ぼくのほんだな

フワフワした僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな215・・「書肆ユリイカの本」 田中栞

2016年12月02日 | 美術・工芸
わあ、スゴイ。 もうもう、ここまでやっちゃうの?ってカンジ。 これはたいへんだ! いや、たいへんじゃないのか、好きだったらね。 いや、ヤッパリたいへんだ!いや、そうじゃないなあ。 ん・?・・? (さっきから、なにブツブツ言ってるの?) ウン、この本を読んでて、あれこれ万感胸に迫りくるってるの。  (どんな本?)  こんな本↓


      

「書肆ユリイカの本」 田中栞 高麗隆彦/装幀 2009 定価(本体2400円税別) 青土社

「書肆ユリイカ」って出版社はね、1956年に伊達得夫が設立した出版社で、昭和20~30年代にたくさんの美しい詩書を生み出したんです。
その「書肆ユリイカ」が出版した本たちを、田中栞さんがほとばしる情熱でもって追っかけ続け、蒐め、調査し、まとめる、不撓不屈の涙ぐましくもあきれ返るお話が数字とともに、この本にギッシリと綴られています。

まず、口絵にある美しき「書肆ユリイカ」の本たちを見よ!



どう?栞さんが蒐めたくなる気持ち分かるよね。 なに?分からない? じゃあ、この本のお薦め文を読んでみて。

原口統三、稲垣足穂、那珂太郎、中村稔、飯島耕一、吉岡實、清岡卓行、大岡信、入沢康夫…。燦然と輝く戦後詩人の初期作品を大胆に出版し、現代詩の行方を決定づけた小さな出版社・書肆ユリイカ。その詩集・戯曲・翻訳・雑誌などを幾多の困難も排して徹底追求し、蒐集・鑑賞・調査と、あまりにも巨大なる遺産を自在かつ緻密に愛で尽くした情熱の書。(「BOOK」データベースより)

「これは少しばかり寒くなったからってオーバーなお薦め文じゃない?」って思いました? いやいやそうではありません。 まだまだ派手さが足りないくらいです。 本文の末尾に書かれた著者の次の文を読めば、キッとうなずけるはず。

平成二一年八月現在、筆者の手もとには書肆ユリイカの本が二五四冊(異版・異刷・異装本二二冊を含む)雑誌が八四冊ある。他に、完本を買い直したり、持っているのを忘れて買ってしまったりした重複本が四二冊 雑誌の重複が九冊ある。こうして買いまくってもまだ完揃いには至らず、当分は蒐める楽しみを続けられそうである。

はてさて、こんな田中栞さんってどんな人?

昭和34年、横浜生まれ。書物研究家、製本教室・版画教室講師。書肆ユリイカの書籍198点241冊・雑誌80点98冊を蒐集所蔵(異装異版異刷を含む)、出版文化史的・書誌学的見地から分析研究する。栃折久美子氏に西洋式製本術を遠藤諦之輔氏に和本製本術を師事、全国各地で豆本製本教室を開催。(「BOOK著者紹介情報」より)

これほどまでに栞さんを駆り立てる「書肆ユリイカ」の本って、例えば、例えばだよ、僕の目の前のデカいショーケースにズラっと並べられたキラキラ輝くスイーツの『おやつ』みたいなもんだよね? ゼッタイ翔びつくよね!(そのたとえねェ・・・。)
栞さんってキッと「もの」としての本が狂おしく愛しいんだ。 本だからもちろん中味が大事なんだけど、本という「もの」としての佇まいも大切にしてほしいんですよね。 「書肆ユリイカ」はこのどちらの要素もあわせ持った数多くの美しい本を奇跡的に出版し続け、残したのだから、栞さんがはまったのもアイ・シーです。 伊達得夫もこんな凄まじい彼女が現われて、キッと愕きながらも「ウンウン」と目を細めてうなずいているのでしょうか。

タイトルは同じですが、書影をより多くのカラーで収めた冊子も出ています。

全16頁

「書肆ユリイカの本」 田中栞 A5判 平16年 定価(本体476円+税) 紅梅堂

栞さ~ん これからもどんどんガンバって、 ぶっ倒れても 知らんぷりして「書肆ユリイカ」の本を蒐めまくってねぇ! これは僕の希望で~す。 言ってみただけなので、気にしないでね~!  
コメント
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