ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな250・・「マゾヒストたち」 ロラン・トポール 澁澤龍彦/編 堀内誠一/装釘

2023年09月21日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
イタイ、イタイ、いたい、♪あなたに あ、いたくて~じゃなくて、とにかく痛いンですよ。(どこが?) 胸が。 (どした?) この本を見てたら
胸がキリキリ痛むんです! (だったら見なければいい!) でも見たいんだよね。(どっちかにせい!) じゃあ、見る!!

最初、怖そうだから そおっと片目でチョッとづつ見てたんだけど、そのうち自分でも知らずしらずのうちに引き込まれていったんだね。 いつの間にか両目でシッカリ見てました。 目が離せなくなっちゃったんだ。そしたら急に胸がドッキン・ドッキンしてきて、 わっ痛ッ! わかる? (いえ、その本見てないからわかりませ~ん。)
ア、そっか。じゃあ、お見せしなくちゃね。 (いらない。)
そう遠慮なさらずともお見せしますので。 ハイ、こんなんで~す!

 
函おもて/函うら

 「マゾヒストたち」 ロラン・トポール 澁澤龍彦/編 堀内誠一/装釘 1972 初版 定価680円 薔薇十字社



帯/表・裏 (どうだ!読めないでしょ。)

・帯のおもて(左)には
―贅沢に育てられた狂気の所有者・・・・・フランス・ブラックユーモア界の異才トポールが描くマゾヒストたちへの讃歌― とあり、

・帯のうら(右)には
―《苦痛を欲する人たち》というマゾヒストの定義を純白の心で把えて描き出すことによって、恐怖から立ちのぼるユーモアの
破壊力と衝撃を再発見させるトポールの代表作漫画集― と書かれています。

ここで、簡単にロラン・トポールに就いてふれときます。
ロラン・トポールはフランスのイラストレーター、漫画家、画家、小説家。 1938年パリ生れです。ルネ・ラルーと組んだアニメ『ファンタスティック・プラネット』は有名。ご存知? 以上、簡単でした。

それでは本題に。内容は《LES MASOCHISTES》と《トポール傑作選》で構成されています。

 
おもて表紙/うら表紙

《LES MASOCHISTES》より (1960)










《トポール傑作選》より



〈あとがき〉に澁澤龍彦は

「マゾヒストの論理が貫徹されればされるほど、それと世の常の論理とのあいだに、奇妙な違和や対立が明からさまになるのである。それが私たちには、殊のほか面白いのである。」と。 又、「どの漫画にいちばん激しい衝撃を受けるかで、被験者の潜在意識やコンプレックスを解明する上にも役立つのではあるまいか、と私はひそかに考えている。」と記している。

例えば、

①(右)あるファッション・モデルが選んだ「鉄板の上にすわり、自分の大腿を輪切りにして、フォークで刺して食べようとしている男の絵」がぞっとするようだという。⇒ 彼女は形のよい大腿が自慢なのかもしれない。

②(右)また、「鑢(やすり)で指を磨滅させてしまった男の絵」がいちばん怖いと言った女性は⇒ 丹念に爪を磨く性癖の持ち主なのかもしれない。

と言った風に。

ちなみに澁澤龍彦がいちばん怖いと思う絵として一点あげたのは、

③(右)「巨大な大根おろしのような器具で、自分の顔をすりおろしている男の絵」だそうです。 これを貴方ならどう解釈する?

この本は、ぼくのように怖がりの人には敬遠されてしまいそうな「テーマ」を扱っているけど、それをズバっと取り上げて、このような手に取りやすいシャレた本に仕立て上げた魔法使いはいったい誰なんだろう? 編者の澁澤龍彦? それとも装釘した堀内誠一? どちらもそうだろうけど、やはりここは、かつて甘めで華麗に出版界を彩った薔薇十字社の内藤三津子だろう、です。 本書に「内藤好み」が見て取れるのが微笑ましいなあ。 でも、トポールのテイストはスッゴ~く強烈なので、 シッカリまとめ上げるには大いに悩ましかったのでは?

そして、"上品でない狂気のトポール"(と、前書きでステルンベールが書いてる)がこの本を見た時どう思うかな?

ぼくはねェ、最初なんだか違和感があって痛そうだからノーサンキューだったんだけど、そこが又、味があっていいんだよと囁く声がどこからか聞こえてきたりもするんだよね。 (どっちやねん。)
で、読み終えたあとのぼくとしては "どっちも~" っていう感じ。 怖いもの見たさかな? どうも好きになってしまいそうで自分が怖いんだけど・・。 貴方はどうでしょうか?
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ぼくのほんだな240・・西村玲子と佐伯俊男の"2人のイラストレーション"《ご案内》

2021年04月01日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
イラストレーター、エッセイストの西村玲子さんが1月24日肺腺がんのため亡くなられました。78歳でした。 豊かで心地よい暮らしの提案をされてきました。
「西村玲子」と名前を聞いてもピントこない方もおられるかもしれません。 でもその作品を見ればキッと多くの方がハイ、ハイ、ハイってうなずく筈です。

   
左) 「西村玲子のおしゃれ絵ブック」 角川文庫
中) 「暮しのときめき図鑑」 集英社文庫
右) 「玲子さんのシネマの贈りもの」 講談社文庫

  
左) 「よそおい手帖」 毎日新聞社 右) 「花とともに夢みてばかり」佼成出版社

どお?うなずけました?? (ハイ、ハイ、ハイ。)

玲子さんについてぼくはあまり詳しくないのでぼくのおばさんに聞いてみることにしました。と言うのも、ぼくのおばさんがよく玲子さんについて話をしていたのを思いだしたからです。 さっそくメールをピッ。

ぼくのおばさんから郵便物が届きました。
さすが、ぼくのおばさん 早ゃ! オッとそうだ「私をご存知ない方にお話をするときは枕詞のようにいつも"おしゃれな"って付けなさい」と云われてたっけ。
では、改めまして"おしゃれな"ぼくのおばさんからの郵便物はナンだろう?
開けてみると中に四角い白の封筒と手紙が入ってる。四角い封筒のおもてには"2人のイラストレーション"《ご案内》って印刷されている。玲子さんからの展覧会へのお誘いです。その下に「佐伯俊男」「西村玲子」って2人の名前と住所・勤務先が書いてある。

白い封筒


"2人のイラストレーション"《ご案内》佐伯俊男 西村玲子

そしてその白い封筒の中には四枚のカードが入ってる。こんなのが出てきたあ~。

1枚目
佐伯俊男*西村玲子

2 illustration by toshio saeki reiko nishimura
"2人のイラストレーション" 佐伯俊男*西村玲子 《ご案内》
とき/9月30日―10月5日 ところ/千日画廊〈大阪千日デパート2階〉毎日午前10時―午後9時30分

2枚目
佐伯俊男*西村玲子

秋のひとときを 心ブラでお過ごしになりませんか マーブル通りがあなたの靴といっしょに 見事なハーモニーを奏で たのしいひとときをお約束するでしょう そして もう少し足をのばしてみませんか 千日デパート2階まで・・・ わたしたちの作品を見ていただきたいのです "2人のイラストレーション" やっと、こぎつけました わたしたちは作品以外におもてなしする術を何も知らないのです ー案内文ー

3枚目
佐伯俊男
(極々わずかに強烈な個性の片鱗がうかがえます)

4枚目
西村玲子
(コレが玲子さんの50数年前のイラストレーションです。 初々しいですね)

同封されていた"おしゃれな"ぼくのおばさんからの手紙には、おばさんが机の引き出しの奥にしまってたこの案内状をぜひ見て欲しかったこと、そしてこの案内をもらって初めて展覧会場に足を運び、そこで玲子さんと愉しくおしゃべりをしてからもう50年以上。 この案内状が自身の若かった時のことを懐かしく思い出させてくれたことや、 玲子さんが亡くなられた哀しさと、時を同じくしてきた歓び等が、ない交ぜになって綴られていました。 ぼくには知りえないところもあるんだけど、 玲子さんという穏やかな温もりを失った"おしゃれな"ぼくのおばさんの言い得ない寂しさは僕にも伝わってきました・・・。
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ぼくのほんだな232・・『「ニューヨーカー」物語』ブレンダン・ギル / 常盤新平(訳) / 和田誠(装幀)

2019年02月26日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
「ニューヨーカー」って知ってる? 聞いたことある? 「ニューヨークー」じゃないのかって? いえ「クー」じゃなくて「カー」なんだけど!「それってニューヨークに住んでる人のことでしょ」だって?あ~っ、つまんない、つまんない。 あたりまえに応えちゃダメ!例えば、「ニューヨークで走り回ってる車のことじゃないの?」とか貴方が言うんだ。すると僕がすかさず、そうそう皆がいう黄色いタクシー「イエローギャブ」ってやつのことだよ。おっと違う違う、ウッカリ乗っちゃうとこだった・・・ってなるハズだったのに! あゝ、つまんない! (そんなのひとりでやって。)
僕が言いたかったのは「ニューヨーカー」ってニューヨークで発行されてる雑誌だってこと。そして愉しくて、骨のある雑誌なんだよってことです。

  
左)Februarry 21,1925(創刊号)/May 6,1972/Jan 21,1985

もう少し詳しくいうと、 いえ僕が言うんじゃないです、 「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」が言うんですけど、

ニューヨーカー The New Yorker
アメリカの週刊誌。 1925年ハロルド・ロスが創刊。ニューヨーク市とその周辺の芝居や音楽会などの案内とともに,洗練された短編小説,詩,漫画,書評などを掲載する。都会的趣味により幅広い知識人層に受入れられ,D.パーカー,サーバー,E.B.ホワイト,J.D.サリンジャー,カポーティ,アップダイクら,いわゆるニューヨーカー派の洒脱な作家が輩出した。

と、いうことです。 又、W・H・オーデンの詩に、

「もし選ばなきゃならぬなら異常な方を選べ。
『ニューヨーカー』を読み神を信じよ」
という句があるそうです。

その「ニューヨーカー」の半世紀を舞台にして繰りひろげられたドラマを活き活きと綴ったのが本書『「ニューヨーカー」物語』です。 図版も多数入っていて話を盛り上げてくれます。 面白くないわけはありません。 その帯文には・・

喜劇や悲劇はもちろん、ドタバタもあり、ミステリーもある!
ニューヨークの作家や編集者たちが半世紀に亙って演じたオムニバス・ドラマ
舞台は西43丁目の「ニューヨーカー」編集部。 主演は奇矯な言動で有名な編集長ロスと、彼の後継者で人混み恐怖症のショーン。 ほかに有名無名の名脇役たちが多数登場!

出版社の宣伝文句には、

勇敢で臆病、残酷で心優しい編集長、H・ロス。アメリカ有数の週刊誌を創った男と、その傘下に集まったユニークな人間達との愛憎こもごもの歳月を描く。

と、あります。決してオーバー目ではありません!

では、その『「ニューヨーカー」物語』を見てみましょう。

  
表紙カバー/帯付き(帯の色が洒落てますね。)

『「ニューヨーカー」物語―ロスとショーンと愉快な仲間たち 』
ブレンダン・ギル 常盤新平/訳 和田誠/装幀 定価2,900円 1985 新潮社


  
表紙/扉(扉もスッキリ。)

作家もいいけど、漫画家もたくさん登場します。 例えば・・

チャールス・アダムス(Charles Addams)。丘の上にある洋館に住むアダムス一家の「アダムス・ファミリー」シリーズで有名。 ダーク・ユーモアがお好きな方はよくご存知だと思います。


チャールス・アダムスのページ。

ご存知!スタインバーグ(Saul Steinberg)。 「ニューヨーカー」に登場するまでの経緯や彼にまつわる知らなかった話を読むとやはり面白くってワクワクするなぁ。


ソール・スタインバーグのページ。

ピーター・アーノ(Peter Arno)。1930年代に彼は自分専用のレーシング・カーを設計した。(下の右頁) レーシング・カー製作後のエピソードはいかにも漫画家らしく、人を喰っていて笑える。


ピーター・アーノのページ。

そして、『ニューヨーカー』の愉快な(だけではない)仲間たちが 空前絶後の勢揃い! 出席拒否の方もおられたとか。 さすがぁ~。



アーヴィン・ペン撮影 1947年の「ヴォーグ」に載った。

人が集まるところドラマあり。 一癖、二癖ある連中なら尚更のこと。 丁々発止の連中たちとシッカリ切りむすんで、その内側にどれだけ触れられるでしょ~か? 写真や漫画を見てるだけでも楽しいよ。
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ぼくのほんだな229・・「少年漫画劇場」 全12巻 筑摩書房

2018年08月29日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
叔父さ~ん, おひさしぶりで~す!        
                    (○叔父さん●ぼく)
●相変わりませずですね。
○もちろんかな!
●じゃあその勢いで、今回は「叔父さんと漫画」をテーマに喋りまくってください。 暑いので僕は聞いてますから。
○まかせなさ~い! では、叔父さんがまだ若かりし頃にどっぷりと浸った漫画について喋べりまくることにしましょう。
●どうぞぉ。
○今もそうかもしれないけれど、あの頃はおもしろい漫画がたくさんあり過ぎてましたね。
●たとえばどんなの?
○いろいろなジャンルがあってそれぞれに楽しさが違うので、どれがってなかなかズバッと言えないんだけど。
●じゃあどうするの?
○幸いここにその難題に応えられそうな太っ腹の全集というか本があるんで紹介します。 実は持って来てたんですがね。
●それで?
○この本には、当時それぞれのジャンルで活躍していた代表的な作品がたくさん載せられています。 ほとんど知らないと思います。 それはかまわないんです。 知らないからって非難はしません。 人は全てを知ることはできませんから。 ただ,見たときに"いいわぁ"とか "愉しそうっ" とか、おもわず 声に出してもらえればいいんです。 リアクションですね。 叔父さんはそれをとても期待したい、かな?
●わっ、それってハードル高そおっ!
○じゃあ、適当でいいです。
●では叔父さん、あとは好きにやっててください。 僕、眠くなってきましたの・・・・zzzz・。
○じゃあ、ご覧いただきましょ。 オールキャストです。ビシッ!



「少年漫画劇場」 全12巻 中島かほる/装幀 1971-1973 各巻定価700円 筑摩書房

(「文字が小さくて読めな~い!」とおっしゃる貴方には○○ルーペではなく、下記の〈内容の詳細〉をおススメします。)

第1巻は山川惣治の「少年王者」です。

 
ケース/表紙(ビニールカバー)

 
扉/口絵

全巻のケース表紙です。


1冒険活劇/2冒険活劇/3空想科学


4空想科学/5時代劇/6時代劇


7探偵推理/8西部劇/9スポーツ


10スポーツ/11ユーモア/12奇想天外

世の中の進むテンポが速くなって、1959年に漫画雑誌も月刊から週刊に移っていくなか、作品も劇画というかリアルを求める大きな流れへと変わっていきました。 この「少年漫画劇場」はこのような変化が起きる前の時代を代表する数々の作品を集大成したものです。

〈内容の詳細〉

1冒険活劇 ― 解説:唐十郎 鈴木志郎康 (1971.10)
 少年王者○山川惣治
 太平原児○小松崎茂
2冒険活劇 ― 解説:上野昻志 (1972.6)
 砂漠の魔王○福島鉄次
 コックリくん○塩田英二郎
 ロボット三等兵○前谷惟光
3空想科学 ― 解説:巌谷國士 (1972.2)
 来るべき世界○手塚治虫
4空想科学 ― 解説:藤川治水 (1972.6)
 ふしぎな国のプッチャー○横井福次郎
 鉄腕アトム○手塚治虫
 鉄人28号○横山光輝
5時代劇 ― 解説:金井美恵子 (1971.12)
 猿飛佐助○杉浦茂
 あんみつ姫○倉金章介 (*「ぼくのほんだな122」も見てね。)
 カンラカラ兵衛○原一司
6時代劇 ― 解説:北山修 (1972.3)
 赤胴鈴之助○武内つなよし
 さいころコロ助○益子かつみ
 死神剣士○白土三平
7探偵推理 ― 解説:鶴見俊輔 (1971.11)
 ビリーパック○河島光広
 朱房の小天狗○うしおそうじ
 ケン1探偵長○手塚治虫
 月光仮面○桑田次郎
8西部劇 ― 解説:鶴見俊輔 (1971.8)
 サボテン君○手塚治虫
 弾丸トミー○杉浦茂
 死神小僧キム○白土三平
9スポーツ ― 解説:虫明亜無呂 (1971.9)
 バット君○井上一雄
 イガグリくん○福井英一
10スポーツ ― 解説:草森紳一 (1972.6)
 ダルマくん○田中正雄
 ジャジャ馬くん○関谷ひさし
 もうれつ先生○寺田ヒロオ
11ユーモア ― 解説:井上ひさし (1972.1)
 かば大王さま○新関健之助
 ポコタン○馬場のぼる
 ポスト君○馬場のぼる
 ブウタン○馬場のぼる
12奇想天外 ― 解説:佐藤忠男 (1973.10)
 冒険狂時代○手塚治虫
 ピストルボーイ○杉浦茂
 キャラメルはしょっぱいこともある○馬場のぼる

これらの中で若かりし頃の叔父さんを大いに愉しませてくれたのは、「鉄人28号」や「猿飛佐助」や「あんみつ姫」、それに「赤胴鈴之助」と「イガグリくん」等々、他にもたくさんあります。

作者でけっこう好きだったのが「杉浦茂」や「うしおそうじ」でした。 杉浦茂の「ドロンちび丸」([ぼくのほんだな122]参照)や「少年児雷也」、うしおそうじの「どんぐり天狗」なんかも大好きでした。

では「猿飛佐助○杉浦茂」と「朱房の小天狗○うしおそうじ」をほんのちょびッとだけのぞいてみましょか。

 
杉浦茂 「猿飛佐助」 の口絵と本文一場面

 
うしおそうじ「朱房の小天狗」 の口絵と本文一場面

この「少年漫画劇場」が出版された時はたいへん驚きました。なぜかって?、それは漫画の紙質は悪いのが当たり前だったのに、世の名だたる文学全集にもなんら遜色のないシッカリした形や上紙質で刊行されたんですからね、そらビックリ! 少し高いんじゃないのって感じもありましたが・・。 収録作品は全12巻で34作品です。 もちろんアレが無い、コレを入ってほしかったという愛読した人たちからの声がアチコチから聞こえてきそうでしたが、これだけの作品を集めただけでも実に素晴らしいことだとGutsポーズ。 ひとつの時代のモニュメントですよね。
この頃の筑摩書房のヤッタルで魂には目を見張るものがありました。 この「少年漫画劇場」をはじめ、「現代漫画」(第1期全15巻と第2期全12巻1969年~1971年)や「水木しげる短編集」(怪奇・幻想・風刺の全3巻)など、社会的評価がまだ低かった漫画を確かなひとつの作品として評価し、遺していくために全集として刊行するという快挙を成し遂げたんですからね。 今日の漫画業界の興隆など全く想像もできなかった頃の話であります。 筑摩書房さんはエライ!

叔父さんは現在もいろいろ好きな漫画がありますが、今もってこの「少年漫画劇場」を核としたタップリ感漂う(?)漫画世代に属しているんだなあって感じることがあります。

以上、ほとんどby叔父さんでした。
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ぼくのほんだな226・・「日本民話グラフィック」 灘本唯人 永井一正 宇野亜喜良 田中一光 横尾忠則

2018年05月02日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
あなたはこの本を見たことありますか? この本は今、見ても衝撃的です。 54年も前の本なのですが。 才能というマグマを溜め込んだ若い(当時)10人の作家が、それぞれの思いとそれぞれの方法で、時を得て、日本の民話を絵本という形でとらえ直し、思いっきり大激突、大噴火したって感じの仕上りです。 誰しもこの絵本をまのあたりにすればこんな事って起るんだねってキッと驚きますよ。 それだけの迫力があります。 ものを生み出す情熱には、見る者を巻き込みながら、時代を突き抜けていくまるでほとばしる奔流のような爽快感がありますね。

ケース表 (文字は無し)

おもて表紙 (シャレてますね。)


ケース表/背/ケース裏


うら表紙/背/おもて表紙

「日本民話グラフィック」 灘本唯人・永井一正・宇野亜喜良・田中一光・横尾忠則 灘本唯人/装幀 1964 2900円 美術出版社

本文の構成は

〈おどろおどろしき一寸法師を嫌悪する人に捧ぐ〉
「一寸法師」 絵:灘本唯人 文:滝来敏行

〈ある神様と文明の記録〉
「桃太郎」 絵:永井一正 文:梶祐輔

〈新・浦嶼子伝〉
「浦島太郎」 絵:宇野亜喜良 文:寺田澄史

〈ドロボウと警官〉
「花「咲爺」 絵:田中一光 文:坂上弘

〈堅々山夫婦庭訓〉
「かちかち山」 絵:横尾忠則 文:高橋睦郎

〈日本民話グラフィック〉によせて 「新絵詞説」滝口修造 「幸福感」 亀倉雄策

・装幀・扉構成 灘本唯人になってます。

中はどんなんかな?


「一寸法師」 (この大胆さ)

「桃太郎」 (このユーモア)

「浦島太郎」 (このエロティシズム)

「花「咲爺」 (この・・・・・)

「かちかち山」 (文字もおもしろいよ)

驚いたあ~? こ~ゆ~のって いいですね、なんか、こう、のびのび、伸びてる~って感じがして。 なかなか伸び切る!のってほんに難しいもんねェ。
作家たちご本人の気持ちは分かりませんが、このような作品を見ると僕は幸せになります。 いえ、僕だけでは無さそうで、この本の巻末に「幸福感」という一文を寄せてる亀倉雄策という人も僕と同じように感じたようで、 「自分の表現を出す幸福感」を語ってますが、ぼくは「表現されたものを受け取る側としての幸福感」を味わいました。 彼はよくポイントを突いていると思います。 なかなかのものですね。 僕も共感できてうれしいです。 (なにぃ!亀倉雄策をどなたと心得る。先の東京オリンピックのポスターを作られた大先輩であらせられるぞぉう、頭(ず)が高~い!)
僕はいつもそれほど不幸ではありませんが、このような本を見ると特別に幸せを感じます。 これぞ絵本です。 まさしく大人の絵本です。 文字までも見る絵本になっていますね。

この本が創られた時期は今に続く多くの才能が生まれ、育ち、たくましくぶつかり合っていました。 当時、グラフィックデザインの世界はまだまだ若く、キラキラしていて活気が溢れかえっていたんです。 他に絵本でいえば若き宇野亜喜良と横尾忠則がこれも実験的な絵本「海の小娘」 (「ぼくのほんだな 8」参照) を響作しています。
どちらも1960年代という時代と作家の饗宴が生み出した、みのり豊かなすばらしい成果だと思います。
では、これからも新たなショックを期待して、 シーユーアゲイン!
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