ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな226・・「日本民話グラフィック」 灘本唯人 永井一正 宇野亜喜良 田中一光 横尾忠則

2018年05月02日 | 漫画・イラストレーション・アニメーション
あなたはこの本を見たことありますか? この本は今、見ても衝撃的です。 54年も前の本なのですが。 才能というマグマを溜め込んだ若い(当時)10人の作家が、それぞれの思いとそれぞれの方法で、時を得て、日本の民話を絵本という形でとらえ直し、思いっきり大激突、大噴火したって感じの仕上りです。 誰しもこの絵本をまのあたりにすればこんな事って起るんだねってキッと驚きますよ。 それだけの迫力があります。 ものを生み出す情熱には、見る者を巻き込みながら、時代を突き抜けていくまるでほとばしる奔流のような爽快感がありますね。

ケース表 (文字は無し)

おもて表紙 (シャレてますね。)


ケース表/背/ケース裏


うら表紙/背/おもて表紙

「日本民話グラフィック」 灘本唯人・永井一正・宇野亜喜良・田中一光・横尾忠則 灘本唯人/装幀 1964 2900円 美術出版社

本文の構成は

〈おどろおどろしき一寸法師を嫌悪する人に捧ぐ〉
「一寸法師」 絵:灘本唯人 文:滝来敏行

〈ある神様と文明の記録〉
「桃太郎」 絵:永井一正 文:梶祐輔

〈新・浦嶼子伝〉
「浦島太郎」 絵:宇野亜喜良 文:寺田澄史

〈ドロボウと警官〉
「花「咲爺」 絵:田中一光 文:坂上弘

〈堅々山夫婦庭訓〉
「かちかち山」 絵:横尾忠則 文:高橋睦郎

〈日本民話グラフィック〉によせて 「新絵詞説」滝口修造 「幸福感」 亀倉雄策

・装幀・扉構成 灘本唯人になってます。

中はどんなんかな?


「一寸法師」 (この大胆さ)

「桃太郎」 (このユーモア)

「浦島太郎」 (このエロティシズム)

「花「咲爺」 (この・・・・・)

「かちかち山」 (文字もおもしろいよ)

驚いたあ~? こ~ゆ~のって いいですね、なんか、こう、のびのび、伸びてる~って感じがして。 なかなか伸び切る!のってほんに難しいもんねェ。
作家たちご本人の気持ちは分かりませんが、このような作品を見ると僕は幸せになります。 いえ、僕だけでは無さそうで、この本の巻末に「幸福感」という一文を寄せてる亀倉雄策という人も僕と同じように感じたようで、 「自分の表現を出す幸福感」を語ってますが、ぼくは「表現されたものを受け取る側としての幸福感」を味わいました。 彼はよくポイントを突いていると思います。 なかなかのものですね。 僕も共感できてうれしいです。 (なにぃ!亀倉雄策をどなたと心得る。先の東京オリンピックのポスターを作られた大先輩であらせられるぞぉう、頭(ず)が高~い!)
僕はいつもそれほど不幸ではありませんが、このような本を見ると特別に幸せを感じます。 これぞ絵本です。 まさしく大人の絵本です。 文字までも見る絵本になっていますね。

この本が創られた時期は今に続く多くの才能が生まれ、育ち、たくましくぶつかり合っていました。 当時、グラフィックデザインの世界はまだまだ若く、キラキラしていて活気が溢れかえっていたんです。 他に絵本でいえば若き宇野亜喜良と横尾忠則がこれも実験的な絵本「海の小娘」 (「ぼくのほんだな 8」参照) を響作しています。
どちらも1960年代という時代と作家の饗宴が生み出した、みのり豊かなすばらしい成果だと思います。
では、これからも新たなショックを期待して、 シーユーアゲイン!
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