ぼくのほんだな

フワフワしたふわふわ天使が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな223・・奈良絵本・絵巻

2017年12月07日 | 美術・工芸
可愛いなあ~、どっから見ても可愛いなあ・・・。 おともだちになりたいわあ。 何が、って? これですよ、これ。 一緒に見てちょうだい。。。

「鉢かづき」より
可憐なお姫さま (部分)

あたまに何かのっけてるでしょ。 何んだか分かりますか? わからないですよね。「鉢」をのっけてるんです。 趣味かって? いいえ、趣味じゃないです。 これには深~い訳があるのです。 この女性は「鉢かづき」と言うお話に出てくるお姫さまです。 この絵本を見ていけば、お姫さまが趣味で鉢をのっけているんじゃないってことが心底うなずけると思います。
さて、この可愛いお姫さまは鉢をのっけたまゝどうなってしまうのでしょうか?! 読んでみてのお楽しみ~! 手に汗はにぎらないかもしれませんが、ドキドキです。 この件はあとでゆっくりまとめて心配するとして、それより何より目の前の愛らしすぎる絵が気になってしかたがないと思います。キッと魅せられっぱなしになるでしょう。





「鉢かづき」 *日本初の女性絵本作家「居初つな」(いそめ・つな)が制作したとされるそうです。

このチャーミングな「鉢かづき」以外にも古くからある御伽草子などに絵がつけられた絵本や絵巻がたくさんあってみんなを愉しませてきたんです。

こんなイケメンはどうでしょうか? 「つれづれ草」というお話に登場します。 こちらも絵とお話が楽しそうですね。

「つれづれ草」より
笛を吹く高貴な若者 (部分) 四十四段


見返し
五十四段
わぁ、楽しそお。 僕も寄せてよぉ!



二百三十八段
「つれづれ草」 江戸前期~中期 縦本五冊 列帖装

ではここでクイズです。これらの絵本や絵巻はあまり馴染みがないとおもいますが,何とよばれているのでしょうか。 かなりむずかしいよね? ではヒントです。 ○○をお答えください。

第1ヒント 描かれたのは奈良時代じゃないのに「○○絵本」とよばれています。 さあ答えはなんと? (ハイ、奈良絵本!)

第2ヒント 描かれたところは奈良だけじゃないみたいなのに「○○絵本」とよばれています。さあどおだ? (だから、奈良絵本!!)

アレ、あっさり答えましたね。何でわかったの? 僕しかわからないと思ったんだけどなあ。

そうなんです、答えは 「奈良絵本」です。 そ~ですか、既にご存知でしたら僕がここで持てあましぎみの豊富な知識を微に入り細にわたってわざわざ披露するまでもありませんねェ。 じゃあ、 我慢してここではポイントだけにします。 まず、

[奈良絵本・絵巻とは] 室町時代後期から江戸時代前期に製作されていた、美しく色付けされた絵本・絵巻の総称です。 名称の由来ははっきりしていません。

[形態] 絵巻を折り曲げて本にしたものや、横型や縦型にした本に挿絵を入れたものなど様々です。

[大きさ] 手帳サイズからA4以上のものなどいろいろあります。 全て手作りです。

[内容] おとぎ話から、平安時代の物語や鎌倉時代の主な文学作品など、ほとんど網羅しています。

江戸時代中期以降は次第に衰退しました。

取りあえずこんなところかな。 奈良絵本に関する本はいろいろ出ています。 たとえば本格派でこんなのがあります。、

 
左] 天理図書館善本叢書和書之部8 古奈良絵本集一 定価7,800円 1972 八木書店 (本体は A5判 横型 458頁 口絵カラー18頁 本文モノクロ)
右] 天理図書館善本叢書和書之部37 古奈良絵本集二 定価13,500円 1977 八木書店 (本体は B5判 縦型 490頁 口絵カラー12頁 本文モノクロ)
*最近、「新善本叢書」が刊行されました。

ですが、僕にはほんのチョッとだけ難しいのでカラー図版が多くてコンパクトなこんなのがいいです。

 

「奈良絵本 上・下」 工藤早弓 各本体1,200円 平成9・10年 京都書院

たぶん少し見ただけでも、心持ちがゆるやかに、おおらかになります。 そのタップリ感がたまりません。 一見、稚拙に見えますが、それぞれの絵は現代の僕たちにはもう描けない線や色や独自の筆勢ですみずみまで満たされていて、僕たちが絵を見るとき技巧を中心にして上手とか下手とか言ってしまいますが、この絵本・絵巻たちはもうはるかに上手とか下手とかを超えちゃっています。
これらの絵本や絵巻には、僕たちが忘れて来てしまった濃密な時間がギュギュっと詰まっているようです。 ここ掘れワンワンで、掘れば掘るほど、まだまだ知られていないものがたくさん出てきそうですね。 ワクワクがちっとも止まりません!
コメント
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