井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ダースベイダー・マーチ

2013-08-14 00:07:22 | オーケストラ

J.ウィリアムスの「スター・ウォーズ」組曲、高校生の頃、ある時期毎日聞いていた。

こうやって毎日聞いていた音楽のほとんどは、ほどなくして演奏できるものなのだが、この曲はなぜか30年以上の年月を経て、今年ようやく生で聞く機会を得た。さるアマチュア・オーケストラのトレーナーを頼まれ、二回ほど、練習ではあるがオーケストラのナマ音を聞けたのである。これは感慨深い経験だった。

ところで、この「スター・ウォーズ」の音楽は、様々な意味で特別である。

当時、映画は日本で公開されていなかったのに、音楽だけが先に輸入され、爆発的に広まった。

サントラ盤のLPはロンドン交響楽団で、信じられないほど粗い演奏だった。(推測だが、ハリウッドの演奏者だったらこんなことはなかったと思う。ロンドン響にしたのは安くあげるため。)

それに気付かされたのは、次にズビン・メータ指揮ロス・フィルの「組曲」が発売され、それがLSOと違い、俄然磨かれた演奏だったからだ。

このロス・フィルの組曲は、現在演奏されている組曲と内容が違う。

1曲目、メインタイトルはほとんど同じなのだが、終り方が簡素。(現在の組曲はエンドタイトルと全く同じ終り方になっている。)

「酒場のバンド」というディキシーランド・ジャズ風の曲と、「戦闘」シーンの曲が入っていた。

この内容を、高校生の時は聞いていたのである。

現在の組曲は「ダースベイダー行進曲」と「ヨーダのテーマ」が入っている。つまり「ジェダイの復讐」「帝国の逆襲」まで発表された後に編まれた組曲なので、よりオーケストラ・サウンドに酔いしれることができる、はずだと思う。

特に「ダースベイダー」はスゴい曲だと思う。一聴して、あの凶悪な顔と結びつく。この度、生で聞いたのは初めてだったので、そのインパクトはより強烈。

ところで、J.ウィリアムスの曲は、おしなべて易しくない。特に金管楽器の負担はかなりのものだ。難しいのか、と彼らに問うと「とにかくきつい」と異口同音に言う。いくら吹いても耐えられる強靭なアメリカ人を想定しての作品、なのかもしれない。

しかし近年ではアマチュアの奏者でも、かなりのところまで演奏できる。これは本当に日本全体のレヴェルが上がったということで、めでたいことだ。

私が振らせてもらったアマチュア・オーケストラでもかなりの水準の演奏ができていたと思う。たちどころに、あのダースベイダーの凶悪な顔が思い浮かんでくる、すばらしいサウンドを聞かせてもらえた。

あまりに本物の音なので、頭の中ではダースベイダーの心境やいかに、などという、演奏とは関係ないものまでチラついてきた。エピソードIIIにある、ダースベイダー誕生のシーンまで思い出されてきた。

うーん、いかん。こうなると、もうダメだ。振りながら涙が出そうになってきた。テンポまで遅くなってしまった・・・。

早々に練習は切り上げることになる。

いやはや、この行進曲は、私にとって心を鬼にしないと演奏できない、とんでもない曲と化してしまった。

ダースベイダーって、悪役なんですかね? 皆さんはどう思われますか?