新しい靴と写真

思いつくままPhoto.blog

今年41冊目

2016-07-23 17:54:17 | 

こんなにハラハラした小説を読んだのは久し振り。




「第11回このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した「生存者ゼロ」の安生正さんの最新作、「ゼロの激震」。



















千葉県浦安沖の人工島。


地熱を利用した新システムの発電事業のため地下50キロのマントル層まで立坑を掘り進めるという、人類未踏の世界で強い信念と熱い情熱を注ぐ技術者たち。


そこで大きな事故が起きるところから物語は始まる。







9年後にいよいよ新システムが本格稼働。


世界中の注目を集める中、栃木県金精峠で突如大きな土砂崩れが発生。


その後、日光市足尾町ではわずか一時間半足らずの間に町民3千人がバタバタと倒れ原因不明の謎の死を遂げ、続いて群馬県富岡市では突然竜巻のような大風が吹いたと思ったらいきなり大火災がひとつの町を丸々飲み込む。








関東北部で起こった未曾有の大災害は信じられないスピードでその発生場所を南下させていく。


まるで伝染するように各地を襲うパニック。






その全てはマグマ活動に伴う火山性事象が原因と判明。




そしてそのマグマは東京へと迫りはじめ。











数万年に一度。




正に、誕生したばかりの地球が繰り返す噴火によっていびつに地形を形成していくかのように地面が大きく波打ち隆起と陥没を繰り返す。




みるみる歪んでいく日本列島。







体裁だけを取り繕いつつも互いに責任をなすり付け合い右往左往する政府。





地球規模の大危機に特攻隊の如く挑む技術者たち。














これぞパニック・サスペンス。




地層やマグマに関する専門用語が多く、時折つっかえつっかえしつつ読破。



非常にハラハラどきどきしました。








最後の数ページは横になったベッドの中で熱い涙を流しながらの読書。







安生正、もっと読みたい!


AX







今年35冊目

2016-07-18 23:58:44 | 

前々回に図書館で借りて来た4冊。



中でも面白かったのが、今年35冊目の深町秋生さん「猫に知られるなかれ」。













舞台は戦後の昭和22年、GHQ占領下の東京。





日本の再独立と復興のため、吉田茂の右腕・緒方竹虎らが優秀な復員らを集めて結成した非公認のスパイ組織「Cedant Arma Togae」通称「CAT」。





「007」のようなスマートさではなく、終わった戦争を未だに引きずったままの泥臭い男たちの無骨さや、戦後の混沌とした街と生きることに必死な人々の姿が戦後生まれの私をグイグイと惹き込んだ。








扉の、GHQ統治時代の有楽町周辺地図は、戦争が遠いようで近いものなのだと感じられました。

















続いて読んだのが加藤幸子さんの「十三匹の犬」。











ありがちな、一匹の犬の一生の話ではない。




戦前のまだ明るい空気の札幌や戦中戦後の混乱の北京、米軍に占領された戦後の東京、そして現代の平成。




様々な時代の、様々な場所を舞台にニンゲンと共に生活する十三匹の犬の、十三の章。






猟犬、闘犬、お座敷犬、軍用犬、牧羊犬や半野良犬。



それぞれの人生ならぬ「犬生」が、全て彼ら【犬目線】で描かれている。





決して「ご主人様に愛されてとってもシアワセ。」な犬の話ではなく、むしろ不幸な結末ばかりで呆然としてしまった。





予防接種という知識もなく、白米に長ネギがドサドサ入った味噌汁をかけたものが餌だった時代。





犬っていろんなことを考え、こんな風に感じているんだなぁとしみじみ。







今、どこの町にも野良犬っていませんね。



AX







健康診断、受けていますか?今週ではなく、「先々週のたなくじ」の話

2016-07-05 00:42:36 | 目にしたもの

6月は私個人や家族にとって辛いこと悲しいこと、腹立たしいことが連続して起こり、気の休まらない日々だった。





全てを書くことは出来ないのだけれど、それでも時が過ぎ、自分の中で気持ちの整理をつけ処理が出来たものだけ。













一ヶ月半前に受けた市の健診の結果が届いた。





【5月におこないました大腸がん検診の結果、精密検査を受ける必要があると判定されました】















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ここから先は大腸癌内視鏡検査を経験したお話をさせて頂きます。






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元々便秘気味だったのでここ2年ほどは特に食生活には留意し、腸内フローラを整えるとされるオリゴ糖を摂取。


うっかり忘れてしまう日もあったけれど、それでも腸を動かすストレッチを心掛け、銀行やコンビニや美容室などへ行く時は少し遠回りして歩いて行ったりしていた。










なので、尚更、この判定には心底驚いた。








悶々鬱々と過ごすのは嫌なのですぐに病院へ行き、一番早い3日後の大腸内視鏡検査の申し込みをした。


















検査の前日は柔らかく煮た素うどんやお粥とお茶のみ。


就寝前に下剤を飲み、翌朝までに2度目が覚めトイレへ走る。










当日は事前説明の指示通り5時に起床。



前夜に作っておいたモビプレップという経口腸管洗浄剤約2リットルを1時間半かけて小分けにして飲む。









計量カップできっちり量った洗浄液400mlを30分かけて少しずつ飲んだ後、水かお湯かお茶を200ml。



これを3セット繰り返すのですが、まーこの洗浄液が不味い。







ポカリスエットが腐ったような、梅酢をものすごく薄くして更に塩を混ぜたような、なんとも例えようのない味。





飲めないほどではないのだけれど(実際に最初の200mlくらいはコクコク飲めた)、決して自ら「飲みたい!」と思うものではないし、前夜に薬剤と水を混ぜて調合したこれを一晩冷蔵庫で冷やしてなければとてもじゃないけど吐いてしまうと思う。

(常温のままでは確実に「これ、腐ってる!!」と思うような味)










私は6月だったので冷たいものを飲めたが、これが真冬だったらかなり辛いと思う。




雪が降る早朝5時から冷蔵庫でキンキンに冷えた洗浄液を2リットルも飲むだなんて、想像しただけでみるみる体温が急激に下がる。














時間をかけて少しずつ、洗浄液 1,200ml+お水とお茶600ml飲んだわけですが、後半、早くもお腹に違和感。





「あれれれれ。やばい、やばい。」とトイレに走り、落ち着いたらまた洗浄液を服用。





結果、14回もトイレに走り、最後は疲れ切った頭で薄らぼんやりと「あぁ。生き物ってちゃんと身体の中に一本の管が通っているんだなぁ。」と実感。

口から摂取したものがこうして排泄されていく。

何ひとつ腸で吸収される栄養素がないと口から飲んだ量がそのまま出て行くので、今、正に“ 腸内洗浄中! ”とういう感じ。

まるでホースの中を通って流れ出る水道水みたい。


「今の私は人間ホースとおんなじだ。庭の水道に取り付けられたホースなら色鮮やかに美しく咲く花々を潤すのに、人間ホースの私は入り口から出口に向かって唯ただ流れていくだけ。草花のためにすらならないし、誰をも幸せにしていない。」とやるせない気持ちになり、無性に泣けてくるのも洗浄液が秘めた効能か?、と思ってみたり。






洗浄液に翻弄され、必要以上にナーバスになる自分に我ながらびっくりでした。

























それから数時間後。






病院の検査着に着替え、いよいよ大腸内視鏡検査。







「Weさん、力を抜いてラクにしてくださいね。大きく深呼吸しましょうね。」と、言われるがまま従う。












カメラがS字結腸を通過する時だけ「アイテテテ。」と思ったが、予想よりも全然平気。耐えられない痛みではない。





本来、一方通行であるべき「人間ホース」を異物が逆走する訳なので、決して「自然」ではない違和感はある。





でもへっちゃら。


全身麻酔とかしなくても、むしろ自分の腸内の様子を先生と一緒にリアルタイムでモニターで見れるのは非常に興味深かった。

















ゆっくりカメラを移動させながらチェックしていく中でポリープが2つ。





ひとつは小さく、先生も切り取る必要無しとの判断。





もうひとつは私の素人目で見ても色が不気味な上に大きい。





先生も「これは大きいですね。カメラを入れて良かった。今この場で切除して、そのまま病理診断に回します。」、と。















見つかったポリープの根っこの部分を小さなクリップで抑え血流を遮断。


先端が輪になった針金のようなものでポリープを絡め取るように引っ掛け、そのまま電気メスで焼き切る。


ポリープが大きかったため止血のクリップはひとつでは足りず、もう二つ追加され、合計3個をパチンパチンと。






この間、一連の作業で全く痛みなし。




凝視しているモニターでは確実に傷をつけているのにその自覚がない。

とっても不思議な感覚。






体外へ取り出されたポリープはやはり大きく、「通常10ミリくらいで大きい部類に入るのですがWeさんは15ミリ強でした。病理検査に回すので、後日結果説明を受けにいらしてください。出血(下血)があればすぐに連絡を。今日のお風呂は控え一日安静に。一週間は激しい運動と出張や旅行などで遠くへ行くことはやめてください。」と指示を頂く。









(あんなに大きいポリープがあっただなんて・・)、と落ち込んだまま会計カウンターへ。





前回、内視鏡検査の予約に来た際に、大体の支払いの予算を聞いていた。



今回は十分足りるであろう現金を用意して来ていたわけだが、切除したポリープが大きかったためか、はたまた止血のクリップを追加したせいなのか、僅かに手持ちのお金が足りない!!!







どどどどどーしよー!!!!、と思ったところで、はたと思い出す。





そういえば、今日、友だちがこの病院に来ている!!!



「治療で〇時くらいに行くけど、入れ違いで会えないかもねー(笑)」ってLINEが来てたじゃん!!!







これはもう、ポリープの神様(そんな神様は多分いない)が起こしてくれたミラクル!!!







すぐさまLINEで「ゴメン!今すぐお金、貸して!! 2,000円!!!」と、非常に怪しげ、且つ迷惑なコメントを送信し、治療直後でヨロヨロしていた友だちから現金2,000円を巻き上げるという、人としてあってはならない無礼を詫びつつお陰様で何とか無事に会計を済ませることができた。














病理検査の結果も一刻でも早く知りたかったので最短の四日後を予約。





この四日間は家族中が神妙な面持ちで過ごした。








家計緊縮体制の我が家は、ほぼ外食をしない。




それでも検査結果を聞く前夜、姉が「みんなでしゃぶしゃぶでも食べに行こうか。結果が出る前からくよくよしててもしょうがない。ど~んと景気づけに黒毛和牛でもしゃぶしゃぶしよれー!特別に、今夜はアンタが飲んでもいいよ!あたしが運転するわー」って。



毎夜欠かさず晩酌をする、ビールをこよなく愛す姉が、代わりに私に飲めと言う。



ここ2年ほどアルコールを断っている私に、「今夜はト・ク・ベ・ツ♡(笑)」と、おどけた調子で勧める。



姪っ子は、「明日、私も会社休んでWeちんと一緒に説明聞きに行ったげようか?」と言ってくれる。











大病は、本人だけでなく、家族みんなを巻き込む問題にもなる。




家族や大切な人の支えがどれほど大きく、心強いか、まざまざと思い知らされた。

(この時点で、まだ大病とは決まっていないわけだが)




















四日後、病理検査の結果説明を聞きに行く。







担当の女医はとてもサバサバした方で、余計な前置きなしに「切除したポリープは大腸腺腫でした。通常、10ミリ以上の腺腫は癌化する可能性が高いと言われていますが、今回Weさんの大腸腺腫は良性と判定されました。」と仰って頂きました。


















健診はとても重要であるということ。



昔は「癌は不治の病」と言われたけれどそれは昭和の話で、今は早期発見し適切な治療をすれば決して必要以上に恐ろしいものではないということ。



往々にして癌は「加齢による老化」と「食生活の欧米化」が原因であることが多いという事を分かり易く説明してくださいました。









「毎年内視鏡検査を受けた方がいいですか?」という私の問いに、「そりゃ受けた方がいいけれど色々とラクではなかったでしょ?市の健診しかり。職場の健康診断しかり。年に一度、検便検尿を含めたオーソドックスな健康診断を受けていればそれで十分だと思いますよ。そこで異常が認められれば次のステップが内視鏡ですから。」と返答。











よく、「癌はなる人と、ならない人がいる」と言われますが、そんなことはない。




生きている以上、誰しも癌になる可能性が100%あるとも仰っていました。










癌家系ではないので自分は絶対に大丈夫!なんて有り得ない、と。

















今回、私は良性の判定を受けたわけですが、定期的な健診による早期発見の重要性を改めて痛感しました。







先月、最新のデータが発表され、2012年に新たに癌と診断された患者数は86万5,238人であり、前年に比べ1万4千人増の過去最多であったとのこと。









親戚やご近所、知人にも癌患者がいらっしゃる。



数度の手術を乗り越え、5年経った現在もお元気に朝の散歩を欠かさない近所の奥様も。








誰しもがなりうる病。



日本人の、ふたりに一人が一生の内に経験するともいわれている。










原因のひとつが加齢による老化であるため、高齢化社会である現代ではその罹患者数は年々増えていくのだろうけれど、その反面で生存率がアップしている事実も私たちは知っている。










先ずは面倒くさがらずに健診を受けることがとても大切。





今週は乳がん検診の予約をしました。




皆さんも、是非、健診を!






















そんな中。






前に携帯で撮って保存したままの写真フォルダーに先々週の「たなくじ」が。







見直してみてびっくり!














消火器・消火栓の場所を確認。





・・・・・・・って、おい、大腸って消化器だ!!!








確認、したした!



正にこの週に内視鏡で消化器(大腸)確認!














た、たなくじ・・・・・すごいかも・・・・・・・・











今回、この内容をブログにアップすることを暫くためらいました。




完全に私事だし(個人のブログは元々私事ばかりだけれど)、ひょっとしたらこれを読んで嫌な思いをする人がいるかもしれない。




でも、これが誰かの目に留まり、「そういえば3年くらい健康診断してないなぁ。なんだか怖い気もするけど、やっぱ早期発見って大切なんだな。よし、いっちょ健診申し込んでみようか。」と思う人がいたならいいな、と考えアップしました。






健診の大切さと、たなくじの凄さが伝われば幸いです。



AX