ぼくのほんだな

フワフワした僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな237・・バレエ映画「ホフマン物語」

2020年07月15日 | 映画・クルマ
このバレエ映画はオッフェンバックの名曲で知られるグランドオペラ「ホフマン物語」の音楽と歌をバレエ音楽として使うという当時全く新しい、すごい野心作であったらしい。映画『赤い靴』のマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが製作・脚本・監督している。英国ロイヤル・バレエ団のダンサーたちが競演。 「赤い靴」と共に名作と言われている映画です。

パンフレット (表紙)

ホフマン物語 The Tales of Hoffmann
監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
撮影:クリストファー・チャリス
音楽:ジャック・オッフェンバック
出演:モイラ・シアラー、ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーン、ロバート・ランスヴィル
製作年:1951
製作国:イギリス
上映時間:128分
受賞歴:1951年カンヌ国際映画祭特別賞。フランス映画高等技術委員会賞 1951年ベルリン国際映画祭銀熊賞

ホフマンが語る三つの恋の物語。全編は「プロローグ(序幕)」と「第一話」「第二話」「第三話」そして「エピローグ(終幕)」を一つの幻想的な様式で構成。

◆プロローグ (序幕) 19世紀、ニュウルンベルクのあるオペラ劇場。
オープニングいきなり、ステラ (ホフマンを愛するバレリーナ) 役のモイラ・シアラーが満場の舞台で踊る「蜻蛉(トンボ) の踊り」がすばらしい! ご存知のとおり蜻蛉の雌は色々と事情があった後に雄を喰い殺しますよね。このあたりの凄味ある踊りはよそ見できない。ゾクッとするョ。妖美!



「蜻蛉の踊り」左頁下と右頁/モイラ・シアラーとエドモン・オードラン

◆「第一話 オリンピアの物語」 エッフェル塔のなかった頃の巴里
バレエでは「コッペリア」で有名。 人形のオリンピアをモイラ・シアラーが演じています。



華麗に踊るオリンピア

オリンピアが「ゼンマイ仕掛けの人形」だという設定が随所にいかされていて、第一話の見せ場になっていてずいぶん楽しませてくれます。ファンタジックで、動きに可愛さと笑いが加わり、 少し怖い場面があったりしますが観ていて楽しく飽きません。
オリンピアを造ったコッペリウスは学生のホフマンに人形のオリンピアが生きているように見える魔法の眼鏡を売り付けます。 ホフマンがその魔法の眼鏡を掛けると、仕上げの眼が入った人形のオリンピアは活き活きと歌い踊りだします。まるで生きているよう。ほかの人形たちも動きだして大騒ぎ。若きホフマンはオリンピアに心を奪われます。オリンピア (モイラ・シアラー) の踊りが冴えわたります。 さあ、一緒に踊ろう!

この映画の全編で良いなって思える場面はたくさんあるんだけれど、僕が「舞台」には無い、「映画」ならではの魅力が最もよく表現されていると思ったのは、短いけれどコノ場面 。

クルッ、クルッ、目がまわる~。

恋する人形のオリンピアと共に踊れるうれしさに有頂天のホフマンはダンスをしながらオリンピアと階段をクルクルと駆け下りていきます。このシーンが見事なんです。二人?を照らすきらびやかな光線が緊張感とスピード感を盛り上げます。
ホフマンのわれを忘れた高揚感がこちらにもよく伝わってきて、思わず僕も楽しくなりました。 だけど、いくら嬉しくてもチョッと踊り過ぎです。 ホラね、階段から二人は仲よく落っこっちゃいました。 どうなるの!?
話は進んで、オリンピアは壊されます。このシーンに僕は少し違和感を覚えるんだけど、 モイラ・シアラーのバレエの魅力が大きく超々上まわっているのでとても満足しています。

さて、 第二話は第一話とチョッと違って大人の雰囲気で迫ります。

◆「第二話 ジュリエッタの物語」 水の都ヴェニス



左下) ゴンドラに乗るジュリエッタ。 小さいので分かるかな?
右) ジュリエッタ役のリュドミラ・テェリーナ

ホフマンはすでに有名詩人になっている。第二話は舞台美術の良さかな? 特にゴンドラにからむシーンが出色。ご存知「ホフマンの舟唄」がバックに流れ、 ゴンドラに乗って歌うジュリエッタ役のリュドミラ・テェリーナがこれまた妖艶。 思わず「ホフマン、気をつけろ!」って叫びそう。でも無理。やはり男女の愛憎劇がくりひるげられるのです。 このあたりは僕がもっとも不得意とするところです。 悪魔も出てきます。悪魔役のロバート・ヘルプマンが歌舞伎役者顔負けのギョウギョウしい演技でとても良い。夢幻的なこの映画の全編で独特の濃厚な光を放っています。

ギロッ!
悪魔(ロバート・ヘルプマン)とジュリエッタ (リュドミラ・テェリーナ)



決斗の場面が近づいてきますが筋書きはソコソコに、映像美を愉しんでほしいです。

◆「第三話 アントニアの物語」 ギリシアのとある小島の古城
第三話はアントニアの「死」が主題になっています。 僕にはとては大きすぎる問題なので、 もっともっとよく考えてみてからお話しようと思います。 それまでお待ちください。

◆「エピローグ (終幕)」
ホフマンが四人の女性と踊る幻想場面。華麗で典雅な英国ロイヤル・バレエ団との競演が繰り広げられます。あれも良いなコレも良いなって感じで堪能した後、 いよいよ最後は種明かし。何の? 人生の。

僕は第三話で息切れしました。でも、この映画は「プロローグ」と「第一話 オリンピアの物語」そして「第二話 ジュリエッタの物語」や「エピローグ」だけでもバレエ映画として十二分に楽しめます。 当然ですが古さも感じます。この映画を封切り当時(69年前)に観ていれば、またどのような感想になっていたでしょうか。 出来れば旬に観たかった映画の中の1本です。 貴方はどうでしょうか?

やっぱり、映画はなんだかんだ云っても、観なきゃ損!

   
左から)ブルーレイ・DVD・ビデオ
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