見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

イエスタデイ

2019-10-23 | 本と漫画と映画とテレビ
ビートルズのいない世界は退屈でつまらない。正しく使って。

―映画『イエスタデイ』より


監督は『トレインスポッティング』のダニー・ボイルで
脚本は『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティスと聞いて
いても立ってもいられず、大慌てで劇場の座席を予約。

ついでに、観に行こうかどうしようか迷っていた
タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も予約。
勝手に2本立て。

こういう時、シネコンはホント良い働きをしてくれます。スバラシイ!



『イエスタデイ』(2019年 英)

監督:ダニー・ボイル
脚本:リチャード・カーティス
原案:ジャック・バース
録音:サイモン・ヘイズ
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、エド・シーラン 他

ビートルズが消えてしまった世界で、
唯一その曲を知る存在となったシンガー・ソングライターの活躍を
数々のビートルズの名曲に乗せて描くファンタジー作品。


ほっこり。
いやー、よかった。よい映画。
名曲とSF(すこし不思議)と映画って、なんて相性が良いのでしょう!

歌の上手いインド系?主人公が音楽で大成功!な雰囲気から
2018年に大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』がチラつくけれど
内容はああいう感じではなくて、
どちらかというと映画『アバウト・タイム』とか『her』とか、
こう、、、鑑賞者の妄想も同時にはかどる系。

ビートルズがいないってことは、
ビーチボーイズの名盤『ペット・サウンズ』も映画『アイ・アム・サム』も
村上春樹の『ノルウェイの森』もない世界ってこと?

真心ブラザーズの『拝啓、ジョンレノン』も
伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』も奥田英朗の『ウランバーナの森』もない?

2丁拳銃の漫才のつかみも、
ひたらすら『ハロー・グッドバイ』を歌うナイツの漫才もないの?

キース・ムーン亡き後のザ・フーのドラムはいったい誰が??
クラプトンの『レイラ』はギリあるのか…?

……なんていう、浅いビートルズ知識でも妄想がはかどる映画。

(ビートルズ以外にもこの映画の世界では
オアシスやコカ・コーラなどが消えているんだけれど、
これらはビートルズが消えた影響というよりは脚本家がランダムに選んだだけの様子。パンフレット参照)

ついでに、自分が主人公の立場だったら、
歌詞を覚えているビートルズの歌が1曲もない!やばい!とムダに焦る映画。

これが、B'zのいない世界だったら
『ミエナイチカラ』くらいまでだったら歌詞覚えているかも…!
ファンクラブ入る程度には好きだったし!
しかし、私にあの高音は出ないし、ギターの速弾きもムリ!

なんてひとりで高揚してひとりで挫折する映画。


しかし、映画の中盤。
主人公以外にもビートルズを知っている人物が現れると、
もはや暗い未来しか想像できない。

盗作がバレて大炎上、もしくは大金をたかられる…?
やばいやばい…!と手に汗握る展開なわけです(大げさ)

まぁ、結果はほっこりなんですけど。
夢オチでもなければ、元の世界に戻るわけでもなくて。
こういう発想があったかぁ~!いいな~、っていう。

エド・シーランの使い方も上手いわ~っていう。

そんな、妄想はかどるステキな物語にのせて
もはやクラシックともいえるビートルズの至極の名曲が流れるわけですから、
この映画、間違いございますまい!


んで、『イエスタデイ』の余韻を引きずり引きずり観た
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は予想外のおもしろさ。



『ワンス~』の世界にはちゃんとビートルズがいて(多分)、
むしろ舞台設定は1969年だから、ビートルズはまだ解散してなくて、
前年には『ヘルター・スケルター』もリリースされてたんだと思う。

それでも、また現実とは別の世界線で。

こっちもほっこり。


タランティーノ監督だからきっと暴力&グロ!と決めつけて観ていたせいか、
(十分暴力的ではあったけれど)
最後、画面にタイトルがドーンと出た瞬間
思わず拍手しそうになった…!
そういうことかー!ステキ―!つって。

中途半端な予備知識で観たのもよかったんだと思う。

マリリン・マンソンの名前の由来にもなった?
あのチャールズ・マンソンが出てきて、
ポランスキー監督とその妻シャロン・テートの隣人が
ちょっと落ち目の俳優・ディカプリオでそのスタントマンがブラピ。

そんなフワッとした予備知識だけで、
実在の人物と架空の人物の境界はあやふや。

『アイ・アム・サム』のダコタ・ファニングがマンソン・ファミリー役で登場するし、
物語はあからさまにあの事件の日にカウントダウンしていくしで、
なんかイヤだわ~と思いながらみつづけた結果…。

ありがとう、タランティーノ!

ありがとう、リック・ダルトン(ディカプリオ)!
相変わらずカッコいいぜ!ブラピ!

いや~、ディカプリオがあんなにコメディ上手だったとは。
時折ジャック・ニコルソンにも見える不思議。
(セリフを忘れて、自ら編集点?を作るシーンが特に似ている)


フタを開けたら、
まさかのほっこり2本立てで
もう最高。映画最高。

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