井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

踊るバッハ

2017-12-18 08:23:00 | ヴァイオリン
ヴァンクーヴァーに行く旅費を稼ぐために、ヴァンクーヴァーで小規模な演奏会を開いてもらった。

これがまた大変なことが数々あったのだが、その詳細は機会があれば別に述べるとして…

企画側から「(乳幼児も入れる)ファミリーコンサートにしてほしい」という申し入れがあった。企画の当初からではなく、途中からの申し入れである。

それは基本的にはOKだけど、それにバッハの無伴奏曲を聴かせるとは……。どうなるのか、全く見当がつかない。

これが自分の企画だったら、バッハを聴かせるということはしないと思う。
しかし、よくわからないヴァンクーヴァーでやること、よくわからないままやってしまおう、というノリでやってしまった。

ふたをあけたら、聴衆の3~4割は子供、しかし親が隣に座り、きちんとコントロールしている感じ。通路をうろつく子供もいたけど、騒音を立てる子は皆無。

想像以上に静かだったので、かえってこちらが緊張してしまった。この静けさを維持したい。そのためには、みたいなことばかり頭をよぎった。

演奏したのはパルティータの第三番だったが、むしろ私の方が静けさのプレッシャーに堪えかね、ブーレとジーグは予定していた繰り返しを省略してしまうほどだった。

一方、子供達には予想以上に「伝わった」ようである。
知人を通じていただいた6秒の動画でそれがわかった。
プレリュードに合わせて、弾き真似をしていたのだ。

こういう反応は実に嬉しい。
教会で演奏したから、神様が手伝ってくれたかもしれない。
諸条件重なっての結果だとは思うが、子供だからジブリやディズニー、とは限らないことが実証できた貴重な体験であったことは間違いない。

改めて、企画し手伝ってくれた皆さん、集まってくれた聴衆の皆さんに感謝する次第である。