ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな254・・ハンス・ベルメール 「枝状に刻みこまれた流し目」(復刻版)

2024年09月01日 | ほんだな
あのね、ぼくの伯父さんって憶えてる? ほらっ、いっ時お騒がせしてたでしょう。そうそうリヴィエラのセカンドハウスがドウのコウのと言ってた人。 想いだした? ( ‰・・・・・・・・)

その伯父さんから突然、そう、いつも突然だけど小包が届いたんだ。何かな?と一応は思ったんだけどキッと本だろうとアタリをつけて開けました。 あ、ヤッパリ本でした。 ピンぽん! ま、見事と言うか当然と言うか的中したのでひとりgutsポーズで歓びを表現しました。 どんな荷物でもそうなんだけど、何だろう?ってドキドキしながら包みを解く時の快感ってたまんないよね。中身が何かわかっていても嬉しくなるよね。 そんな時、ぼくっていったいどんな顔してるのかな? 別に見なくていいけどね。

さてさて、包を開けると出て参りました。 小さくてお洒落な「本」と1枚の「メモ」、それに「伯父さんの写真」が入っていました。 写真は
あのセカンドハウスをバックに、ニッコリといつもより少しだけカッコつけて写っています。 どんな伯父さんかって? ン~、伯父さんの話は山ほど有りすぎる位あるんだ。 でもここではハブきます! 止まりませんから。
今回は伯父さんが送ってくれた瀟洒なこの本に就いてお話しましょう。 キッと伯父さんもそのつもりだと思います。それでは、・・・エッ、全部フランス語?そんな~っ!せめてスペイン語だったら (スペイン語だったら?) キッパリ分らない。 そっか、じゃあジックリ挿画だけを見なさいってことだよね? (oui!) 了解‼
では、内容については伯父さんが本と一緒にメモを入れてくれてますので、それを。

好奇心旺盛な食いしんぼうの女の子の物語り「枝状に刻みこまれた流し目」(ジョルジュ・ユニェ、ハンス・ベルメール)の完全覆刻。
ベルメールは遊びたわむれる女の子たちを繊細な筆致で描き出し、中世の彩色挿絵師の描く装飾模様のように、本文の余白を美しく
飾っている。 澁澤龍彦「ファンム・アンファンの楽園」 ― gq 3 a quarterly review of graphic work 1973 より―

なるほどね。じゃあ、お皿を目にはできませんので、ここはシッカリと見てみましょう。見た目は楚々としています。 が、さてその中身はどんなんかィな~?

◇ハンス・ベルメール 「枝状に刻みこまれた流し目」(復刻版) 詩 ジョルジュ・ユニェ 13x9,2cm 50頁 1973年 ジイキュウ出版社
*原書:BELLMER Hans‎ 「OEILLADES CISELÉES EN BRANCHE」 Hans Bellmer-‎HUGNET Georges 1939 Editions Jeanne Bucher Paris

表紙 (13x9,2cm)
ピンク地にレースの模様。 "何ンだ、この胸のザワメキは⁉"



開くと、(右が表紙で左がうら表紙 ) "実物はもっと、もっと綺麗 ‼"


挿画ー2p/扉


挿画ー13p


挿画ー34p・35p


挿画ー43p


奥付 ーうら表紙の裏ー

この本の最大の魅力はその大きさにあると思います。文庫本より、もう少しちいさめ。手にしたときの程の良さ。掌に収まるサイズがとても良い。造本の愛らしさが絶品!

特に豪華でもなく、派手でもなくです。でもその外見にだまされてはいけません。秘密の遊戯を覗き見る蠱惑的な愉悦と「い・け・な・い遊び」に相応しいひっそりとした空気感をこの本のサイズが満喫させてくれます。 いつまでも自分のものにしておきたいという誘惑にかられる型です。このさりげない軽やかさは、西洋の豪華で重厚な本の歴史があるからこそ、いっそう感じるのかもしれませんね。

「挿画を見た感じどお?」って聞くよね。お答えします。あれもこれもに圧倒されて言葉が籠って出てこない。 ハンス・ベルメールのデッサン力って凄いとしか言いようがありませんね。 見ていてそれぞれの画の描線が健康でピーンと張りつめていてぼくにはとても受け止め切れない。 かと言って "もしや" (…?) の想いもあったりして目を反らしたくないしなあ・・とか。 ム、ム、ムッツカシイ↗ ↗ 貴方ならどう感じるでしょうか?

この本はまるで読む人(見る人?)の掌の貝殻にのってぷくぷくと海の泡から誕生したあのボッティチェッリが描いたヴィーナスのようです。 繊細で力がスーッと抜けた達人の業だなあと思いました。

伯父さんのメモのおしまいに 「又、おもしろい本があれば送るからねッ!」って書いてありました。お礼の返メールにぼくは「もちろん本も写真もうれしいけれど、出来ればおいしいお菓子もいっしょにヨロシク!」ってシッカリ書いておきました。 でも次に送ってくる時はキッとお菓子を忘れて本と写真だけ送ってくると思います。
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