今年、切手を貼った手紙らしい手紙を書いたのは今のところ一通だけ。
年々その数は減ってきている。
MF絞り優先AE、SS1/400秒、F1.8、EV0.0、ISO100
小学校高学年から県外の女の子と文通をして以来、２５歳までは毎日郵便配達のバイクの音が聞こえてくるのが楽しみで仕方なかった。
好きな人への告白もずっと手紙だった。
何度も何度も、何度でも書き直して、お気に入りだった蕗谷虹児の切手を貼って。
投函した真っ赤なポストの前で目をつむって「どうか宜しくお願いします」って、何故かお祈り。
勝手にお願いされるポストだって困っちゃうよねー。
「オイオイ。振られてもオイラを恨まないでくれよぉ。」って、無表情の真っ赤な頭にタテ線だ（笑）
さようならを決めて、それを伝えたのも手紙だった。
好きですと綴ったとき以上に、一文字一文字丁寧に気持ちを込めて書いた。
性格の変なトコが災いして言いたいことの半分も言えない私には、時間をかけてゆっくりと大切に思いをしたためる手紙なくして告白は考えられなかった。
今はネット環境も整い、お年始の挨拶も携帯メールが殆どになってしまったけのだけれど、私にとって手紙は今も大切で特別な表現方法。
手紙は小さなタイムカプセルだと思う。
数日後に届くであろう相手を思いつつ、言葉に迷いながら文を綴る。
受け取ると「あの時、馬鹿みたいな冗談言って一緒に大笑いしたけれど、このひとは、こんな風に思っていたのだな」と初めて知る。
今も捨てられずにいるあの手紙は、きっとずっとこのまま。
歳を重ねて、いつか私が死んだ後、誰が見つけてくれるのだろう。
そしてどう思うのだろうか。
