日米両政府は26日、ACSAに署名し、米国の侵略戦争で日本が兵站線を担う態勢が整備されてきた 櫻井ジャーナル 2016.09.29
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201609290000/
日米両政府は9月26日、外務省で「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」の署名式を行ったようだ。安倍晋三政権は「集団的自衛権」という名目でアメリカの侵略戦争に協力する態勢を整えつつあり、その一貫と言えるだろう。このACSAは自衛隊とアメリカ軍が物品や役務を融通する際の取り決めで、物品には燃料や弾薬が含まれる。有り体に言えば、アメリカ軍の兵站線を自衛隊が担うということだ。
兵站は戦争の勝敗を大きく左右する。アメリカ軍が行ってきた「テロとの戦い」の間に「テロリスト」が勢力を拡大できたのは、アメリカ軍が「テロリスト」の兵站線を叩かなかったことが大きい。物資を「テロリスト」に「誤投下」してきただけでなく、高性能兵器をアメリカやその同盟国はアル・カイダ系武装集団へ供給している。最近ではそうした事実を隠していない。隠す必要がないほど知られているとも言える。
2012年8月にDIA(国防情報局)の作成した文書がシリアにおける反乱の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だとし、西側、湾岸諸国、そしてトルコからの支援を受けているとホワイトハウスに報告、「穏健派」を支援するというバラク・オバマ政権の政策が危険だと警告している。そうした警告を知った上でオバマ大統領は「穏健派」、その実態は「過激派」を支援してきた。目的は、言うまでもなく、バシャール・アル・アサド体制の打倒だ。
最近ではアメリカ軍も開き直り、例えば8月16日に広報担当のクリストファー・ガーバー大佐は記者会見で、自分たちが戦っている相手はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だけであり、アル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)ではないと明言している。そのダーイッシュとアル・ヌスラの実態に大差はなく、違いはタグの種類だけ。
本ブログでは何度も書いてきたが、シリアでの戦闘が「独裁政権に対する民主主義を求める人民の蜂起」でないことは、2011年春に戦闘が始まった直後から少なからぬ人が指摘してきた。アサド体制を倒すためにアメリカの好戦派はリビアと同じようにアル・カイダ系武装集団を使い、そうした集団とNATOとの関係が広く知られるようになると、新たなタグとしてダーイッシュをつけただけだ。
9月17日には、そのダーイッシュを守り、シリア政府軍への攻撃を支援するため、アメリカ軍が主導する連合軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がシリア北東部の都市デリゾールで政府軍の部隊を攻撃、当初の発表では62名が殺された。その後でシリア政府軍は死者の数を80名以上としている。
ロシア軍との戦争が勃発する可能性が高まることを承知の上でアメリカ軍が前面に出て来たのは、手先の「テロリスト」が劣勢になったから。「停戦」で時間を稼ぎながら態勢を整えてのことだ。「テロリスト」でアサド政権を倒すことが困難になった一因は、アメリカ軍と違い、ロシア軍が本当に侵略軍の兵站線を攻撃したからだ。ロシア軍が出てくる前、アメリカ軍が兵站線を放置しているのは「テロリスト」を叩く意思がないからだと言われていた。それほど兵站線は重要だ。
アメリカ軍は東アジアでも軍事的な緊張を高め、安倍政権はそれに同調している。アメリカ軍が日本を従えて中国と戦争を始めたならロシア軍が出てくる可能性は高く、日米と中露の戦争になる。兵站線を担う自衛隊はアメリカ軍の軍事拠点と同じように攻撃されるだろう。そうした役割を安倍政権はACSAによって、アメリカ政府に約束したわけだ。
アル・カイダ系武装集団の司令官が米国を味方だと話したと伝えた独雑誌は独国の米国離れを示唆 櫻井ジャーナル 2016.09.28
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201609280000/
アル・カイダ系武装集団にしろ、そこから派生したダーイッシュにしろ、自由シリア軍(FSA)にしろ、新しいタグのファテー・アル・シャム(レバント征服戦線)にしろ、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする侵略勢力の傭兵にすぎない。アメリカ軍の元幹部、情報機関、副大統領も認めている事実だ。アル・カイダ系のアル・ヌスラの幹部は武器をアメリカから入手、アメリカは自分たちの味方だと認めたとドイツの雑誌が伝えている。雑誌の記事に目新しい事実が含まれているわけではないが、これまでアメリカの好戦派が主張することを宣伝するだけだったメディアが事実を伝えているのは興味深い。
戦争に消極的だったビル・クリントン政権を戦争へと導いたのがヒラリー・クリントンの人脈だということは本ブログですでに指摘した。その転換点は1997年1月。国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリン・オルブライトに交代した時だ。オルブライトは大学時代にズビグネフ・ブレジンスキーから教えを受けた人物で、ヒラリーと親しい。オルブライトがユーゴスラビアへの先制攻撃を先導した。
ビル・クリントン政権には国務副長官の首席補佐官として、好戦的なネオコン/シオニストのビクトリア・ヌランドもいた。なぜ彼女がこの政権に入っているのかいぶかる人もいたが、その謎を解く鍵もヒラリー。ヌランドとヒラリーは親しい間柄だ。
つまり、ヒラリーは筋金入りの好戦派で、ネオコンだけでなく、戦争ビジネスや巨大金融資本を後ろ盾にしている。共和党の大統領候補であるドナルド・トランプが立派な人物だとは言わないが、危険度ではヒラリーが高い。
アメリカの好戦派はNATOをロシアとの国境へ近づけて挑発、ウクライナでは選挙で民主的に選ばれた政権を倒すためにネオ・ナチの暴力を使い、リビアやシリアではアル・カイダ系武装集団など「テロリスト」を利用している。
ユーゴスラビアではNATO軍を利用、イラクは2003年にアメリカ軍が率いる連合軍が戦争攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、その後も破壊と殺戮を続けている。正規軍を使っての侵略だが、2008年に流れが変わる。
ジョージア(グルジア)では2001年からイスラエルの会社がロシアとの戦争に備えてグルジアに武器を提供、同時に軍事訓練を実施して戦争準備を進めていた。軍事訓練の責任者はイスラエル軍の退役したふたりの将軍、ガル・ヒルシュとイースラエル・ジブで、イスラエルからは無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどが提供されていた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008)
また、ロシア軍のアナトリー・ノゴビチン将軍もイスラエルがグルジアを武装させていると非難している。2007年からイスラエルの専門家がグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器、電子兵器、戦車などを供給する計画を立てていたというのだ。(Jerusalem Post, August 19, 2008)
当時、ジョージアにはヘブライ語を流暢に話せるふたりの閣僚がいた。ひとりは国防大臣で、もうひとりは南オセチア問題の担当大臣。それほどイスラエルとグルジアとの関係は深かった。
2008年7月10日にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問、それから1カ月足らずの8月7日にサーカシビリ大統領は南オセチアの分離独立派に対して対話を訴え、その約8時間後の深夜に奇襲攻撃を開始したが、ロシア軍がすぐに南オセチアへ援軍を派遣、軍事侵攻していたジョージア軍を粉砕してしまった。この作戦はイスラエルが立てたと推測する人もいる。そして8月15日、再びライス国務長官がジョージアを訪れた。
約6年に渡って準備しての軍事侵攻であり、ロシア軍に粉砕されたことはショックだったろう。その2年前、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)はロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとするキール・リーバーとダリル・プレスの論文を掲載していた。南オセチアの一件で、アメリカの支配層がロシアの軍事力を過小評価していたことが明確になった。
2011年春にリビアやシリアに対して始まった侵略戦争は傭兵を使ったゲリラ戦。リビアではNATOの空爆も絡めて破綻国家を作り上げたが、シリアではロシアが空爆を許さない。しかも2015年9月30日にはロシア軍が空爆を開始、戦闘部隊が叩かれ、兵站線も攻撃されて侵略は目論見通りに進んでいない。
そこでロシアに停戦を認めさせ、その間に攻撃態勢を整えた。タグを付け替えて空爆させないような演出を試み、自国の特殊部隊を増派していくつもの拠点を作り、国境線から100キロメートル程度の地域はアメリカ側が支配しているようだ。しかも、60名とも80名とも言われるシリア政府軍の兵士を空爆で殺している。
シリア北部の要衝アレッポの山岳地帯にある外国軍の司令部を、シリア沖にいるロシア軍の艦船から発射された3発の超音速巡航ミサイルが9月20日に攻撃、約30名が殺されたとロシア系アラビア語メディアが伝えている。その外国人とはアメリカ、イギリス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、カタールから派遣された軍人や情報機関の人間で、シリア政府軍に対する攻撃を指揮していたのはここだとも言われている。
こうした情報が正しいなら、すでにアメリカとロシアの戦争は始まっていると言えるだろう。危機感を持つ人が増えるのは当然で、EUではそうした動きが見られる。
シリアでの米軍とその仲間達の悪行が次々にモロバレに ― 2016/09/27 22:07
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2016/09/27/8203616
ドイツ紙 テロ組織・ヌスラ戦線の幹部が、アメリカから支援を受けていることを明らかに ― 2016/09/28 22:40
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2016/09/28/8204367
テロ準備罪、首相「国民の理解を得ながら取り組む」 朝日新聞 2016年9月29日12時01分
http://www.asahi.com/articles/ASJ9Y3QRWJ9YUTFK005.html
参院本会議で、公明党の山口那津男代表の代表質問に答弁する安倍晋三首相=29日午前10時31分、岩下毅撮影
犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等組織犯罪準備罪」の新設について、安倍晋三首相は29日の参院本会議で、「これまでの国会審議における議論を踏まえ、国民の理解を得る努力を行いながら取り組んでいく」と述べた。公明党の山口那津男代表の質問に答えた。
政府はマフィアなどの国際犯罪組織を取り締まる国際組織犯罪防止条約の締結には、共謀罪を含んだ法整備が必要としているが、過去3回、国会に提出して廃案になっている。
山口氏は「先進国の中では我が国だけが締結に至っていない。テロとの戦いを進める国際的な連携に不安はないのか」と首相に見解をただした。これに対して、首相は「国際社会と協力して、テロ組織の犯罪と闘うことは極めて重要な課題と認識している」と語った。
おまけ
https://www.facebook.com/yasuhiro.asano.31/posts/752654941540032
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201609290000/
日米両政府は9月26日、外務省で「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」の署名式を行ったようだ。安倍晋三政権は「集団的自衛権」という名目でアメリカの侵略戦争に協力する態勢を整えつつあり、その一貫と言えるだろう。このACSAは自衛隊とアメリカ軍が物品や役務を融通する際の取り決めで、物品には燃料や弾薬が含まれる。有り体に言えば、アメリカ軍の兵站線を自衛隊が担うということだ。
兵站は戦争の勝敗を大きく左右する。アメリカ軍が行ってきた「テロとの戦い」の間に「テロリスト」が勢力を拡大できたのは、アメリカ軍が「テロリスト」の兵站線を叩かなかったことが大きい。物資を「テロリスト」に「誤投下」してきただけでなく、高性能兵器をアメリカやその同盟国はアル・カイダ系武装集団へ供給している。最近ではそうした事実を隠していない。隠す必要がないほど知られているとも言える。
2012年8月にDIA(国防情報局)の作成した文書がシリアにおける反乱の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だとし、西側、湾岸諸国、そしてトルコからの支援を受けているとホワイトハウスに報告、「穏健派」を支援するというバラク・オバマ政権の政策が危険だと警告している。そうした警告を知った上でオバマ大統領は「穏健派」、その実態は「過激派」を支援してきた。目的は、言うまでもなく、バシャール・アル・アサド体制の打倒だ。
最近ではアメリカ軍も開き直り、例えば8月16日に広報担当のクリストファー・ガーバー大佐は記者会見で、自分たちが戦っている相手はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だけであり、アル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)ではないと明言している。そのダーイッシュとアル・ヌスラの実態に大差はなく、違いはタグの種類だけ。
本ブログでは何度も書いてきたが、シリアでの戦闘が「独裁政権に対する民主主義を求める人民の蜂起」でないことは、2011年春に戦闘が始まった直後から少なからぬ人が指摘してきた。アサド体制を倒すためにアメリカの好戦派はリビアと同じようにアル・カイダ系武装集団を使い、そうした集団とNATOとの関係が広く知られるようになると、新たなタグとしてダーイッシュをつけただけだ。
9月17日には、そのダーイッシュを守り、シリア政府軍への攻撃を支援するため、アメリカ軍が主導する連合軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がシリア北東部の都市デリゾールで政府軍の部隊を攻撃、当初の発表では62名が殺された。その後でシリア政府軍は死者の数を80名以上としている。
ロシア軍との戦争が勃発する可能性が高まることを承知の上でアメリカ軍が前面に出て来たのは、手先の「テロリスト」が劣勢になったから。「停戦」で時間を稼ぎながら態勢を整えてのことだ。「テロリスト」でアサド政権を倒すことが困難になった一因は、アメリカ軍と違い、ロシア軍が本当に侵略軍の兵站線を攻撃したからだ。ロシア軍が出てくる前、アメリカ軍が兵站線を放置しているのは「テロリスト」を叩く意思がないからだと言われていた。それほど兵站線は重要だ。
アメリカ軍は東アジアでも軍事的な緊張を高め、安倍政権はそれに同調している。アメリカ軍が日本を従えて中国と戦争を始めたならロシア軍が出てくる可能性は高く、日米と中露の戦争になる。兵站線を担う自衛隊はアメリカ軍の軍事拠点と同じように攻撃されるだろう。そうした役割を安倍政権はACSAによって、アメリカ政府に約束したわけだ。
アル・カイダ系武装集団の司令官が米国を味方だと話したと伝えた独雑誌は独国の米国離れを示唆 櫻井ジャーナル 2016.09.28
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201609280000/
アル・カイダ系武装集団にしろ、そこから派生したダーイッシュにしろ、自由シリア軍(FSA)にしろ、新しいタグのファテー・アル・シャム(レバント征服戦線)にしろ、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする侵略勢力の傭兵にすぎない。アメリカ軍の元幹部、情報機関、副大統領も認めている事実だ。アル・カイダ系のアル・ヌスラの幹部は武器をアメリカから入手、アメリカは自分たちの味方だと認めたとドイツの雑誌が伝えている。雑誌の記事に目新しい事実が含まれているわけではないが、これまでアメリカの好戦派が主張することを宣伝するだけだったメディアが事実を伝えているのは興味深い。
戦争に消極的だったビル・クリントン政権を戦争へと導いたのがヒラリー・クリントンの人脈だということは本ブログですでに指摘した。その転換点は1997年1月。国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリン・オルブライトに交代した時だ。オルブライトは大学時代にズビグネフ・ブレジンスキーから教えを受けた人物で、ヒラリーと親しい。オルブライトがユーゴスラビアへの先制攻撃を先導した。
ビル・クリントン政権には国務副長官の首席補佐官として、好戦的なネオコン/シオニストのビクトリア・ヌランドもいた。なぜ彼女がこの政権に入っているのかいぶかる人もいたが、その謎を解く鍵もヒラリー。ヌランドとヒラリーは親しい間柄だ。
つまり、ヒラリーは筋金入りの好戦派で、ネオコンだけでなく、戦争ビジネスや巨大金融資本を後ろ盾にしている。共和党の大統領候補であるドナルド・トランプが立派な人物だとは言わないが、危険度ではヒラリーが高い。
アメリカの好戦派はNATOをロシアとの国境へ近づけて挑発、ウクライナでは選挙で民主的に選ばれた政権を倒すためにネオ・ナチの暴力を使い、リビアやシリアではアル・カイダ系武装集団など「テロリスト」を利用している。
ユーゴスラビアではNATO軍を利用、イラクは2003年にアメリカ軍が率いる連合軍が戦争攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、その後も破壊と殺戮を続けている。正規軍を使っての侵略だが、2008年に流れが変わる。
ジョージア(グルジア)では2001年からイスラエルの会社がロシアとの戦争に備えてグルジアに武器を提供、同時に軍事訓練を実施して戦争準備を進めていた。軍事訓練の責任者はイスラエル軍の退役したふたりの将軍、ガル・ヒルシュとイースラエル・ジブで、イスラエルからは無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどが提供されていた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008)
また、ロシア軍のアナトリー・ノゴビチン将軍もイスラエルがグルジアを武装させていると非難している。2007年からイスラエルの専門家がグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器、電子兵器、戦車などを供給する計画を立てていたというのだ。(Jerusalem Post, August 19, 2008)
当時、ジョージアにはヘブライ語を流暢に話せるふたりの閣僚がいた。ひとりは国防大臣で、もうひとりは南オセチア問題の担当大臣。それほどイスラエルとグルジアとの関係は深かった。
2008年7月10日にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問、それから1カ月足らずの8月7日にサーカシビリ大統領は南オセチアの分離独立派に対して対話を訴え、その約8時間後の深夜に奇襲攻撃を開始したが、ロシア軍がすぐに南オセチアへ援軍を派遣、軍事侵攻していたジョージア軍を粉砕してしまった。この作戦はイスラエルが立てたと推測する人もいる。そして8月15日、再びライス国務長官がジョージアを訪れた。
約6年に渡って準備しての軍事侵攻であり、ロシア軍に粉砕されたことはショックだったろう。その2年前、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)はロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとするキール・リーバーとダリル・プレスの論文を掲載していた。南オセチアの一件で、アメリカの支配層がロシアの軍事力を過小評価していたことが明確になった。
2011年春にリビアやシリアに対して始まった侵略戦争は傭兵を使ったゲリラ戦。リビアではNATOの空爆も絡めて破綻国家を作り上げたが、シリアではロシアが空爆を許さない。しかも2015年9月30日にはロシア軍が空爆を開始、戦闘部隊が叩かれ、兵站線も攻撃されて侵略は目論見通りに進んでいない。
そこでロシアに停戦を認めさせ、その間に攻撃態勢を整えた。タグを付け替えて空爆させないような演出を試み、自国の特殊部隊を増派していくつもの拠点を作り、国境線から100キロメートル程度の地域はアメリカ側が支配しているようだ。しかも、60名とも80名とも言われるシリア政府軍の兵士を空爆で殺している。
シリア北部の要衝アレッポの山岳地帯にある外国軍の司令部を、シリア沖にいるロシア軍の艦船から発射された3発の超音速巡航ミサイルが9月20日に攻撃、約30名が殺されたとロシア系アラビア語メディアが伝えている。その外国人とはアメリカ、イギリス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、カタールから派遣された軍人や情報機関の人間で、シリア政府軍に対する攻撃を指揮していたのはここだとも言われている。
こうした情報が正しいなら、すでにアメリカとロシアの戦争は始まっていると言えるだろう。危機感を持つ人が増えるのは当然で、EUではそうした動きが見られる。
シリアでの米軍とその仲間達の悪行が次々にモロバレに ― 2016/09/27 22:07
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2016/09/27/8203616
ドイツ紙 テロ組織・ヌスラ戦線の幹部が、アメリカから支援を受けていることを明らかに ― 2016/09/28 22:40
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2016/09/28/8204367
テロ準備罪、首相「国民の理解を得ながら取り組む」 朝日新聞 2016年9月29日12時01分
http://www.asahi.com/articles/ASJ9Y3QRWJ9YUTFK005.html
参院本会議で、公明党の山口那津男代表の代表質問に答弁する安倍晋三首相=29日午前10時31分、岩下毅撮影
犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等組織犯罪準備罪」の新設について、安倍晋三首相は29日の参院本会議で、「これまでの国会審議における議論を踏まえ、国民の理解を得る努力を行いながら取り組んでいく」と述べた。公明党の山口那津男代表の質問に答えた。
政府はマフィアなどの国際犯罪組織を取り締まる国際組織犯罪防止条約の締結には、共謀罪を含んだ法整備が必要としているが、過去3回、国会に提出して廃案になっている。
山口氏は「先進国の中では我が国だけが締結に至っていない。テロとの戦いを進める国際的な連携に不安はないのか」と首相に見解をただした。これに対して、首相は「国際社会と協力して、テロ組織の犯罪と闘うことは極めて重要な課題と認識している」と語った。
おまけ
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