題かも。
私は大人の意見を真似したのではないか、と思っているんだが。

そもそも論として
これは国語の教材ではあるが
「感想文」を自由に書いたり
簡単な文章から心象風景を読み取ろう、とか
そういう目的のためにあるもので
「こう感じなくてはいけない」と指導されるものではない。

もし、誰かこの教材の時に教師に
「こういう感想を持たなければいけない」と言われたとしたら
教師の勉強不足。指導能力不足というか、全く教育を判っていない人だったのだろう。
私は結構自由な校風の小中学校だったから
そういう感性を強制されることはなく
たまーにそういう先生がやってくると
生徒たちから猛攻撃に会って、大変な騒ぎになった。
(というか、そういう事が2回くらいあったかも、と覚えている)

高校時代、現国の授業で「こう感想を書くのが普通です」と
ある教育実習生が言ったことに反発して
その授業で私は実習生を苛めたことがある。
それくらい、「感性の強要」は居心地の悪いものだ。

さて、初めに戻り
この小学生の意見の問題だが
基本的にそう思うのは勝手だろう。
正解はないのだから、自由に思えば良い。
だけど、罪滅ぼしは万人が認めなければ罪滅ぼしではないのか?
そこから、公正さと平等
そして、相手の立場を理解する事への教育がなされるべきではないか。

「ごめんなさい」の気持ちを表す行動は
個人の行動で身勝手で自己満足の世界だ。
そして、それは他人に評価される対象ではない。
ただ、相手に真意が伝わればそれで良い、ということではないか。
教育的には。もし、この感想文を書いた小学生がいたとしたら
「じゃあ、身勝手ではなく、自己満足ではない行動な何かな?」
と教師が問う事で
教室内で色々な意見が出て
「ごんは死んでしまったけれど、気持ちは伝わったんだね」
という心象風景を最後の文章で読み取ろう、ということになる。

またこの小学生は本心からそう思ったのか?

奇をてらおうとしただけじゃないか?

私もやったことがある。
「身勝手」とか「自己満足」なんていう言葉を巧みに使いたい、とか
動機は大したことはないが
それが結構問題になって、意地になってさらに難しい言葉を使って反論したりして・・・。
子供って結果までの洞察力に欠けているから
そういう経験が積み重なって大人になっていくのだけど・・・・。

そうでなければ、親の考え方が大変閉鎖的なのだろうな、と思う。
常に自分が一番正しい
自分たち家族に非は何一つなく
なにか問題が起こったら相手の責任だろう
そして、それを個人で解決せずに全体問題として提議する。
小さないじめを「ごめんなさい」では済まさずに
学校全体の中で公に謝罪を求めなくては・・・みたいな。

「こそこそと」というが
問題は大きくならないうちに「こそこそと」「さっきはごめん」で解決しなくてはならない。
それを許せない価値観を植え付けられたのだったら
その子の将来が危うい。

何も問題を起こさない子になる
もしくは、許すことを知らない子になる。

何も問題を起こさない子供は一見良い子だが
人間、躓きから色々な事を知るものだ。
躓きを知らずに育つと、非常に脆弱な、独り立ちできない子になる。
また、問題を起こしたくないから、何もしない。
何も行動しなければ何も起こらないし
誰も傷つけないかわりに
何も発展していかない。

何もしないのは良くない。

この記事を読んで、ツイッター等で意見を読んでいたが
「この話は嫌いだ」的な発言が多い。
だいたい、こういう話の良さが判らない、とか。

そういう世代なんだな、とつくづく思う。

とても悲しい話で気持ちの擦れ違いから悲劇になる。
誰が悪いと断定できない話。
私の世代は道徳の授業があったので
「クオレ」は教材としてよく使われ
あの本の中には後味の悪い話が沢山あった。

だから、道徳の授業だったんだ。

色んな立場、色んな意見があることを知り
自分だったらどうするだろうか?
こんな事で人が悩んでいたら、どういう言葉をかけるのだろうか?
どうやって問題を解決する?
正解のない教材。

本当に良い教材だったと思う。

きっと若い子たちは「ゲ~~~!」と言うだろうが。

物事の本質を見ようとか、その言葉の真意を見つけようとか
隠された思いを感じようとか
そんな事って時代遅れなんだろうが
私は大事なことだと思っている。

奇をてらったライブと思われているANIME-JAZZも
実はアニソンのメッセージを掘り下げて考えてアレンジしている。
「アンパンマンのマーチ」や「ひょっこりひょうたん島」のように
判りやすいメッセージのものもあるが
ナンセンス曲と思われているもの
例えば去年のナンバーだったら「あくび姫」とか。
ハクション大魔王が父親で、とても仲の良い親子で
いつも父親の事を心配している魔女の歌なのだ。
だから、バックコーラスで「壺の中でハクション大魔王と仲良く暮らしているんだよ」と加えた。

今、音楽も使い捨てのように消費されていくものとなっている。
きっと児童書も漫画も小説も使い捨てされていくのだろう。
真意を読み取ることが忘れられていくのは悲しいことだ。



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