ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな254・・ハンス・ベルメール 「枝状に刻みこまれた流し目」(復刻版)

2024年09月01日 | ほんだな
あのね、ぼくの伯父さんって憶えてる? ほらっ、いっ時お騒がせしてたでしょう。そうそう"夏のリヴィエラ"のセカンドハウスがどうのこうのと言ってた人。 想いだした? ( ・・・・・・・・※)

その伯父さんから突然、そう、いつも突然だけど小包が届いたんだ。何かな?と一応は思ったんだけどキッと本だろうとアタリをつけて開けました。 あ、ヤッパリ本でした。 ピンぽん! ま、見事と言うか当然と言うか的中したのでひとりgutsポーズで歓びを表現しました。 どんな荷物でもそうなんだけど、何だろう?ってドキドキしながら包みを解く時の快感ってたまんないよね。中身が何かわかっていても嬉しくなるよね。 そんな時、ぼくっていったいどんな顔してるのかな? 別に見なくていいけどね。

さてさて、包を開けると出て参りました。 小さくてお洒落な「本」と1枚の「メモ」、それに「伯父さんの写真」が入っていました。 写真は
あのセカンドハウスをバックに、ニッコリといつもより少しだけカッコつけて写っています。 どんな伯父さんかって? ン~、伯父さんの話は山ほど有りすぎる位あるんだ。 でもここではハブきます! 止まりませんから。
今回は伯父さんが送ってくれた瀟洒なこの本に就いてお話しましょう。 キッと伯父さんもそのつもりだと思います。それでは、・・・エッ、全部フランス語?そんな~っ!せめてスペイン語だったら (スペイン語だったら?) キッパリ分らない。 そっか、じゃあジックリ挿画だけを見なさいってことだよね? (oui!) 了解‼
では、内容については伯父さんが本と一緒にメモを入れてくれてますので、それを。

好奇心旺盛な食いしんぼうの女の子の物語り「枝状に刻みこまれた流し目」(ジョルジュ・ユニェ、ハンス・ベルメール)の完全覆刻。
ベルメールは遊びたわむれる女の子たちを繊細な筆致で描き出し、中世の彩色挿絵師の描く装飾模様のように、本文の余白を美しく
飾っている。 澁澤龍彦「ファンム・アンファンの楽園」 ― gq 3 a quarterly review of graphic work 1973 より―

なるほどね。じゃあ、お皿を目にはできませんので、ここはシッカリと見てみましょう。見た目は楚々としています。 が、さてその中身はどんなんかィな~?

◇ハンス・ベルメール 「枝状に刻みこまれた流し目」(復刻版) 詩 ジョルジュ・ユニェ 13x9,2cm 50頁 1973年 ジイキュウ出版社
*原書:BELLMER Hans‎ 「OEILLADES CISELÉES EN BRANCHE」 Hans Bellmer-‎HUGNET Georges 1939 Editions Jeanne Bucher Paris

表紙 13x9,2cm (文庫本より小さい)
ピンク地にレースの模様。 "何ンだ、この胸のザワメキは⁉"



開くと、(右が表紙で左がうら表紙 ) "実物はもっと、もっと綺麗 ‼"


挿画ー2p/扉


挿画ー13p


挿画ー34p・35p


挿画ー43p


奥付 ーうら表紙の裏ー

この本の最大の魅力はその大きさにあると思います。文庫本より、もう少しちいさめ。手にしたときの程の良さ。掌に収まるサイズがとても良い。造本の愛らしさが絶品!

特に豪華でもなく、派手でもなくです。でもその外見にだまされてはいけません。秘密の遊戯を覗き見る蠱惑的な愉悦と「い・け・な・い遊び」に相応しいひっそりとした空気感をこの本のサイズが満喫させてくれます。 いつまでも自分のものにしておきたいという誘惑にかられる型です。このさりげない軽やかさは、西洋の豪華で重厚な本の歴史があるからこそ、いっそう感じるのかもしれませんね。

「挿画を見た感じどお?」って聞くよね。お答えします。あれもこれもに圧倒されて言葉が籠って出てこない。 ハンス・ベルメールのデッサン力って凄いとしか言いようがありませんね。 見ていてそれぞれの描線が健康的でピーンと張りつめているのでぼくにはとても受け止め切れない。 かと言って "もしや" (…H?) の想いもあったりして目を反らしたくないしなあ・・とか。 ム、ム、ムッツカシイ↗  貴方ならどう感じるでしょうか?

この本はまるで読む人(見る人?)の掌の貝殻にのってぷくぷくと海の泡から誕生したあのボッティチェッリが描いたヴィーナスのようです。 繊細で力がスーッと抜けた達人の業だなあと思いました。

伯父さんのメモのおしまいに 「又、おもしろい本があれば送るからねッ!」って書いてありました。お礼の返メールにぼくは「もちろん本も写真もうれしいけれど、出来ればおいしいお菓子もいっしょにヨロシク!」ってシッカリ書いておきました。 でも次に送ってくる時はキッとお菓子を忘れて本と写真だけ送ってくると思います。
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ぼくのほんだな253・・映画「唇からナイフ」 ジョセフ・ロージー監督/モニカ・ヴィッティ/ダーク・ボガード/テレンス・スタンプ

2024年05月27日 | 映画・クルマ
ひょんなことから昔みた映画を見直しました。タイトルは「唇からナイフ」。 コメディアクション映画です。 貴方は観たでしょうか?

こんなんです。

パンフレット/表紙



「唇からナイフ」 パンフレット A4 1966

「唇からナイフ」 原題 Modesty Blaise(モデスティ・ブレイズ) イギリス・1966年製作 カラー 118分

監督:ジョセフ・ロージー
出演:モニカ・ヴィッティ (女泥棒モデスティ・ブレイズ)
  :ダーク・ボガード(国際犯罪組織の大物ガブリエル)
  :テレンス・スタンプ(モデスティ・ブレイズの相棒ウイリー)

☆解説: 世界的に有名(らしい)なイギリスの漫画「モデスティ・ブレイズ Modesty Blaise」の映画化。『エヴァの匂い』や『召使』のジョセフ・ロージー監督がコメディアクションに挑戦。出演は女泥棒を演じるモニカ・ヴィッティ、 その相棒をテレンス・スタンプがつとめ、マザコンの悪漢を怪演する微笑ましいダーク・ボガード。コミックのヒーロー・ヒロインらしくどなたもあたりかまわずの大活躍!

☆あらすじ: (有って無いようなものですが・・・。)
イギリスは、中東マサラ国の石油をえる際、同国の元首シークの要望を聞き入れた見返りとして、ダイヤモンドを送ることにした。このことが国際犯罪組織の知るところとなり、イギリス秘密情報部長のタラントは女犯罪者・モデスティにダイヤの護衛を依頼する。その際、彼女は相棒のウィリーを協力者としてつけるという条件で引き受ける。 犯罪組織のリーダー・バシリオはモデスティをおびき寄せる形でウィリーを捕らえたうえで、ダイヤを盗んだ。モデスティは色仕掛けと変装でウィリーとダイヤを奪還するが、組織に見つかり窮地に陥る。・・(後略) ーウィキペディア(Wikipedia)よりー

どお?よ~分からないでしょ。 この僕でもよ~分からなかったんだから。 登場するこれらの大物スターが自分たちの役どころからかけ離れたコミカルな演技で、観るものを驚かせたり、戸惑わせたり。 おそらく演じる方もそれを観る方もどちらもワクワク・ドキドキ・ゾクゾクしながら楽しんでたんじゃないでしょうか?

そもそもジョセフ・ロージー監督のコメディ映画は珍しい。 そしてモニカ・ヴィッティがこのような映画に出るのって珍しい。 ダーク・ボガードやテレンス・スタンプもこんな役は珍しい。 これだけの珍しづくしも珍しい。 モニカのぶっ飛んだファッションやボガードのなんじゃこりゃ変身、モデスティ(モニカ・ヴィッティ)危うしで救援に突如現れる大軍団の唐突さ。思わず拍手!ギャグあり、涙なしの全編コレ突飛だらけ!これはもうゴボウあり、こんにゃくあり、人参、油揚げ、干し椎茸ありのまるで賑やかな役者ぞろいの五目ごはんと言うか、かやくご飯の大爆発。 (五目ごはんがお好き?)

こんな豪華絢爛な五目ごはんを更にポップでキッチュなキラキラの五目、いや天目茶碗にてんこ盛り。さあドぉだ!とばかりに愉しげなデュエットもふりかけて、これでもかのドンチャン騒ぎ。

少しお疲れが過ぎたのかペースダウンの処もありながら、ひたすらごちゃ混ぜのノー天気が煌めきわたった、笑っちゃうしかない実におかしな映画でありました。 登場する車はどれもウフフだったし、後半の舞台となる地中海を臨む絶壁にたつ悪漢どものアジトなんかは、 いかにも悪の巣窟あるあるです。ピッタリ!そのロケーションの素晴らしさは息を呑みます。とにもかくにも楽しい映画デス。 僕は好きです。(笑)



ジャ~ン、これが悪漢どものアジトだ!
(サンタレッシオ シークロ城 Castello di Sant'Alessio Siculo・伊)

今日の目線で見ればその出来栄えに物足りなさを言い言いしたいところかもしれませんが、それは曜変天目茶碗を偉大な失敗作だと言うようなものかもしれませんねエ。 (曜変天目茶碗もお好き?)
結果をどお愉しむかは受取る側次第なので大いに論じ合うのも楽しいですよね。
こんなヒッチャカメッチャカな作品を見てしまった当時の僕なんかはもう頭の中もスッカリ、すっちゃかめっちゃかになっちゃって、ただボ~ッとトランス状態になっていたのを思いだしたぞ!(今も変わりません。) 後半テンポがおちて残念なんて言わないけど、(言ってる) このようなよくわからない作品は二度と作れないでしょうし、作らないでしょうね。ってあの時さすがに思ってしまいました。
ついでに思いだしたんだけど、 あの頃世の中は高度経済成長期で僕は *♪ノッテけ、ノッテけ、ノッテけ♪って皆が誘うもんだから、よく分からずに、じゃあ僕も一緒にノッケて、ノッケて、ノッケてってノッケてもらい、オイルショックも何のその、またまたバブルで景気も良くなり勢いづいて遊びに遊び、皆でこのままノッとけ、ノッとけ、ノッとけと調子にノッてたら、 世の中 そおそお調子よいことばかりは続きません。とほほバブルがパッチンとハジけて一斉にひっくり返っちゃった。あとは散々。ご想像にお任せします。でも、ノリやすい僕が何んとか今日までやってこられたのも、ひとえに、僕の努力のおかげだったんデス。 僕って凄~い‼ (・・・長生きして下さい。)

* ♪太陽の彼方に♪ 曲:アストロノウツ。 1964年日本でシングルリリースされました。寺内タケシとブルージーンズをバックに藤本好一の歌でお馴染み(?)

と、言うことで (どう言うこと?) この映画は僕にとってあの大変だった時代のはしりの良き時代の気分を映し出した傑作・怪作でありました。ある意味ぼくにとって心地よい快作でもあったんです。

コレだけの破茶滅茶をやってのけられたのはさすがに良くも悪くもジョセフ・ロージー監督ならではかもしれません。 成功作だとか失敗作だとかを尽き抜けた、味の効いた豪華なハチャメチャ映画と言うしかないんじゃないのぉ? 最後に捕えられた悪漢ガブリエル(ダーク・ボガード)が銃口を突きつけられて言ったセリフなんゾ、ニクイねぇ~。 ダーク・ボガードなればこそですね。このように随所に蒔かれたギャグやしぐさには、唯、おもしろいだけじゃ終わらせないジョセフ・ロージー監督の企らみがあり、僕たちはまんまとノセられたって感じかな?

僕としてはまるで"アンニュイ"がそっくりそのまま女性になったようなモニカ・ヴィッティのカッコいい、生き生きと甦った はしゃぎっぷりを2時間弱たっぷり見られただけでも、もぉ~大満足です。 最初に観たのと今回で二度美味しかったというのが僕の至極他愛のない感想でありました。 (それだけ?) ハイ、それだけです。  
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ぼくのほんだな252・・"冬の星座"と「星座早見盤」

2024年02月20日 | ほんだな
やぁ!寒いけど元気にしてる?貴方は冬の星空をゆっくり見たことあります? キッと無いと思います。(決めつけちゃダメ!無い。)

今、冬の星と言ったけど何も冬に限らず春夏秋冬それぞれに星は在るんだけど、僕の推しはヤッパリ冬の星。何んといっても星が一番際立つのは冬です。 そう、ぜったい冬。 文部省唱歌「冬の星座」にも歌われてますよね。 曲はもちろんだけど、作詞が飛び抜け切ってて非常によろしい。 ~♪木枯らしとだえて ♪さゆる空より~って。

どお、歌える? 皆んなでよく一緒に歌ったよね。そうそう、「さゆる空」と言えば、、、歌が上手だったなあ、吉永さゆるちゃん。セーラー服がよく似合うおさげの可愛い女の子でした。今どうしてるぅ?(なにブツブツ言ってるの?) 歌ってみたくなった? じゃあ、多分歌詞はうろ覚えだろうし、壮麗な文語調なのでわかり難いところもあると思うので、まず僕が少し説明を加えるね。 その後ユックリくっついてくればいいからね。 (大丈夫?)

では、文部省唱歌「冬の星座」について。 作詞:堀内敬三 1947年。

先ず、歌詞から。
▷「木枯らしとだえて さゆる空より」
"木枯らしとだえて" は、木枯らしが途絶えて、 "さゆり・・" イヤ
"さゆる空より" つまり "冴ゆる空より" で空が冴えてるんですね。
▷「地上に降りしく 奇しき光よ」
"地上に降りしく" は地上にバーッと降りしくんだよ。 バーッと。
だからいいんだね。 "奇しき光よ" は、くすしき(不思議な)光です。なんで不思議な光? ま、いっか。 (ではそのへんにしといたら?)

続けます。「もぉ~」「もぉ~の」、 アレ? もぉ~出てこない。エィ!続きは貴方におまかせしまっす。 (ヤッパリ。)
この歌は思い出せなくてもすばらしい作詞であることに違いはありません。 僕が保証します。 (心強いです。)
この詞は僕が堀内さんに教えたわけでは無いんだけど、僕の清楚で高潔な心を鏡に映したような詞になってますね。良く出来てます。歌を聴いていると、胸がギュ~ッとなります。 だからすばらしい歌だと思うんです。 気に入ってます!

で、次は曲の話。「冬の星座」には原曲があるんです。知らなかったと思うんですが、(決めつけちゃダメ!知ってる‼ ) エッ、知ってた?少し話しづらくなりましたが、知ってるところは忘れてください。 19世紀にアメリカ人のウィリアム・へイスが作詞・作曲したんです。原題は「愛しのモーリー Mollie Darling (Molly Darling) 」です。 モーリーという女性に思いを寄せるラブソングになってます。 「Mollie Darling」 William Shakespeare Hays 作詞・作曲 (1872)

歌詞はこんな感じ。

愛しのモーリーよ、
僕だけを愛してるって言っておくれ
君を愛してる、君は僕のすべてだ、
愛してるって 言っておくれ
僕の手を取って 気持ちを感じて
君の心が欲しいんだ、
・・・・・・・・・・・・・・・

恥ずかしくなってきたのでここまで。

「モーリー」を「さゆる」に置き換えれば、ほぼほぼぼ、あの時の僕の気持ちを歌っております。 切なくもあります・・・。

この二つの詞を並べると、原曲の「愛しのモーリー」の詞は通俗的で、「冬の星座」の詞は高尚かな?って感じ。 「知りたくないの」のオリジナル曲「I really don't know」をヒットさせたカントリー&ウエスタンの歌手でもあるエディ・アーノルドが歌う「愛しのモーリー(Molly Darling)」を聴いていると「冬の星座」と同じ曲だとはとても思えない。 「冬の星座」とは別の歌になってます。僕もこの原曲のように二つの違った側面を合わせ持つような深遠な性格なので、どちらの歌の魅力も良~っくわかります。 通俗的な「愛しのモーリー」の素朴さがスキ。 高尚な「冬の星座」の敬虔さもスキ。

明治期に創られた童謡・唱歌にはこの「冬の星座」のように外国の曲に詞を付けた多くの優れた歌が残されています。 御見事!

以上、「冬の星座」と「Mollie Darling」 、それぞれの違いとすばらしさ、そして僕の"ブツブツ"もよくお分かりいただけたのではないでしょうか? (ハイ。次!)

星空はプラネタリウムでも見られるし、コタツに入ってても目に浮かべることは出来ます。が、ココは生でしょ。 だからと言って、手ブラじゃ駄目だよ。 ぼ~っと眺めてては勿体ない。 (ぼ~っとは昼間だけ。) そう!星には"星座"ってものがあるんです。先人達が想像力のありったけを膨らませてロマン溢れる豊かな物語を紡ぎ出してくれてるんだから十二分に味わわなくっちゃ損。

そこで、登場するのが「星座早見盤」です。 昔っからあるもんですね。 「星座早見盤」の古いのは主にドイツ製が多く、ホウィッテカー社(Whittaker)やクリッペル社(A.Klippel)、それにイギリスのフィリップ社(Philips)等から販売されていました。イギリスのフィリップ社から販売されていた星座早見盤なんかも製造はドイツであったりもしたようです。 ちょっとだけ見てみて。 こんなんです。


左)おもて面/右)うら面  "もう芸術品だよね。"

「ホウィッテカー社星座早見盤」 1890年頃 Whittaker(ドイツ)

ここで僕が長年愛用していた星座早見盤をお見せします。 ♪古いやつだとお思いでしょうが、 古いやつです。 1951年発行ですから。 わたくし古いやつが好きなので御座います。 新しいのも好きなので御座いますけど。これまでのような厚紙製でないプラスチック製の新しい星座早見盤も愛用しております。 (♪古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。) エッ、なにか言った? その"証拠"に古いのも新しいのもどっちもお見せしましょお。 さあ、どうだ!
(べつに"証拠"は要りませんけどね。)

では古いのから、



↓下の「星座早見盤」を入れる外袋。
(あちこちにシップをペタペタ貼りながら、頑張ってきましたね。)

左)おもて面/右)うら面  (なるほど古い。)

三省堂 改訂版『星座早見』編者・日本天文学会 昭和26年9月15日初版発行 定価¥180 三省堂出版株式会社

そして、こちらは新しいの。

プラスチックの円盤を2枚合わせて真ん中で留めてあるだけの新しい星座早見盤。 シンプルです。なによりも美しい!


左)おもて面/右)うら面  "どお、美しいでしょ‼ "

「星座早見盤」 〈スターハーモニー〉 1109(星座絵入り)¥1,630 税込 渡辺教具製作所

ここで突然、"おめでとうございま~~す‼" パチ、パチ、パチッ!
ここまで読んでくれた貴方に【特典】として僕が愛用していた保育社のポケット図鑑をお見せします。貴方だけに。 (ご丁寧に)
コレも相当古いです。 この古さがたまりません!


左) 表紙カバーおもて/右) 表紙カバーうら


右) とびら〈もくじ・絵は「おおぐま座」)


ペガススとアンドロメダ 〈左頁の星に星座の絵を重ねたのが
右頁。〉


右)アンドロメダ姫の受難 (oh! ヘルプ ミー)


冬の星空 (満天の星)

「美しい星空」(保育社のポケット図鑑2) 編著者 理科教育研究委員会 監修・佐伯恒夫 昭和27年10月15日発行 定価150円 保育社

さあ、持っていくものは揃った。 いざ、星空をわがものにすべく、とっとと外に出よう!夜空は満天の星。 どこもかしこも星だらけ。 冬、ど真ん中。今ですよ、今!
"スマホを捨てよ、星空を仰ごう!" 星空は貴方を待ってるゾ~! レッツ・ゴー‼ わっ、寒む~ 暗ら~ 眠むた・・・・・・グ~ッ グ~。  (アラっ、静かになっちゃった)
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ぼくのほんだな251・・「和製マジョリカタイル ー憧れの連鎖」

2023年11月28日 | 美術・工芸
♪ タイルと呼べば お風呂屋と答える 桶のこだまの うれしさよ 

【注】〈♪二人は若い〉のメロディーに載せて軽快に唄うこと。

(ん、あなた おいくつ?) 。  ・・・・・・・・💧

あなた おいくつ?は置いといて、タイルと聞いてまず思い浮かべるのはお風呂屋さんだよね。 えっ、知らない? 今はマイハウスのバスルームもキッチンもトイレだって もうタイルじゃ無くなってきてるって? そっか~。 だよね。 嗚呼、湯煙やタイルは遠くなりにけり。

それじゃあ、貴方は「和製マジョリカタイル」ってご存知ないよね? そぉ、ご存知ナイ! こりゃまた失礼いたしました、と引き下がりませんよ僕は。それがどれだけ美しく、 それがどれだけ魅惑的なモノなのかを知らないなんて、僕なんかもうとっくの昔から知りませんでした。 (???。) だから今、この初めての出合いでキッと僕と同じように貴方も「和製マジョリカタイル」に "一目惚れ"ってことになると思われます。 ゆっくりとお話ししますので、あせらずにおつきあいくださればね。 この本、薄手だけど素晴らしいんだから!


 

「和製マジョリカタイル―憧れの連鎖」 INAXライブミュージアム企画委員会/企画 加藤愛子/デザイン B5判 64頁 2018 本体1500円 LIXIL出版

左/おもて表紙
〈タイル写真〉20世紀前半 INAXライブミュージアム蔵
・1段目 多色チューブライニングタイル(草木と鳥) 不二見焼製
・2段目 多色草花文チューブライニングタイル  佐治タイル製
・3段目         〃          製造会社不詳
・4段目 多色草花文レリーフタイル  不二見焼製

右/うら表紙
 船岡温泉(京都) 浴室への通路壁面の和製マジョリカタイル

そもそも「和製マジョリカタイル」って何んだ?と多分お思いでしょうから、その質問に先回りして快くスバヤクお答えします。
もちろん僕ではなく、本誌にある的確な説明からです。

「和製マジョリカタイル」とは、主に大正初めから昭和10年代に日本で生産された多彩色タイルで、 近代イギリスのヴィクトリアンタイルを模倣した物です。 代表的タイルメーカーのミルトン社が、イタリアやスペインのマヨルカ焼の流れを汲む多彩色表現という意味で「マジョリカタイル」という商品群を売り出し、日本でもそれを呼び名としたようです。明治維新後、欧米人の住居でヴィクトリアンタイルの意匠の美しさや耐火性・耐水性などの機能を見て、日本の設計者たちは国内での生産を望みました。(後略)」ー本文より抜粋ー



扉/多色花文チューブライニングタイル 淡陶製 20世紀前半
Danto Tile蔵 "いきなりグッとくるね。"



右/多色草花文チューブライニングタイル 淡陶製 20世紀前半
INAXライブミュージアム蔵
左/ "多すぎて書けない。ゴメン。"



右上/多色薔薇文レリーフタイル 佐治タイル製 20世紀前半
INAXライブミュージアム・常滑市蔵
右下/多色草花文チューブライニングタイル 佐治タイル製
20世紀前半 INAXライブミュージアム蔵
左/ "又もや多すぎて書けない。ゴメン、ゴメン。"



中扉/多色草花文チューブライニングタイル 製造会社不詳 "渋!"

本誌は「和製マジョリカタイル」の誕生とその後の展開が美しいタイル写真やわかりやすい文章でコンパクトにまとめられています。
書名に"憧れの連鎖"とあるように、先人たちの底にある"ヴィクトリアンタイルへの憧れ"が 硬質陶器タイルの国産化の成功や多彩色表現の技術習得とそれを継承する努力、そして輸出先の好みを探る奮闘など等の連鎖を起こし、和製マジョリカタイル誕生の原動力になったんだなと納得!です。

今日まで脈々と続く、いつの時代にもどんな状況にあっても噴き出すヤッタルで精神と技術の底力が輸出を支え続けてきたんだね。 陶磁器の「柿右衛門」や「オールド・ノリタケ」をはじめ、 "オキュパイド・ジャパン"の「ブリキ玩具」。それに「琉球ガラス」など、皆そうなんだよね。 「和製マジョリカタイル」も製造者や貿易商とが一緒になって頑張ってつくり上げた結果インドや中国・東南アジアやアフリカまでも広く受け容れられて隆盛を極めたんですね~。 ん、 〇。

「和製マジョリカタイル」と台湾の繋がりは世界各国の中でも特別のようです。 先月刊行されたばかりのこの本にも台湾と日本を繋ぐタイルの歴史が多くのカラー図版とともに詳しく書かれています。

表紙 (フラワータイル)

「台湾 和製マジョリカタイルの記憶」 康鍩錫/著 大洞敦史/翻訳 2023 ¥2,420 トゥーヴァージンズ

日本統治時代の後半、台湾本島や金門島などで流行した「花磚」と呼ばれる彩色タイル。「和製マジョリカタイル」と日本で呼ばれるそれは、今日、わずかに残存する古い建物においてのみ見られ、その数は日に日に減りつつある。-Google Booksより-

内容はすっごく充実してます。 台湾で減っていくタイルの保存活動を若者が中心となって推進していて、目をみはるような素晴らしいタイルが生き続けているそうです。 そして台湾にはマジョリカタイルの博物館「台湾花磚博物館」があるらしい。 行ってみたいなあ。

「和製マジョリカタイル」の生い立ちやその美貌や生き様に就いて深く知れば知るほど私くしはドンドン好きになってしまったゾ~。

そうそう、僕が好きな「和製マジョリカタイル」はどれ?って聞いてくれませんか? (どれ?) そうですね、聞かれたからいいますけど、表紙の二段目にある幾何学文様のタイルかな? でもひとつに決めるのは無理。 アレもいいし、アレのアレもいいし。 絶対に無理!! 貴方も好きなタイルを見つけてみては? コレだって決めなくても、いぃよぉ~。
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ぼくのほんだな250・・「マゾヒストたち」 ロラン・トポール 澁澤龍彦/編 堀内誠一/装釘

2023年09月21日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
イタイ、イタイ、いたい、♪あなたに あ、いたくて~じゃなくて、とにかく痛いンですよ。(どこが?) 胸が。 (どした?) この本を見てたら
胸がキリキリ痛むんです! (だったら見なければいい!) でも見たいんだよね。(どっちかにせい!) じゃあ、見る!!

最初、怖そうだから そおっと片目でチョッとづつ見てたんだけど、そのうち自分でも知らずしらずのうちに引き込まれていったんだね。 いつの間にか両目でシッカリ見てました。 目が離せなくなっちゃったんだ。そしたら急に胸がドッキン・ドッキンしてきて、 わっ痛ッ! わかる? (いえ、その本見てないからわかりませ~ん。)
ア、そっか。じゃあ、お見せしなくちゃね。 (いらない。)
そう遠慮なさらずともお見せしますので。 ハイ、こんなんで~す!

 
函おもて/函うら

 「マゾヒストたち」 ロラン・トポール 澁澤龍彦/編 堀内誠一/装釘 1972 初版 定価680円 薔薇十字社



帯/表・裏 (どうだ!読めないでしょ。)

・帯のおもて(左)には
―贅沢に育てられた狂気の所有者・・・・・フランス・ブラックユーモア界の異才トポールが描くマゾヒストたちへの讃歌― とあり、

・帯のうら(右)には
―《苦痛を欲する人たち》というマゾヒストの定義を純白の心で把えて描き出すことによって、恐怖から立ちのぼるユーモアの
破壊力と衝撃を再発見させるトポールの代表作漫画集― と書かれています。

ここで、簡単にロラン・トポールに就いてふれときます。
ロラン・トポールはフランスのイラストレーター、漫画家、画家、小説家。 1938年パリ生れです。ルネ・ラルーと組んだアニメ『ファンタスティック・プラネット』は有名。ご存知? 以上、簡単でした。

それでは本題に。内容は《LES MASOCHISTES》と《トポール傑作選》で構成されています。

 
おもて表紙/うら表紙

《LES MASOCHISTES》より (1960)










《トポール傑作選》より



〈あとがき〉に澁澤龍彦は

「マゾヒストの論理が貫徹されればされるほど、それと世の常の論理とのあいだに、奇妙な違和や対立が明からさまになるのである。それが私たちには、殊のほか面白いのである。」と。 又、「どの漫画にいちばん激しい衝撃を受けるかで、被験者の潜在意識やコンプレックスを解明する上にも役立つのではあるまいか、と私はひそかに考えている。」と記している。

例えば、

①(右)あるファッション・モデルが選んだ「鉄板の上にすわり、自分の大腿を輪切りにして、フォークで刺して食べようとしている男の絵」がぞっとするようだという。⇒ 彼女は形のよい大腿が自慢なのかもしれない。

②(右)また、「鑢(やすり)で指を磨滅させてしまった男の絵」がいちばん怖いと言った女性は⇒ 丹念に爪を磨く性癖の持ち主なのかもしれない。

と言った風に。

ちなみに澁澤龍彦がいちばん怖いと思う絵として一点あげたのは、

③(右)「巨大な大根おろしのような器具で、自分の顔をすりおろしている男の絵」だそうです。 これを貴方ならどう解釈する?

この本は、ぼくのように怖がりの人には敬遠されてしまいそうな「テーマ」を扱っているけど、それをズバっと取り上げて、このような手に取りやすいシャレた本に仕立て上げた魔法使いはいったい誰なんだろう? 編者の澁澤龍彦? それとも装釘した堀内誠一? どちらもそうだろうけど、やはりここは、かつて甘めで華麗に出版界を彩った薔薇十字社の内藤三津子だろう、です。 本書に「内藤好み」が見て取れるのが微笑ましいなあ。 でも、トポールのテイストはスッゴ~く強烈なので、 シッカリまとめ上げるには大いに悩ましかったのでは?

そして、"上品でない狂気のトポール"(と、前書きでステルンベールが書いてる)がこの本を見た時どう思うかな?

ぼくはねェ、最初なんだか違和感があって痛そうだからノーサンキューだったんだけど、そこが又、味があっていいんだよと囁く声がどこからか聞こえてきたりもするんだよね。 (どっちやねん。)
で、読み終えたあとのぼくとしては "どっちも~" っていう感じ。 怖いもの見たさかな? どうも好きになってしまいそうで自分が怖いんだけど・・。 貴方はどうでしょうか?
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