レトロモダンの建築物が多い町は終わったが
函館にはまだまだ町が多い その中で数は少ないが各町にも魅力的な歴史的建造物を撮影してきたので紹介します。
紹介の順番は北海道新聞社発行の「函館の建築探訪」1997年発行のNO順で行きます。
もはや20年以上前の本なので現存していない建物もあり。
ほかに2020年発行の「北海道建築物大図鑑」に記載されたもの、指定や賞をとったもの
他のブログで情報を得たもの、探索中に見つけた気になる建物を追っていきます。
また「函館の歴史と風土」2008年発行
「レトロな建物を訪ねて」様
「関根要太郎研究室@はこだて」様
「ノスタルジック建築散歩」様 からも引用させていただいています。
「旧㈱北海道漁業公社」 *函館の建築探訪NO107
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所在地 大手町5-1
建築年 大正7(1918)年
指定等 国登録有形文化財・函館市都市景観賞・歴風文化賞
開館時 1F「cafe centenaire」10:30~18:00
定休日 火曜日
建築を手掛けたのは函館区公会堂も施工した名棟梁と言われた村木甚三郎。
当初は浅野セメント函館営業所として建てられ、戦後は北海道漁業公社函館支社として使用されたが、
昭和63年(1988年)の売却後は空き家になっていた。
廃墟同然の建物を創建当時の写真を基に再建工事が行われた
それでも外観は変わった箇所がある。
木造ではあるが石造り風で重量感がある外観、左右の塔屋、縦長窓、玄関部の円柱など見るべきものが多い建物だ。
現在は「函館大手町ハウス」として、カフェが営業しており内部を見れる機会は多い。
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2022年6月撮影
「ニチロビルディング」 旧日魯ビル *函館の建築探訪NO108
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所在地 大手町5-10
建築年 昭和9(1934)年
指定等 歴風文化賞
開館時 1F「マルセン」 営業時間 11:00〜17:00closed
定休日 火曜日
創建時に1号館があった場所は現在「函館国際ホテル」になったが
2号館3号館が健在である。
2号館の螺旋階段は見上げる角度によって形が変わるので自分のベスポジを見つけたい
3号館には当時東北以北で唯一、私企業として劇場を持つビルであった。
2号館1階の「マルセン」は当時のビルの内部がわかる貴重なお店だ
ぜひ利用されて、その天井の高さや照明のデザインなどを確認してほしい。
所有するマルハニチログループのマルハニチロアセット(東京)が、9月30日付で同ビルを売却することが分かった。
同社は売却契約完了前であることから、売却先の企業を明らかにしていないが今後が心配だ。
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2022年6月撮影
「吉田紙店」 *函館の建築探訪NO109
所在地 大手町11-10
建築年 大正元(1912)年
指定等
開館時
解体
「H氏家住宅」 函館根津製餡所㈱・付属蔵 *函館の建築探訪NO110
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所在地 旭町7-19
建築年 昭和10(1935)年 蔵:明治40(1907)年
指定等 なし
開館時 なし
大きな切妻屋根が印象的な町屋建築。
骨組みや出格子窓など和風の重厚さをかもしだす
創業者は新潟出身で地元の町屋造りを参考にして建てたとのこと。
蔵は明治末期の鉄筋コンクリート造りだが土蔵のように見える
廻りは一般住宅が多く、ここだけ時間が止まったかのような建物だ
大きな看板がこの建物外観の大きなアクセントになっている。
現在も製餡業を営んでいる。ねりあんやこしあん、「北海巴こしあん」などの商品がある。
小売りの他、菓子店や百貨店などへの卸売も行っている。
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2022年6月撮影
「棒二森屋百貨店」 *函館の建築探訪NO111
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所在地 若松町17-12
建築年 昭和11(1936)年
指定等 なし
開館時 なし
棒二森屋とは昭和9年の大火後に、金森森屋と棒二萩野の二つの百貨店が合併して誕生した。
数度の改築、増築を繰り返したが外壁には社名が入っている
長い間、函館はもとより道南の一番店として営業を続けていたが
2019年1月31日、18時をもって閉店。
18時30分より閉店セレモニーが行われ、多くの函館市民や元従業員が見守る中、小賀雅彦店長が閉店の挨拶を述べた。
蛍の光の演奏が流れる中、18時54分に正面玄関のシャッターが下り、150年に及ぶ歴史に幕を閉じた。
撮影時は1階部分は柵で囲われて何も見ることが出来ず、棒二森屋を思わせるものは無かった
わずかに上部の外壁にローマ字の店名を外した跡が見て取れた。
多くのデパートがそうであったように最上階の食堂が懐かしいね
2022年12月から解体が始まり新たな商業ビルに生まれ変わる予定
地方のデパートの営業はもはや困難な時代か。
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2022年6月撮影
「北海道教育大学函館校北方教育資料室」 旧函館師範学校 *函館の建築探訪NO116
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所在地 八幡町1-2
建築年 大正3(1914)年
指定等 国登録有形文化財・歴風文化賞
開館時 なし
昭和42(1967)年の校舎新築の際に両翼を切り離し現在の場所に移築した建物である
師範学校の名称は教育大学に変わり多くの教員を送り出している。
OB達により保存を働きかけ現在の資料館となった。
玄関ポーチには三本一組の柱があり車寄せを設けているが、これは珍しい。
外側はきれいに塗装されており、計画的に補修がされているように感じた。
また施設外を見ると昔からの和菓子屋さんが目についた
生徒たちはここのお菓子を食べたことだろう。
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2022年6月撮影
「函館YWCA」 *函館の建築探訪NO121
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所在地 松蔭町1-12
建築年 大正15(1926)年
指定等 国登録有形文化財・歴風保存文化賞
開館時 なし
この地区はその昔、宅地の分譲の条件として洋風の応接間や緑の屋根
前後に庭を設けるなどがあり質の高い住宅で街並みを構成させた
「文化村」と呼ばれたそうだ。
函館YWCAも条件を満たした住宅として建てられた
この建物では何といっても波打つ玄関屋根が印象的だ。
ちなみに函館YWCAとは
「函館YWCAは、平和・環境・人権をテーマにした公益活動を中心に、 子どもからおとなまで幅広い世代を対象にした生涯学習活動、文化・教養・趣味を楽しむグループ活動、 多様な方々を対象にした居場所づくり、季節のイベントの開催など、地域に根差したしたボランティア活動をしています。」 HPより。
現在は1階にカフェがあり、かなりリーズナブルな価格で気軽に利用ができる。
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2022年6月撮影
「遺愛女子高等学校」 旧遺愛学院宣教師館 *函館の建築探訪NO122
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所在地 杉並町23-11
建築年 明治41(1908)年
指定等 国指定重要文化財(宣教師館・本館) 国登録有形文化財(謝恩館・講堂)
開館時
東京以北で最初の女学校として創立された学院である
当初は元町にあったが大火により現在地に移転新築された
「遺愛学園本館」と「宣教師館(ホワイトハウス)」は国の重要文化財に
「講堂」と「謝恩館」は国の有形登録文化財に指定された。
訪問時は「本館」は全面工事中で簡易的な玄関しか見ることが出来ず残念。(2024年完成予定)
左手奥に「謝恩館」「宣教師館」があり「講堂」は本館の右横にある。
設計は本館と宣教師館が立教大学初代学長J.Mガーディナー、
講堂と正門が一粒社ヴォーリス建築事務所が請け負った。
見学は正門を入ったところにある守衛所にて必要事項を記入し、そのまま車で進入できた。
クロッカスの咲くころに宣教師館へ行って見ると素敵な光景を見れるようだ。
「宣教師館」
「謝恩館」
「講堂」
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2022年6月撮影
「AC・DC電気 Akasaka.Studio」
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所在地 東雲町7-8
建築年 不明
指定等 なし
開館時 なし
この建物は旅行ルートをストリートビューで追っている時に、面白そうな建物があると見つけたもの。
歴史的とまでは行かない建物だがファサードが個性的だ。
縦型のアーチが4連だが、左ハジだけ細いのが特徴
その仕切りと2階の窓の位置が微妙にズレているのは後から改装したのかな?
現在は音楽用の貸しスタジオとして活用しているようだ。
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2022年6月撮影
「函館友の会会館」
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所在地 湯川町2丁目8-27
建築年 昭和47(1972)年
指定等 なし
開館時 なし
「友の会会館」は函館にもいくつか現存している田上義也氏の設計である。
「札幌ノスタルジック建築散歩」様によると1972年は大沼のイクサンダーユースホステルも設計している
この施設は田上氏お得意の住宅デザインを中規模施設に当てはめたようなものか。
軒下と階段室にそれとわかる個性がある
屋根の片流れにあわせて玄関から続く屋根も同角度で流している。
敷地は手前が広い駐車場で、遠目からズームでしか撮影できなかった。
背後にあるのは「KKRはこだて(国家公務員共済組合連合)」
こっちも感じが似ているなぁ。
「函館友の会」とは
‘‘友の会は、1930(昭和5)年、ジャーナリストで教育者の羽仁もと子を中心に雑誌『婦人之友』の愛読者によって生まれた女性の団体です。
海外も含めて約18,000人の会員がおり、「衣・食・住・家計」に関する生活の勉強・環境・子育てなどについて、年代を超えて共に学び合っています。
函館友の会は、1928(昭和3)年に発足しました。現在30代から90代までの会員が活動しています。‘‘
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2022年6月撮影
「T氏住宅」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/81/6f80816938496b78c374e30664d8fc7b.jpg)
所在地 本町
建築年 不明
指定等 なし
開館時 なし
「レトロな建物を訪ねて」様のブログにて情報を得て行って見た。
残念ながら空き家のようで、上記ブログの頃に比べて劣化が目立っていた
それでもここは商業地域の中で、ビルや店舗が多い中でこの住宅は目立つ。
ハーフティンバーの玄関が印象的で、白枠の縦長上げ下げ窓や持ち送りがある平屋である。
近くにもう1軒素敵な住宅があったが解体されていた。
場所から考えてもこちらもどうなることか。
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2022年6月撮影
「認定こども園 うみの星保育園」 旧カトリック少年の家
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/7a/24d4ab34fef63e07ed8709577e1b4628.jpg)
所在地 日之出町27-3
建築年 昭和35(1960)年
指定等 なし
開館時 なし
フェイスブックで知り合った方より、この建物も田上義也氏の設計と教えていただいた。
創建時は、両翼があり今の場所から数10メートル左に移動した場所にあった。
2011年のストリートビューでそれが確認できた。
次に2016年のビューではなんと現在の位置にある物が建てられていて
同じ建物が並んでいるのを見ることが出来る。
そして2021年では現在の棟だけで左側にあった同じ建物は解体され
新園舎が出来上がっていた。
つまり古い棟を解体するときに、先に同じもの建ててから古いほうを解体した
そういう計画だったのだろう。
なので実際には2016年ごろに新築されたものが残っている。
田上氏設計のユースホステルでよく見る尖形のせり出す屋根
中部の窓はステンデグラスになっており園児のお祈りをする場所のようだ。
前記の教育大学資料館も両翼を切った形で保存された
やはり敷地と経費への余裕がないと全館残すことは難しいのだろう。
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2022年6月撮影
「西條八十の歌碑」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/29/39f7da39d6c1557804dddc161e74fdad.jpg)
所在地 日之出町25 啄木小公園
建築年 昭和34(1959)年
指定等 なし
開館時 なし
建物ではないがこの碑も田上義也氏の設計であり名が彫られている
おそらくライオンズクラブの関係で田上氏に依頼が行ったのだろう。
ここは本来は石川啄木像がある海沿いの小公園である
この日はあいにく土砂降りであったが
晴天時には気持ちの良い潮風が吹く観光名所なのだろう。
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2022年6月撮影
以上で函館の建築探訪を終了します
練りに練った計画で200軒を超える歴史的建物を撮影してきたけど
まだまだ撮り漏れがある。
今後、来年になるかもっと先になるかも知れないが
なんとかすべてを廻りたいね。