教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

エンジニアのリスク回避能力について

2014-04-19 21:05:56 | 科学
上司はわたしのことをリスク回避能力が高いヤツだと思っているようだ。
それほど自覚はないのだが。

話を聞くに、


「実験していたら、この回路どうやらこの条件のとき動かないことが判明しましたw」
「で、どうすんの?」
「こういうときのために余ったところにダミーのロジックを入れておいたので、そっちに迂回させれば多分なんとかなるのではないかと」


「この回路思ったより難物ですねぇ。目標性能出すのけっこう大変かもです…」
「で、どうすんの?」
「少なくとも○○にすれば○○までは性能出ることはあらかじめ確認してあるので、箸にも棒にもかからんようなどーしようもない状況にはなりはしません。まあそれでいいかどうかというのは話は別ですがw」


「こいつをこの条件で測ってみたらこんな特性でしたから大丈夫でしょう」
「じゃあこの条件だとどうなの?」
「この資料にはのっけてはいませんけど、一応ちらっと見た限りにおいてはだいたい同じくらいの特性でしたから、端から端まで全部見たわけではないので断言はできませんけど多分大丈夫です」


とまあ、こんな応対をすぐしてくるところがそうだと言っていた。

別にこれは課長が無能なわけではない。
いちおう個人名を特定できるヤツのために言い訳しておくと、課長の得意分野とわたしの得意分野が全くかぶっていないことによって、それがいい方向に作用した結果であると言っておく。



世間でもリスク回避能力の有無によって致命的な大損害になるかどうかが決まった例は数多くある。

ダメな例でいえば、福島第一原発。
「5重の壁で守ってありますので万一のことなんて起きませんから絶対安心です!」
なんて言ってたくせに、1回のシビアアクシデントで5重の壁がぜんぶやられやがった。

良い例でいえば、はやぶさ。
イオン源がブチ壊れたエンジンと中和器がブチ壊れたエンジンをクロス運転できるようにしたその設計。

これ、東電が音頭とっていたら
「エンジンが全部壊れるなんて想定外です! 想定外の自然災害ですから我々は悪くありません!」
なんて言ってるところだ。



でだ。
この話には先がある。

課長はこのリスク回避能力を課内共有したいと言っているのだが・・・

さてどうやればそんなことができる??

その場では
「こういうのは実際にやってみて痛い目に合って覚えるもんなんじゃないですかねぇ・・・。
体系立てて人に教えられるようなもんじゃないような気がします」
と答えておいた。

そしていま改めて考えてみてもそれを人に教える方法は思いつかないでいる。



世間では失敗事例の共有化を促進したい管理職は大勢いるようだ。
だが失敗事例データベースを作ったとしても全く活用されないという話も聞く。

なぜか?

たとえばだな。

事例:作ってみたら設計値ほど性能が出なかった。
原因:設計時に寄生容量を考慮していなかった。
知見:あらかじめ設計時に寄生容量を考慮する。

なんてのが失敗事例データベースに載っていたとする。

これを見たエンジニアはどう思うか?

「クリティカルなところの寄生容量を考慮せずに設計していたら、そりゃー性能が出ないに決まってるだろ。単にこいつが愚かだっただけなのでは・・・?」
としか思わない。

これでは失敗事例は活用されない。
だが失敗事例のレポートは得てしてこういう記述しかなされていないし、自分が執筆する側になったとしてもこれくらいしか書きようがない。

そういう意味でもリスク回避能力の共有化はとても難しいように思われる。


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