ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな 196・・「ガストン・ガリマール」 ピエール・アスリーヌ

2014年05月05日 | ほんだな
フランス文学はおすき?
フランス文学って、繊細で野太くて、洒落ていて、強靭で、それから・・どう言えばいいのかなぁ、ウ~ン 僕にはチト手ごわいな。だから「フランス文学」だなんて大きくこられたらサラッと流してあっちを向いております。でも「フランス文学、それは私だ」ということができた人物がいるらしいぞ。そのことを聞いて僕こっち向きました。 その人物とは誰? 知りたい、知りたい、ゼッタイ知りた~いって思うよね。そこまで言い切れる人物だったら、面白くないわけおませんもんね。
で、その人物とは、フランスのあの (どの?)ガリマール書店を創業したガストン・ガリマールだって。 知らないなぁ・・。 作家じゃないんだ。

  
カバー/表紙

「ガストン・ガリマール―フランス出版の半世紀」 ピエール・アスリーヌ 天野恒雄 1986 定価4500円 みすず書房

(*上の画像はみすず書房の「白」の魅力が出てませんねぇ。 スイマセン。)

『「なぜガリマールをとりあげたのか。かれがユニークで例外的な人物だったからだ。20世紀初頭の10年間に出版活動に身を投じた人々のなかで、ガリマールは生涯の終りにあたって、自社の部厚いカタログをひもときながら、フランス文学、それは私だということができた唯一の人物であったことはたしかだ。かれ自身は一冊の本とて書いたわけではない。が、かれはすべての本に署名している。本の表紙の上にではなく下に(後略)』―著者の解説より

すこし厚手の本ですが読んでいくほどに、ガリマールが20世紀前半のフランスで出版し続けるには一筋縄でいかなかった当時の複雑な状況 (ナチ占領下などの)や、フランス解放後のガリマールへの糾弾にたいして一流の作家ら(サルトル、ルイ・アラゴン、アンドレ・マルロー、カミュ)を弁護にもってきたこと、そして彼を囲む人たちとの人間臭いやりとり、等々が生き生きとスリリングに迫ってきます。ときに舞台裏の作家や詩人たちの素顔が垣間見えたりするのがたまりません。 おもわずグイッと引きこまれてしまいます。

ガストン・ガリマールはフランス人の尖んがった一面と向うをみて立ち回れる柔軟性とを合わせもち、常に自分を全うしようとするその姿は、まるで大きな大きな愛すべき悪ガキみたいです。
本書はガストン・ガリマールというおそろしく魅力あふれる一出版人の伝記として読めるのはもちろんだけど、もう一つのフランス文学史として、又、半世紀にわたるフランスの出版活動についての専門研究書として読んでも十二分にお釣りがきます。
フランス文学がお好きな人もそうでない人にもこの本はとてもお得です。 読んでみてくりょ。

で、合わせ読み商品ではないけれど、この本もグッドです。 こちらもぜひぜひ。

フランスの代表的出版社ガリマール書店の創設者の訃をきっかけに1950年代後半の滞欧体験が甦る。ネルヴァル、プルースト探索の旅で出会ったフランス人の孤独、芸術家の内奥への想いが、今ここに一篇の作品に結実した! (帯文より)



「ガリマールの家―ある物語風のクロニクル」井上究一郎 栃折久美子/装丁 1980 定価1600円 筑摩書房

では、良き 読書時間を!
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