ぼくのほんだな

フワフワした僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな249・・池田満寿夫ミニアチュール全作品集《銅板、木版》

2023年06月14日 | 美術・工芸
池田満寿夫といえば1966年のヴェネチア・ビエンナーレ展版画部門で国際大賞を受賞し、1977年に小説『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞を受賞、その映画化もやってのけたりと、その多才ぶりに驚かされたことで知られていますね。
その溢れる才能は多方面にハジけ飛んだんだけど、キモはやっぱり「版画」です。 僕がその中でも「よっ、池田屋!」と声をかけたくなるのは、彼の根っこにあります、そう「原点」と申しますか、自由に、のびのびと愉しんで描いているのが感じられるミニアチュールの作品群で御座います。 取り分けエッチングがわたくしの推しで御座んすね。今回見ていただくのはそのミニアチュールの作品集なのでおます。 (オッサンになってる!)


おもて表紙/うら表紙

「池田満寿夫ミニアチュール全作品集《銅板、木版》」 昭和44年 1月1日発行 11.5x22.0cm 40頁 美術出版社版画友の会

内容について池田満寿夫ご本人がこのように述べています。

「このカタログには1957年から65年までのミニアチュール銅版画(若干の木版も含む) 183点を収録した。 ここに収録された半分以上の作品は、世に言う豆本の挿絵として刊行されている。 そして残りの作品はその豆本の挿絵のエスキースであったり、なんらかの目的で版画集をつくろうとして途中で計画を放棄してしまった作品であったりしている。」 ーー池田満寿夫の「序」より抜粋ーー

中味はこんなんです。183点の内の少しだけ、ぼくの推しのエッチングからほんのちょびっとだけ‥・。



No.1 屋根裏の散歩者・習作(タイトル・ページ) 1958 4.3x4.0cm エッチング
 
No.35 サロメ・習作(最初の出会い) 1959 3.8x4.0cm エッチング

 
No.133 寝台の上の美女・習作 (寝台の上の奇蹟No.1) 1961 10.5x12.2cm エッチング

 
No.208 デ・クーニングの女 1960 12.0x9.2cm エッチング

*池田満寿夫はデ・クーニングの画集を見て強く衝撃を受けたそうですヨ。

この画面ではとても小っちゃくて見づらいと思うんだけど、上のNo1とNo35の作品は平井蒼太 (江戸川乱歩の実弟) が主宰する真珠社から雛絵本(豆本)シリーズとして刊行されました。

ケース/表紙
「屋根裏の散歩者」 江戸川乱歩著/池田満寿夫画 限定200部 エッチング 10葉 二重箱 6.2×6cm 昭和34年(1959) 真珠社

ケース/表紙
「さろめ」 池田満寿夫画 限定70部 エッチング 10葉の内手彩1葉 昭和34年(1959) 真珠社

この豆本刊行についてのあれこれは池田満寿夫のパートナーだった詩人で小説家の富岡多恵子が書いた「壺中庵異聞」 (装幀・横尾忠則 文藝春秋刊 )に詳しいデス。興味があれば、ど~ぞ。

ところで余談なんだけど、下の作品《女・動物たち》に就いて池田満寿夫が語っている、ちょっとウフフな話があるんだけど、聞く? (・・・・・。)



池田満寿夫《女・動物たち》1960年 限定15部 23.5x18.0cm ドライポイント、アクアチント 広島市現代美術館蔵
第2回東京国際版画ビエンナーレ展で文部大臣賞を受賞。

では御要望に応えて池田満寿夫さんご自身に語ってもらいますネ。

「私がはっきりと自分の作品の中に性器を描きはじめたのは1960年であった。 第2回東京国際版画ビエンナーレ展に出品した《女・動物たち》がそれである。ここでは私のあれほど描きたかった陰毛と性器は女の顔に転位されていた。陰毛の髪と性器の顔は、しかしひどく人々に厳粛なものを感じさせたらしい。性器の位置を変えることによって、私は簡単に目的を達したのであった。この素晴しいトリックに私は夢中であった。私の描くすべての線は陰毛を思わせた。」 ー 池田満寿夫エッセイ集「思考の魚」番町書房刊よりー

キャ ‼ 納得。 この話、知ってたの? 知らなかったの僕だけ? ま、いっか。 さすが「エロスの画家」って言われるだけあって面目躍如でおますな。 (あっ、又オッサンに戻ってる!)

では、このへんで。チョン!
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