米澤穂信さんの「インシテミル」を昨年末に読んだ。
老若男女、職業も志願理由も様々な男女12人が、7日間24時間監視付きで外部との通信を遮断された隔離生活することで破格の時給 11万2,000円がもらえるという実験の被験者バイト。
12人ぞれぞれの個室には鍵がなく、各人には殺人に利用できる、種類の異なる凶器が与えられる。
他の被験者を殺すとより多くの報酬を得ることが出来るが、殺人に手を染めずとも7日間を生き延びれば当初の規定額はもらえる。
「何もせずに共に7日間を生きよう。生きて大金を手に外へ出よう。」と皆の意見は一致したはずが、3日目の朝に一人が死体で発見され、互いに疑心暗鬼が芽生え・・・・
30冊目に読んだ黒武洋さんの「ファイナル・ゲーム」が、のちに映画化されたその「インシテミル」に似通っていて、「第一回ホラーサスペンス大賞を受賞した黒武さんはこんなもんじゃないはず。もっと凄い、読者をあっと驚かせる作品を書いているのでは。」と思い、続けて2冊借りて来た。
それが今年31冊目の「手のひらに爆弾を」と、32冊目の「そして粛清の扉を」だった。
「手のひらに爆弾を」は、街で、飲食店で、駅のトイレで拾った持ち主不明の携帯電話が爆発し死傷するという事件が続発するところから始まる。
まるで無差別テロ。
でもそこには、犯人なりの「正義」と、とても悲しい思いが込められていて・・・・・
ちょっと尻切れトンボ。
不完全燃焼でモヤモヤが残るのは、作者が続編を意識してのことだろうか。
その後に現在進行形で読んでいるのがホラーサスペンス大賞受賞作の「そして粛清の扉を」。
校舎の窓ガラスにはひびが入り、至る所にスプレーで落書きされた荒れた高校。
廊下には煙草の吸い殻とスナック菓子の空き袋。
卒業式を翌日に控えた教室で突然学校ジャックが発生する。
人質は3年D組の全員、29名の生徒。
武器を手に彼らを恐怖で支配したのは、普段から全く目立たず、生徒からも教諭仲間からも小馬鹿にされているD組担任の冴えない中年女性。
周到に練られた計画と驚くべき戦闘力。
怯える生徒や異変に気づき様子を見に来た隣りのクラスの教師までもを、一切の躊躇いなく無慈悲に殺していく。
混乱する警察。
翻弄される保護者。
「バトル・ロアイアル」よりも更に深い衝撃。
今、3分の2ほどを読んだところ。
今夜もきっと午前様。