昨年開業したバスターミナルに初めて行ってみた。
ここは熊本のバス会社5社を中心に、ほぼ全てのバスが集結する熊本の一大センターである。
ここは半世紀にわたり、熊本県民には「交通センター」として親しまれた場所で、そこを建て直したものだ。
やれやれ、とひとまずホッとする。
一つは、何年もかかった工事が終わったから。
そしてもう一つ、ようやく「人並み」になったから(こちらが重要!)。
半世紀も「交通センター」の支配が続いた熊本県民には、全くわからないかもしれない。
が、熊本市民以外に対して、何と不親切だったことか。
熊本のバスは、全て「交通センター」に向かう。これは結構珍しいことだ。
九州産業交通の本社がそこにあって、産交バスのターミナルがそこにできるのは当然として、残りの電鉄系2社と市営バス等が、全てそこを起点にしている。こういう例は、少なくとも九州の他県には無い。どこでも自社ビルにターミナルを作るのが一般的だから。
という訳で、利便性に大変優れている、一旦慣れてしまえば。
しかし、熊本駅を降りて、バスを見ると、全てのバスが「交通センター」へ吸い込まれるように走っている。
熊本駅前には「産業道路」というものがあり、市東部に行くには、それを使った方がはるかに早いのだが、そこを走るバスは第一環状線というのが一時間に2本ほど走るのみ。
その第一環状線もご丁寧に「交通センター」を経由する。
全てのバスが「交通センター」を通る利便性は、このような「犠牲」の上に成り立っている。こんな街も珍しい。
これが「桜町バスターミナル」で解消された訳ではない。
が、地名が入ったことが大変な改善である。これも熊本市民にはわからないかもしれない。
なかなか例えが難しいが、例えば東京に初めて行って、全てのバスや地下鉄が「TCAT」行きと書いてあったらどうだろう。かなり不安になるのではないだろうか。新宿とか渋谷と書いてある安心感とは比べものにならないだろう。
つまり「桜町」という地名が入って、ようやく他県並みになった。行き先表示だけで訪問者を不安に陥れる心配は解消された。
この不安感を半世紀与え続けていたことに終止符が打たれたのはめでたいことである。