ぼくのほんだな

フワフワした僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな 198・・「一日一書」 石川九楊

2014年07月25日 | ほんだな
こんな本 ど~お? 「書」はチョッと・・ なんておっしゃらずに。

 

「一日一書」石川九楊 淺葉克己/装丁 2002 本体1800円 二玄社



「選りぬき一日一書」(新潮文庫) 石川九楊 2009 本体590円 新潮社

この本は書家の石川九楊が、中国や日本の文献から一日一字をとり上げて、歴史や文化を織りまぜながらその意味を豊かに汲み上げます。
以下、文庫版の解説です。

一月一日は「旦」…雲を表す「一」の上に姿を現した「日」、つまり朝の意味。そして大晦日は「去」…嫌な思いは捨て去り、来る年に希望を持ちましょう ―書家・石川九楊が、日本や中国の文献から一日一字を選び、その字義や歴史文化 生活習慣を独特の語り口で紹介する。あなたの特別な日は何の字? 楷書、行書、草書、篆刻、石刻…様々な書の魅力を毎日味わう日めくりエッセイ集

一頁の造りは (↓下の画像を見て) 上半分に書の一字を下半分に180字ほどの短い文章。短いけれど深~い話が随所に 軽々と、ポンポン(お腹じゃない)と、ほり込まれています。 ぼくの知らない事がらがい~っぱい詰まってる。 知らない分だけ読む愉しみが多い(?)のかなって思わせるほど。読むほどに引き込まれてしまうよ。
その文章の魅力は・・、うまく言えないけど、そう! 海から山から天から地からやってきた新鮮で滋味いっぱいの「幸」が小さな箱にほどよく、たっぷりと、色とりどり、味とりどりに目と舌を悦ばせてくれる愛しきあの「お弁当」みたい!(やはり食い気) どれから食べようかな?いや、読も~かな、なんてキッと迷い箸。でも、どっからでもいい。ご自由に。読者たる我々は、「書」を友とするこの歳時記(みたいな)を勝手気儘に行き交う旅人の如くにふるまうもよし。

例えば、「どうなってんの?このむし暑さ」の今は夏だけど、ポ~ンと寒い十一月十九日の頁へ。そこの一字は「根」。 江戸初期、近衛家熙の和漢朗詠集の『根』。



この頁には『風呂吹大根のほのかな味は大人になって知る味。大人とは文化 (スタイルの歴史的積畳) を味わう人。』って書いてある。
じゃあ、子どもの僕にはまだ分からないんだあ。ニンジンも好きになるのかなあ・・とか「ゆくすゑ」を想ったりね。 あっ、もちろん「書」もスバラシイです。ほかにもおいしい頁がいっぱい!

その語り口から、著者の「書」に対する実作者としての深い視点と、骨太でジューシーな精神生活を感じたりもするのですが。 さてあなたはどうでしょうか?
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