井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

musician complet【完全なる音楽家】

2018-05-10 21:35:00 | 音楽
フランスには「ミュジシャン・コンプレ(完全なる音楽家)」の伝統があり、フランスの音楽家は最終的にはそこを目指すのを理想と考えている。

どういうことかというと、演奏と作曲ができる存在になる、ということだ。

ヴァイオリン界でも古くはヴィオッティ、クロイツェル、ロードに始まりエネスクやレイモン・ガロワ=モンブランなんて人もいる。

最後のR.G=モンブランを知っている人は少ないかもしれないが、管楽器界ではよく知られていて、クラリネットの作品は時々演奏されているのを見かける。そしてあの三善晃の師でもある。
でもヴァイオリニストである。私は学生時代、東京文化会館でリサイタルを聴いたのだから。

残念なのは、その時上記の事情を全く知らなかったこと。純粋にヴァイオリニストとして聴いたのである。

しかも、同じような時期に聴いたシェリング、ローザンド、メニューインなどの印象に圧されて、内容はさっぱり覚えていない。かえすがえすも残念。

続くフランスのヴァイオリニスト達に、ミュジシャン・コンプレは存在しているのだろうか。寡聞にして、全く知らないけど。

鉛筆ばんざーい

2018-05-04 12:25:00 | まち歩き
ある「鉛筆マニア」がテレビで紹介されていた。なんでも2000種類の鉛筆を試したという。
削りかすの匂いまで好きというのは、さすがにあっけにとられたが、「トンボ8900」をこよなく愛している様子を見て、私も手に入れたくなってきた。

トンボ鉛筆と言えばMONO、三菱鉛筆と言えばUNIで決まり、と思っていた私は、まだまだ世界を知らないようである。

鉛筆を多く揃えていそうな、大きめの文具店に行ってみた。

鉛筆は、楽譜を書くためにしか買ったことがないので、今まで全く気づかなかったのだが、昔に比べて何と鉛筆売り場が縮小されたことか!

硬度を6Bから9Hまで揃えているのは、三菱UNIしかなかった。もっと幅広い選択肢から鉛筆を選ぶつもりだった私には、いささかショックだった。

世の中ボールペン全盛なのである。これは、こんなにいらないというほど豊富なラインナップで、色も色鉛筆並みにある。
私も水性ボールペンは使うけれど、時々しか使わない。そうするとペンが風邪をひいてインクが出なくなったり、巻いてあるラバーがベトついたりと、なかなか使いにくいものに変身している。

そして、何より、油性ボールペンではきれいな字が書けない!
よって、私はボールペンは嫌いなのである!

それで、ここ10年、万年筆を使うようになったのだが(万年筆もかつての賑わいはなくて残念)、「そうだ、鉛筆もあるじゃないか」と喜び勇んで出かけたのだが…。

一つ目の店には、曲がった鉛筆が何本も置いてあった。
最初は、転がり防止で最近は鉛筆を曲げて作るのかと思ったが、どうもそうではなさそうだ。
長く売り場に置いてあるうちに、鉛筆の木の伸縮率の違いで、バイメタルよろしく反っていったのだろう。

鉛筆にも鮮度があるようだ。しかし、それほど売れないとは…。

二つ目の店では鉛筆売り場を探しだせなかった。
店員さんに尋ねて案内されたのは、何と画材コーナー。
鉛筆はもはや専門家か趣味のアイテムなのか…。

それでもかろうじてあったトンボ8900。何と、実に「普通の」鉛筆だった。しかも2Bはなかったので、BとHBを買って帰った。もちろん「反り」のないものを選んで。

そして使ってみてわかったのは、紙との相性だ。
今まで三菱ユニがオールマイティーだと思っていたのが、くつがえされた。
コピー用紙に書く感触はトンボ8900の方が良い。この少しジャリっとした感覚は極めて心地よい。
しかもHBでなければならない。Bではダメだった。

さらにこれを頻繁に削るとさらに良い。100円で売っている削り器が良い。あの鉛筆を回すタイプだ。削れる様子が見えるのが楽しい。

そして、このトンボ8900は字を書くのに良いのであって、楽譜はやはりユニの方が良い。

この楽しさはボールペンやシャープペンシルには無いぞ。
皆さんも是非お試しを。