チャーリーの首輪とリードを買いました。夫が残してくれたお金で買いました。
私たち、私、母、妹は夫が亡くなるまで、夫と心が近くにありました。亡くなったとき、とても辛くて、なくしものをしたように感じていました。
そして、夫がお金を少し残してくれたので、私、母、妹、チャーリーに何か買って、それを夫との生活の記念にしようと思いました。
私たちはちょっとした洋服を買いました。チャーリーだけはまだ買っていなかったので、インターネットで、首輪とリードを探していました。
かわいいというのではないのですが、シンプルで、おしゃれなものを見つけました。この頃はかわいい洋服を着ますから、首輪やリードはシンプルな方がいいと思いました。
これで、みんなその洋服を着るたびに、夫のことを思い出せるようになるでしょう。
夫が倒れた時には、少しずつ回復して、だんだん元気になるだろうと期待していましたが、コロナのせいで会えなくなってからは、だんだん弱っていきました。
夫は、我慢強くて、あまり弱音を吐かない人でしたし、自分のことより人のことに気を使うような人でした。
それが、倒れてからは、一変して、子供のように、わがままを言いました。ちょっとしたわがままなので、困ることはなかったのですが、私は、本当にびっくりしました。
一つとても鮮やかに覚えていることがあります。チャーリーは夫が元気なころは、夫に遊んでもらっていました。本当に仲良しだったのです。ところが、夫が倒れて家にいない時間が長くなると、チャーリーは、夫を避けるようになりました。夫も情けなかったようでした。
そして、私が、何かの話題で、「お父さん、チャーリーのこと好きでしょ」といった時、「僕はチャーリーが嫌いよ」といいます。どうして、と聞くと、「チャーリーが僕になつかないから、僕はチャーリーがきらい」といったのです。
こんなことは、絶対言わなかったよね、と思うと、なつかれなかった夫も、夫になつかなくなったチャーリーも、どちらもとても不憫で可哀想でした。
チャーリーは、様子が変わった夫に躊躇していたのだと思います。少しずつ寝たきりの夫に慣れてきて、そのうち顔を舐めに行っていましたから。
この首輪とリードを見るたびに、私や母や妹は、チャーリーと庭で走り回っていた夫の姿や、夫の椅子の半分を占めていたチャーリーのことを思い出すだろうと思います。