札幌・北海道のレトロ建物大好きおぢさん日記

札幌(北海道)のレトロでモダンな建物を見たり撮影するのを趣味としています。

千歳市の建築探訪 ※1軒を追加、2軒を再訪しました

2024-05-09 14:41:43 | 千歳市

 

千歳市内は比較的新しい建物が多く、支笏湖近辺には歴史的建造物が残っている

 

 

「山線鉄橋」 【NEW】

 

所在地:千歳市支笏湖温泉
建設年:明治32(1899)年 大正13(1924)年移設
指定:千歳市指定有形文化財

 

支笏湖温泉の南側にあり人目を惹く真っ赤な鉄橋が「山線鉄橋」

>山線鉄橋は、千歳市支笏湖温泉地区の千歳川に移設された英国製の200フィートピン構造ダブルワーレントラス橋で、道内現存最古の明治期の鋼橋 です。 ※土木学会HPより

 

この橋は千歳川が支笏湖に流入する場所に架けられており
千歳川の綺麗なエメラルドグリーンと支笏湖のブルーが一度に見れる。

橋を渡れば「親水公園」になり、湖畔まで降りれるようになっておりたくさんの観光客が渡っている。

当初は空知川に架けられていたが、王子製紙の専用軽便鉄道として現在の場所に移設された

ここに鉄道が走っていたということに驚いた
苫小牧から各水力発電所を結び、湖畔まで資材や乗客を運んでいたとある
この鉄道は昭和26(1951)年に廃止した。

現在の鉄橋は王子製紙から千歳市に寄贈されている
また平成7(1995)年から3年かけて解体修復工事が行われて
歩道橋として利用されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年5月撮影

 

 

 

「支笏湖別邸(支笏湖倶楽部)」 【再訪】

 

所在地:千歳市支笏湖温泉
建設年:大正5(1916)年  昭和43(1968)年に現在地に移築

 

これは王子製紙苫小牧工場の建物である。

当時は苫小牧工場に明治42年に「迎賓館」として建設されたものが
「本俱楽部」と呼ばれ、苫小牧を訪れた貴賓がまずは本倶楽部でもてなされ
支笏湖の倶楽部で宿泊するのが一般的だったようだ。

 

元は湖畔に面した場所にあったが、昭和43年に天皇陛下をお迎えするにあたり現在地に移築した。

またその時に新館を新築している。

建設時は平屋ながら総檜造りの豪奢な建物であったという。

 

 

支笏湖へはまず「ポロピナイ」で休憩&トイレタイムが多い
人が多く、サップに興じる人が多いのにおどろいた。

 

支笏湖倶楽部は湖から離れてすぐにある
温泉街までは行かない位置だ。

 

現在は本館、新館とも閉館しておりグーグルマップの表記では
「王子貴賓館跡」となっている。

入口はチェーンがかかっており覗く程度しかできない
しかし両サイドが小高くなっているので靴などが汚れても良いのなら
その上からも見ることが出来る。

新館は完全に敷地内に入らないと見え無さそうだが
それはいけない。

また湖側からは立入禁止区域なのでこれも無理だ
入口のチェーンの向こうにいた 鹿は一瞬居なくなったが最後にはまた私を見ていた
これは中に入るなよ!の警告だろう。

 

 

 

 

 

 

 


2023年9月撮影

 

尚、王子製紙は支笏湖に「王子製紙 支笏湖山荘」を近くに持っているが
現在の営業は不明である。

 


写真と一部情報は下記より

※王子製紙苫小牧工場創業100周年のあゆみ
※写真集 王子製紙と苫小牧の100年 より

 

 

ここから再訪の写真

もう少し葉が無いとどう見えるか、ちょうど支笏湖に桜を見に行ったので寄ってみた

撮影できる場所が限られているので、目新しい発見は無かった
ロープがある敷地に入るわけにはいかない

 

 

 

 

 

 

 

2024年5月撮影

 

 

 

「支笏湖ユースホステル」 ※2022年解体 【再訪】

 

所在地:千歳市支笏湖温泉
建設年:昭和35(1960)年


支笏小学校の校舎を利用した日本最古のユースホステル
地面まで伸びる三角屋根が印象的な旧館は北海道を代表する建築家
田上義也氏の設計によるもの。

田上氏は同年に札幌の「宮ヶ丘ユースホステル」を設計しその後も多くのユースホステルを設計した

また支笏湖には1967年に「ホテル鹿の湯」を設計した(解体済)


湖畔にほど近い木立の中に見える赤く三角の屋根は非常に素敵だ
支笏湖とは間に翠山亭を挟んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

支笏湖ユースホステルは日本最古のユースホステルであり
現存している最古のユースホステルでもある。

すでに数年前から旧館は営業しておらず林間に姿を見せるだけであった。

 

 

内部には螺旋階段を設け、これがとても印象的である
田上氏の代表作に螺旋階段を設けた施設が他にもある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また階段廻りの小さな窓は師匠である F・L・ライトの意匠に通じるものがあると言われる

 

訪問時には、すでに照明関係や備品等も取り外されており
一部の床や躯体などに不安がありそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここが玄関だった

 

 

 

 

 

 

 


食堂かな 1枚板のカウンターがいいね 奥に厨房がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新館は1980年代の建物で設計は田上氏ではない
こちらだけで営業を続けていたがコロナ禍で打撃を受けたろう

 

 

支笏湖ユースホステルは2021年3月に鶴雅グループが取得した
その後、再開発が企画され支笏湖ユースホステルは解体されるようだ

建物には人間もそうだが寿命があり、長く大勢の宿泊客に親しまれたまま
ピリオドをうつ

最後の最後に内部を見ることが出来て感謝しかないなぁ

 

2021年4月撮影(新館は2020年10月撮影)

 

ここから再訪の写真

解体から2年が経ったので、当然だが建物は無い
あったものが無くなると寂しいものだ

跡地にプレハブがあるので、鶴雅グループの次の土地活用を期待したい

 

 

 

 

2024年5月撮影

 

 

 

 

 

 

「王子製紙(株)第一発電所」 *道央の建築探訪 NO104

 

所在地:千歳市水明郷
建設年:明治43(1910)年

王子製紙(株)第一発電所は北海道新聞社発行の「道央の建築探訪」に記載されています。

支笏湖から千歳市内まで千歳川沿いに道々16号線が走っている
その支笏湖側から王子製紙の発電所が5つ設置されており
第一発電所が最大で電力の供給量も多い。

 

16号線から「水明郷」の表示に従い大きな駐車場に停めて徒歩で歩いていく
春には桜が咲き見物客が多いそうだ

 





発電所は高所から見下ろすように千歳川の谷にある
明治時代に建てられた施設はレンガ造りで強固であろう
わずかに入口の庇に改装の跡が残る


 

 




上部の水を一気に谷に落としそれで発電している
5つある発電所で実際にこうやって見ることが出来るのはここだけで
他は関係者以外立ち入り禁止。

 

 


このように下へ行く道は立ち入り禁止

 


水明郷は元は王子軽便鉄道(山線)の水溜駅、王子尋常小学校(戦後は水明小学校)が建っていた場所で 16号線に並んで走るサイクリングロードは鉄道の跡です


そう言われてみると付近の建物が駅舎や旧体育館や教員宿舎を改装したものに見えてきた。
これからの季節は紅葉が見事だそうです。

 

 

 

 

 

2021年4月撮影

 

 

 

 

「山三ふじや」 ((株)山三ふじや本店)

 

所在地:千歳市本町3丁目
建設年:昭和初期

「山三ふじや」は千歳を代表する老舗企業で、元は新潟からの移住者である渡部氏が一代で大きく隆盛させた
千歳で最古の酒店である。

現在は空港内のお土産屋や自衛隊基地内の売店、ゴルフ場やタクシー会社、書店ほか様々な業態を経営している。

本店は隣にある渡部氏の住宅とともに大正14(1925)年に木造で建てられ、現在の店舗は2代目のデザインである
印象的なファサードで中央3階のデザイン、2連の上げ下げ窓が目立つ



隣の住宅とともに補修はされているようだ
裏手には酒店らしい石の蔵がある。


*本店~住宅があり現在は駐車場になっている角地には「旧南長沼土功組合事務所」が山三ふじやの敷地内にあった
木造平屋で赤い屋根に上げ下げ窓の大正11(1922)年建築だが2016、17年ころに解体された。

 

2021年3月撮影