井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ソリテア、三たび

2007-12-06 12:27:36 | 音楽

井財野友人は今年、オーケストラ・メソッドにかなりエネルギーを費やしている。そのせいもあって、今年の新作は、これ一曲のみになってしまった。その貴重な一曲「ソリテア」が昨日、福岡市あいれふホールで演奏されたのを聴きに行った。

九響の吉浦さんを中心とするコントラバス・アンサンブルの演奏会で、独奏から始まり、八重奏まで少しずつ台数が追加されていくプログラムだった。

ソリテアの演奏は三回目になるが、回を重ねるごとに演奏が充実していくのを聞けるのは嬉しい。

しかし同時に、コントラバスのことをまだまだ知らない自分に気付かされる一晩でもあった。 というのも、その後に続く曲はベーシストの作品か編曲のみ。とてもじゃないが、それらのように技巧を駆使できるものではない。その意味でも、恥ずかしい一晩ではあった。

それだけに、後半に発表された藤井さん、丹羽さんの編曲は秀逸。当初の予定では今日の仕事の準備のため、前半で失礼しようかと思っていたのだが、聴いて正解だった。

クレーメルで有名になった「タンゴ・パセティーク」という、チャイコフスキーの悲愴をタンゴにしたものがあるが、それに勝るとも劣らない「ピアソラの白鳥」。白鳥の湖がピアソラの語法に変容している、まさに井財野好みの作品だった。

丹羽氏のルパン三世も、巨大な楽器群で16ビートまで表現してしまう、これもベーシストならではの楽器法に驚嘆。

同じ楽器だから、率直に言って技量の差が、割と生で出やすい面もある。でも皆さん、やはりプロ!聴衆に訴えるのが使命であることを理解しているから、とても楽しめた一夜だった。