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散歩道・43~高尾山の地層

 高尾山では数多くの植物が見られるが、その下の地層を見るのもまた興味深い。NHK番組『ブラタモリ』で良く地層の話が出るが、高尾山の登山道でも様々な地層が見られる。高校の地学で学んでからもう50年になるので知識はほとんどゼロだが『ブラタモリ』ならぬ『ブラ多摩リ』で、少し高尾山の地層を勉強してみよう。
 写真は高尾山“2号路”の岩場だが、高尾山と周辺の山々を形成しているこの一帯の地層を、その地層が特に露出している代表的な場所である“小仏峠”から名をとり“小仏層”と呼んでいる。この名は関東を中心に使われているが、一般的には同様の地層が見られる四国一帯の名をとり“四万十層”と呼ばれている。“四万十層”は九州南部、四国南部、紀伊半島南部、東海南部に連続的に分布する地層で、陸と海溝の間のプレートの動きで形成されたが、丹沢山地と伊豆半島の衝突で山梨県や高尾山付近に大きく湾曲しており、その東は三浦半島、房総半島南部に続いている。
 高尾山や周辺の山々は1億年前は海底であり、およそ7000年前~1億年前の間を通して、少しずつ地層が堆積していったと考えられている。この海底の層が、その後の大規模な地殻変動によって盛り上がり、海上に姿を現して高尾山を始めとする周辺の山々に形成されていった。
 高尾山の地層は“互層”と呼ばれるが、これは砂岩と粘板岩が定間隔で交互に堆積した構造であり、特徴的なのはその地層が傾斜角70度から80度ほどでほぼ垂直で立っていること。海底に自然に堆積された地層が隆起しただけなら水平になるが、高尾山では大きな地殻変動により地層が立ち上がることになった。 
 岩石的には、小仏層は “笹野層”(主に硬砂岩、礫岩、厚さ1,500メートル)、“川乗(かわのり)層”(主に砂岩、粘板岩、厚さ1,700メートル)、“小伏(こぶせ)層”(粘板岩を主体とする地層、厚さ2,000メートル)という異なる3つの層から成り立っている。稀にチャート(二酸化ケイ素を含む放散虫や海綿動物などの殻や骨片が海底で堆積した岩石)も見られるようだ。
 さて年末に、ちくま新書『やりなおし高校地学』『やりなおし高校化学』『やりなおし高校物理』を買ったがまだじっくり読めていない。典型的な文科系だった私には当時は不得意科目だったが、遅まきながら暇を見つけて勉強し直したいと思っている。
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キジョラン・7~高尾山3号路

 高尾山“3号路”で見つけた「キジョラン(鬼女蘭)」の種髪。これまでにキジョランの花や果実は見ているが、果実から種子が飛び立つ様子を撮りたくて、一昨年の秋から探している。昨年11月に果実を見たあたりに来てみると、あったはずの果実が無い。大きな葉を何枚もめくっていると、通りがかりの女性登山者が『居ましたか?』と声を掛けてきた。キジョランはアサギマダラの食草でその幼虫を探していると思われたようだ。幼虫ではなく果実を探していると話すと『台風の強風で果実はほとんど落ちたようですよ。“4号路”で見た果実も無くなっていました。』とのこと。この日、2~6号路を探し回ったが、見つかったのは写真の種髪1本だけ。これがあるということはどこかに果実があるはずだが、おそらく高木の上のほうの枝に蔓が巻き付いているのだろう。果実探しはまた来シーズン。キジョランはキョウチクトウ科(←ガガイモ科)キジョラン属のつる性常緑多年草。
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