井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

血沸き肉踊るクラシック系音楽

2012-06-20 21:46:48 | オーケストラ

FMで偶然聞いた曲があった。うん、これは知っている曲だ。しかし何だっけ。うーん、うーん、やはりボケが始まったことを認めるべきだろうか、とか何とか考えて、5分くらいしてやっと思い出した。モートン・グールド作曲の「ラテン・アメリカン・シンフォニエッタ」だ。

自分でCDも買っている。作曲者の指揮によるロンドン交響楽団のもの。FMで放送されたのと全く同じ演奏だったのが後でわかった。3200円もした、ということは1980年代に買ったのだろう。そのくらい興味津津で買ったのに、最近全然聴いていないから、ついに忘れかけてしまった、ということだ。やれやれ。

聞かなくなったのは理由がある。単純に「これは面白いよ」と人に勧めるほどには面白くないと評価したからである。

それでも、モートン・グールドには大変関心がある。「パヴァーヌ」や狂詩曲「ジェリコ」(吹奏楽の名曲)は悪くないと思う。

(ただしリンクした演奏は悪いと思う。良い演奏を探しきれませんでした。)

しかし上記の諸曲、全てこの曲には及ばないと思っている。それは、

アメリカン・サリュート AMERICAN SALUTE

いつ聴いても心が騒ぐ。血沸き肉踊る曲なのである。

最初に聞いたのは吹奏楽の「自由曲集」というLPを高校時代、友人が買って、それを貸してくれた時だ。面白いと思ったけれど、その友人が面白いと騒いでいたので迎合するのもはばかられ(素直じゃないのだ)、とりあえず興味を示す程度。

その次に、N響のゴールデンポップスといっただろうか、うろ覚えなのだが、確か外山雄三指揮のN響がテレビとFMで放送したのである。それが目茶苦茶速いテンポでメチャクチャかっこいいのだ。

当時のN響はドイツ風サウンド一点ばり、トランペットもゲタムラ先生で、決してヌケは良くないのだが、それでもカッコイイ。

そこでトリコになった私、爾来、事あるごとに演奏のチャンスを伺ってきた。

が、それにブレーキをかけるのは、もう一人の自分であった。

なぜ、日本人がアメリカのサリュート(敬礼)なの?

原曲の「ジョニーが凱旋する時」も結構好きな曲である。これもアメリカの南北戦争の歌だ。

これが、どういう訳か映画「塀の中の懲りない面々」で使われていて、とても妙な感じを持ったものだ。なぜ日本の囚人が「ジョニー~」なの? (ただし、ものすごく印象的)

非常にアメリカを感じさせる曲なのである。否、アメリカの愛国心を感じさせる。

これがとても羨ましい。

だったら、日本の愛国心をかきたてる曲をやれば良いではないか、と思うのだが・・・そんな曲がなかなか見つからない。

アメリカだとか何だとかにこだわらずに、演奏を考えたことも何度もある。そこで知るもう一つの驚きは、原曲が吹奏楽の方だということ(とヤマハの店員から言われた)。非常に珍しいケースだ。

これは基本的に管楽器向きの曲想で構成されていることを意味している。となると、弦楽器の苦労が報われないかも、と思ってしまう。

それは考えなくとも、最初に出てくるファゴット3本とコーラングレの組み合わせは、他の楽器には替え難い。これだけダブルリード楽器を揃えるのは実際問題として、かなり難しいのである。

このように様々な理由で演奏が実現しない。けれどこれを作ったモートン・グールドには頭が下がるばかり。これと並ぶ曲が無いとしても、これ一曲あるだけでも充分素晴らしい作曲家だと言いたい。

自分で演奏できないとすればアメリカ人の演奏を聴いて我慢するしかないのだろうな。という次第でご紹介する動画は、アメリカ空軍のもの。驚いたのはバンドでなくオーケストラであった。日本で言えば自衛隊管弦楽団?!そんなものがあるのか、とこれもこの度知った次第。

心なしか誇らしげに紹介する司会者にもやや嫉妬を覚えるが、空軍オーケストラ、なかなか素晴らしい演奏を聞かせてくれる。