教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

いまふたたび紐緒結奈(ときメモ1)への愛を語る

2008-12-29 01:01:24 | オタネタ全般
わたしが人類の住まう世界をドロップアウトしこちら側の住人となるための致命傷を与えたゲームがある。大学に入り、同じアパートに住んでいた親友(男)が持ってきたPCエンジンのときめきメモリアルである。

それまでの中高校生だったころのわたしは、紐緒結奈とおなじく数学物理など理系科目が異常に得意だった。ただ、国語や英語はありえんくらい超絶ダメダメだった。おかげでクラスのヤツらからも頭が切れるというよりは特殊能力保持者みたいな感じに思われていたふしもあったような気がする。

その頃のわたしは、これまた紐緒結奈とおなじく恋愛ごとなんてくだらねえと思っていたし、TVドラマでふったふられたばかりやっているのを見て、そしてポップスで恋愛ごとばかりあつかうのを聞いて、「おまえら何てヒマなんだ、ほかにすることくらいあるだろ!」くらいに思っていた。

当時はドラマにでてくるような典型的科学者タイプの思考で、ものごとをすごくロジカルにしか考えていなかった。
人類は特異的に発達した脳によって科学技術を発展させ自らを幸せにするためだけにある、そうマジで考えていた。文学作品や芸術は人間があまった能力をたれながしているだけの、取るに足らない賞賛するに値しない産物だとマジで思っていて、科学を否定気味に解釈し、芸術を賞賛するひとたち、たとえばわたしの出身中学の国語や音楽の先生なんかを内心バカ扱いしていた。内心バカ扱いしていた人たちから教わるものだからマジメに勉強しようという気もせず、そして成績も悪い。ある意味で負のスパイラルかもしれん。
(注:現実の研究開発職のひとは別にふつうの人だよ、変に誤解しないでね)

そんななか、紐緒結奈に会ったのだった。

気に留めたきっかけは大したものではなかった。
多くのキャラに混ざりつつも人を寄せ付けずマッドサイエンスに人生を賭ける女、ある意味で俺にちかいようなヤツもいるじゃん、ただそんなのだった。

「……。がらくたね…。研究の足しにもならないわ」
わたしはファッションにこだわる行為をくだらないと思っていたし、同じくチャイナドレスをもらっても見向きもしない紐緒結奈が素敵だった。

「ちょっと、動かないで! 誤差が出るじゃないの!」
すでにテスターやオシロなど自前の計測器を持っていたわたしは微妙に空間を共有した感じがした。

「これも、これも、みんな安いわ。全部、買い占めよ」
電子パーツショップやジャンク屋に出入りしていたわたしは、他のだれでもないわたしが見ることができたのが嬉しかった。

「こ、これは!! 研究意欲が湧いてきたわ」
“いつかはCPUを単品でもらっても使い倒せるくらいの技量になろう”と、自分への戒めにもなった。

ときメモを持ってきた親友の助言どおり最初から全パラメータを上げようとしなかったのは正解だった。おかげで3年目の過半がすぎた頃はクリアできそうだと確信していた。

そして紐緒結奈の最大のイベント、紐緒結奈の全てを賭して創られた世界征服ロボとの対決。

紐緒結奈はそれまでのわたしと同じくロジカルにしか物事を見なかった。自分の美学的にかっこいいロジカルに生きる自分と、ベタに人並みに恋をしてしまって心の中で右往左往してしまい人並みにかっこ悪い自分。紐緒結奈のなかではこの2つが葛藤していた。わたしも寝食を忘れときメモをプレイしつづけ、こころのなかで同じように葛藤していた。

はじめてプレイしたころは ”世界征服ロボとは何とかっこ悪い、紐緒結奈はそんなダサい名前をつけるセンスはしていないだろ” と思った。しかし、今ならわかる。

紐緒結奈の出した結論はこうだった。
これまで信奉していた自分を悪役にしたてあげる。それを新しい自分が信奉するものに打ち破ってもらう。
だから世界征服ロボは強くなければならなかったが、かっこ悪いものでなければならなかった。だから主人公に打ち倒されなければならなかった。

わたしはエンディングで涙を流した。
たかがゲームでここまで感動するとは思わなかったし、なにかを見て泣いたのは初めてだった。世の中には本当にすばらしいものがあると初めて感じた。

エンディングで紐緒結奈は世界征服の野望をやめた。紐緒結奈はひとつ大人になったのだろう。ネットでは紐緒ファンのなかでもエンディングはイマイチだという評価が多い(※1)。それら意見を否定する気はないけれど、わたしはいまのエンディングで良かったと思っている。

わたしもときメモで、紐緒結奈グッドエンディングでちょっぴり大人に近づいた。恋なんてくだらねえと思っていたおこちゃまな自分、芸術を賞賛する人たちをバカにしていた了見の狭い自分から脱却したのだった。

その後、もちろん全員分のエンディングを見るところまでやりこんだ。
けれども今でも心にのこるのは紐緒結奈だけである。
わたしは紐緒結奈を愛した青春を永遠に忘れない。むろん墓まで持っていくつもりだ。

(じつはこの話は次回へと続く)



【※1 エンディング批判】

たとえば↓このサイトなど。
http://www3.airnet.ne.jp/gomimemo/tmron/yuina.htm
>僕が「ときメモ」の中で一番嫌いなのは、エンディングである。
>中でも紐緒さんのエンディングが一番悲しい。
>多くの紐緒ファンが語っているように、紐緒さんは、いつまでも世界征服を目指して欲しいのだ。
> つまらない色恋沙汰のために、自分の目標を曲げることなんて、して欲しくないのだ。
(以下略)


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