読みたいと思っていて中々借りれなかった本が今年の48冊目。
パク・ヨンミさんの「生きるための選択~少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った」。
何年か前に蓮池薫さんの手記「拉致と決断」を読んで衝撃を受け、その後に男性脱北者の手記を読んだ。
今回読んだパク・ヨンミさんは若く可愛らしい女性。
ソウルの街では彼女のように小顔で美しく、ひらひらした短いスカートを穿いて友だちと楽しそうに笑いながら歩く現地の若いお嬢さんをたくさん見かけた。
特にアイメイクがばっちり施されていて、確かに整形天国・韓国と言われて久しいけれど、化粧を落としてもさぞかし可愛らしいのだろうな、と思った。
若い人でも皆素晴らしく姿勢が良かったのも印象的。
著者ヨンミさんも、北朝鮮ではなくもう少し南に生まれていたら、とても楽しく充実した青春時代を送れたのだろう。
13歳まで過ごした北朝鮮の田舎町では到底満足のいく配給は無く、一日の食料はほとんど重湯のような粥を小さな茶碗1杯ほど。
年々キムチを口に出来る日が減り、何かの葉を薄い塩で煮たスープがあったり無かったり。
当然お腹が空くので、野草や昆虫を食べて空腹を満たす。
小学校に登校する道端には昨日亡くなった誰かの遺体が放置され、下校時には野犬に食い散らかされているのを見て見ぬ振りで走り抜ける。
「“親愛なる指導者”は民の心が読める」と教育され、悪いことを考えるだけで罰せられると信じて生きてきた。
想像を絶する過酷で悲惨な生活。
ただ生きるためだけに恐怖政権が支配する暮らしから逃げた少女の、壮絶な体験記。
その後、安生正さんの「ゼロの迎撃」に続いて篠田節子さんの「竜と流木」を読んだ。
新潟日報で紹介されていて予約を入れていた小説。
太平洋に浮かぶ美しい小島、ミクロ・タタの清く澄んだ池に棲むサンショウウオに似た両生類ウァブ。
昔から島の守り神と呼ばれ大切にされてきたウァブを保護、繁殖のためにリゾート開発された隣島へ移す。
元々謎だらけの生態で絶滅危惧種のこの小さな命を守ろうと有志が一丸となって努力を重ねるが、数日後には夥しい数の死体が池に浮かび・・・・
人間のエゴと自然環境。
今もなお止まらない環境破壊が招くパニックホラー。