井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

右手首の練習

2010-01-24 08:28:17 | ヴァイオリン

2008年11月9日に書いたものですが、リクエストにより再掲しておきます。

ヴァイオリンの右腕の技術は、右腕各関節を自在に動かせるようにすることが、かなり大きなウェイトを占める。

右手首を使う技術は、右腕の技術の中では、それほど難しい方には入らないだろう。だからと言って、すぐできる類のものでもない。

この練習は開放弦でもできるが、私はシェフチークの練習曲、作品1-1の11番を使っている。 大学のオーケストラに所属している初心者1年生全員に、10月からそれをやってもらった。初めての試みである。

中にはピアノも弾いたことがない学生もいるのだが、やり始めて1ヵ月経つと…全員手首のコントロールが可能になっていた!

一方、たまたまその時、その集団レッスンに初めて参加した学生がいた。彼は、高校の時にオーケストラに所属していて、大学オーケストラから見れば即戦力の経験者という扱い。 でも、その数年間、手首を使ったことがないらしく、当然ながら、このシェフチークの練習曲は弾けなかった。

ここから様々なことがわかる。

・音を出すだけなら、手首を使わなくても弾ける。(3年はおろか、数十年使わないで弾いている人もいる。)ただし、弾ける範囲に限界がある。

・正しい順番で正しく練習すれば、誰でも手首は使えるようになる。

・約1ヵ月から1ヵ月半は練習が必要。

初心者は1週間単位で新しいことをマスターするペースに慣れているから、1ヵ月同じことをするのはキツイと思うかもしれない。 でも楽器の習得をした経験のある人なら誰でも思うだろう「たった1ヵ月?!」

シェフチークの練習曲は変奏曲になっているので、それほど単調には陥らないし、集団レッスンは意志の弱さを救ってくれる効果もあったようだ。

結論は、いたって平凡「時間をかければ誰でもできます」

この当たり前のことが、(自分も含めて)意外とできないものなのだ。だから、初心者の皆さんが全員できたのを見届けられたことが、とても嬉しかった。

さぁ、次はマルトレだ。これは5ヵ月かかる。がんばりましょう。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
全くゼロの段階からこんなに優れた先生に最高の技... (kohji)
2008-11-09 20:58:16
全くゼロの段階からこんなに優れた先生に最高の技術を教わることのできる幸運は、学生さん達もきっと理解して下さることを祈りましょう。
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Paganiniも先生の意見に共感しました。 (Paganini)
2008-11-10 00:50:49
Paganiniも先生の意見に共感しました。
弾けるようになったら嬉しいと思います。
......マルトレ難しそうですね
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コメントありがとうございます。暖かい言葉に面映ゆい... (井財野)
2008-11-10 10:30:55
コメントありがとうございます。暖かい言葉に面映ゆいばかりですが自慢しているつもりは毛頭なく、悪戦苦闘している一指導者のドキュメントと理解して下さい。過去十数年、これを私がうまく伝えられなくて、それを習得することなく卒業していった学生も多々いる訳ですから。
楽器の技術習得は多大な意思の強さと忍耐力を要しますが、逆に言えば、何かできる度に意思は強くなり、忍耐力もついてきていることになります。
そのメリットを意識すれば、やる気も出てくるというものでしょう。そのためにもがんばっていただきたい、と思う一心です。
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いつも大変楽しみに拝見させていただいてます。と... (mama)
2008-11-10 22:56:05
いつも大変楽しみに拝見させていただいてます。ところで、今回のお話の「シェフチーク」というのは、「Sevcik」のことでしょうか?知識がないもので申し訳ありません。お教えいただけると幸いです。
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mama様、ご愛読ありがとうございます。 (井財野)
2008-11-11 11:56:10
mama様、ご愛読ありがとうございます。
ご指摘の通りです。以前は英語読みのセブシックで通っていて、日本語版もその表記になっていますが、チェコ語読みではシェフチークと読むようなので、そのように書きました。
それにセブシックよりシェフチークの方が、語感が良いと感じますが、いかがでしょうか?
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早速のご回答ありがとうございました。子供に習わ... (mama)
2008-11-12 17:14:38
早速のご回答ありがとうございました。子供に習わせているので、ちょっと試してみたくなりました。(先生に見てもらわないと難しいかな…)これからも拝読させていただきます。ありがとうございました。
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