ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな 183・・「紙本墨画淡彩夜色楼台図」与謝蕪村・筆

2013年01月22日 | 美術・工芸
見て!見て!この絵(↓)スゴイでしょ! ぼくが描いたわけじゃないんだけど。(分かってる) これは蕪村が描いたんだよ。どこが凄いって?雪です。雪ですよぉ。冷たい雪がこれだけあったかく感じられる絵はあまり識らないです。深々と降り積もった雪たちと山々の裾により合う家並みとがまるで頬ずりしながら、まどろみながら、暗い夜空に抱かれて同じ時間をゆっくりとゆっくりと過ごしています。家の窓からはポツポツと灯りが漏れています。どんな夜なのでしょうか。いろいろ想いが巡ります。じ~っと見ているとみんなが一緒にいるぬくもりの素晴らしさがつたわってきますね。
でもボクにはゆったりと広がる綿帽子がどうしても綿菓子(飴)に見えてしょうがないんです。あのま~るいふわっとした甘い爆弾を手にした時の胸高鳴る満足感と充実感。そしてガブッとかぶったそのあとに、やってくる儚げで小刻みに震える喪失感でもって容赦なく軽い肩透かしをくらわせる非情な現実。それでも「食べちゃうもんねェっ」てめげずに食べてるうちに 「なんだか幸せ!」っていう気分にさせるあのエキセントリックで魅惑的な輝く時間を想い出しちゃったんです。
貴方はどんなことを想いますか?愉しいこと、?哀しかったこと?なにを想うも貴方しだい。すべてオーライ!どんな想いもこの絵は包み込んでくれます。
まだまだ寒すぎる冬の夜に湯たんぽとの合わせ技でじんわりと暖かくしてくれる愛すべき長~い一幅のご提供でした。



「紙本墨画淡彩夜色楼台図」 与謝蕪村筆 掛幅 (個人蔵) 国宝

(右)

(左)

例えば こんな想いを巡らした御仁もおられます。



「夜色楼台図 己が人生の表象〈絵は語る〉」早川聞多 1994 3,200円(税込) 平凡社
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