あんなに悩んでいたのに
朝が焼ける。
痛んだ身体の老廃物を流して
わたしはきょうどうやっていきていこう。
被災した場所なら片付けから生きて行くだろう。
歳を重ねるごとに生き方がわからなくなる。
生まれたままの身体でバルコニーにでてみる。
気がついた。
おもいだした。
わたしが裸で世の中にやってきたとき
どうやって生きてゆくのか全く分からなかったことを
しかしあのときのわたしに完璧になかったことがある。
知識と不安だ。
この足で何も知らないままただ歩いてきただけ。
朝日を浴びて
ふっ と
死んでみる。
後悔したときには
わたしは死んでいなくなっている。
明治が消え
大正が過ぎ
昭和が忘れ去られたように。
カモメが苦しそう。
鳴いている。
太陽は志し高く上昇するのに
ひとは下衆なこと考えて地上をうろつくだけ。
せめて目を瞑り
朝の10分だけ
わたし
こころをあたためて一緒に上昇していたい。
あ
漁船が勢いよく戻ってきた。
わたしも地上でがんばるか。
空では飛行機が出動だ。