美しい夕焼け

美しい晩年を目指して

愛らしいメリー

2023-04-25 13:43:39 | チャーリー


メリーは私が2才から育てたミニチュアダックスフントです。私の両親が飼っていた犬です。だからメリーは、最初私や夫にあまりなつきませんでした。全然なつかなかったわけではなく、私や夫は、いろいろなことをしてくれる人と思っていたようです。

でも、心からなつくということはないかもしれないと思っていました。ローリーのように私たちに全幅の信頼を寄せるという訳ではなく、いろいろなことをしてもらえるけれど、最後のところで、ぷいとよそを向くという感じがしました。

でも、ローリーを家で育てることにした時から、メリーの戦争がはじまりました。ローリーより、自分がかわいがられたいと思い始めたようです。ローリーは子犬ですから、誰にでもとびかかってかわいがられようとしました。それをメリーは許せなかったようでした。


メリーはローリーとけんかするようになりました。ローリーも負けてはいないので、それはすごいけんかになりました。ある日、ローリーは、メリーに耳をかまれて、けがをしました。それは、ちょっとしたケガでしたが、私たちは、これは大変だと思いました。

このまま放っておくと、きっとけがをしょっちゅうするようになると思いました。みんなで相談をして、最初にメリーちゃん、ということを徹底しようと考えました。ローリーがとびかかって遊ぼうよといっても、まず、メリーちゃんあそぼ、というようにしました。

ローリーは初めは戸惑ったようですが、そのうち、メリーちゃんの後でいいや、ということが分かり始めました。親子で3才年が離れているのですが、生まれてすぐのころには親子のようですが、独り立ちするようになると、もうお互い犬として認識するようになります。

メリーは自分が最初にいた犬なのに、ローリーはずるいと思ったのでしょう。上下関係がきちんとなってからは、2ひきで、とても仲良しになりました。



メリーは、だんだん私たちに心を開き、ローリーとおばあちゃんとお父さんとお母さん、と思ってきたようでした。メリーは女の子らしい犬で、なつき方にも女の子らしさが見えていました。ローリーのようにストレートではなく、少しずつ近寄ってくるという感じでした。みんなメリーの歩くうしろ姿を見て、メリーちゃんは、モンローウォークだねえ、と言っていました。

ある日、もう14才になったころです。メリーはもうかなり弱っていました。歩くのもよろよろとして、体も触ると痛みがあるようで、誰にも触られたくないようでした。

そのメリーが、私のところに来て、私の膝をちょいちょいと触りました。何、メリーちゃん、というと、私の膝に頭を載せました。だっこしてほしいの? というと私をじっと見ています。私が抱っこしようとすると、体が痛いのか、ちょっと声を出しましたが、それでもじっと、抱かれていました。

私たちみんなで庭に出て、薔薇の様子を見ていた時でした。私の膝に抱かれたいという様子を見せたメリーは、ちょっとした垣根があるようだった私に抱かれることで、私たちみんな家族だね、お母さん、と言いたかったのでしょう。

その春から、季節が変わって、冬になったころ、メリーは病気で死にました。私は、朝の4時ころでしたが、起きていて、ずっと見ていました。夫と母を起こして、みんなで、メリーの顔を眺めていました。夫は、メリーの顔をなでてやっていました。

犬を飼うということは、必ず死を迎えるということで、それは、本当に辛く、なくしものをしたように喪失感があるのです。

当分は、メリーと遊んだ時に私を見た眼の愛らしさ、ローリーに負けまいと走る姿のかわいらしさを思い出しては、泣いたり笑ったりしていました。



犬を育てるのは、いろいろ大変なことがありますが、でも、それ以上に幸せな時をもらうことができると思います。

コメント (4)
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