撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

バラトンそぞろ歩き (29) Somogyvár の教会

2020-08-20 14:44:51 | 海外生活

 光陰矢の如し、ハンガリー語では「時は飛ぶ (repöl idő) 」と単純に揶揄しているが、

今回のショモジヴァール (Somogyvár) は前回訪れた時が 2007年であったので、実に

歳月はひと回りしたことになる。

不思議なことにバラトン湖のこちら側、南岸にも古い教会が多く在るのだが足が遠

のいている。 新型コロナ様々というべきなのか地元をディスカバーしてみよう。

 

 バラトン湖から20kmも離れているのに、薄っすらとバダチョニ (Badacsony) の

山々が望めたのには、ちょっと嬉しくなってしまう。(手前の湖はバラトン湖ではない)

            ..... Somogyvár 遺跡内の展望台より     Aug. 06 2020

 

  13年前と変わったところと云えば、2015年にオープンしたミュージアムであろう。

 北側のショモジヴァールの丘の麓、徒歩15分の所に設置された。

 

1.ショモジヴァール (Somogyvár) 修道院遺跡

  現在、発掘され復元されている建物(教会と宮殿)の北側に、10世紀の

 アルパード王朝時代に築かれた城塞(城壁は残っている)があった。

 城塞は初代国王イシュトヴァーンの宿敵であったコッパーニ王子の所有する城で

 あったが、ヴェスプレーム (Veszprém) 近郊での戦いに敗北し、ハンガリー国家

 誕生が始まった。

 

 城塞のあった所

 

  建国後の1091年に、聖ラスロー1世(王在位1077~1095年)によって、教会施設

 と修道院がロマネスク様式で建てられ、フランスよりベネディクト派の修道士を招き

 当時はハンガリー国内で最も大きく、ハンガリーのキリスト教の宣教に大いに貢献

 したらしい。               売店で購入した小冊子より借用

 

 教会となりの宮殿

 

 石彫に興味のある方には堪えられない逸品の数々

   

  

 

 遺跡の発掘は、1972~1989年に国立歴史民俗協会によって実施され、新しく出来た

 ミュージアムには興味深い遺品が盛り沢山。

   

 

<ロケーション>

 

 

2.ショモジヴァーモシ (Somogyvámos) 教会遺跡

  建てられたのは12世紀ということなので、前出のショモジヴァール修道院の建設

 後すぐということになる。 建物から後期ロマネスク様式と推定され、八角形の

 見張り塔の役割を持った石塔が特徴。 いつ廃墟になったかは不明であるが恐らく

 オスマン帝国の襲撃によって破壊された後であろう。

<スケッチ>

  

  まったく何もない畑の真ん中でポツンと打ち捨てられた教会。

   ノンビリ草を食むハンガリーの国宝ラッカ羊、本当にこんな所に人の営みは

  あったのだろうかと思えてならない。

 

3.ギュウジ (Gyugy) の教会

   まだ建国されていないアルパード王朝時代の 900年頃に建てられたと云われ、

  ロマネスク様式の祭壇と南門が特徴らしいが、南門は切り取られ破壊されたので

  あろう。 教会内外の壁面には貴重な壁画が描かれていた形跡があるが漆喰で

  塗り潰されている。

<スケッチ>

  

 先ほどのラッカ羊と同様、国宝に指定されている灰色牛はこの辺で多く見掛ける。 

 

  今の教会は 2001~2004年に改修されたもので、前回訪問時と変わっている点は

 丘の麓からの参道が綺麗に整備され、一層、周囲の美しさと調和された。

 

 内陣と壁面に残るフレスコ画

 

  これにて「バラトンそぞろ歩き(29) Somogyvár の教会」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。

 

 

 

 


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
風景の中に・・・ (ひろ)
2020-08-21 11:12:14
こんにちは。
廃墟となった建物、修理されながら使われている建物のどれもが語り掛けるように美しいですね。
静かな美しさは青い空と周囲に広がる森や野のせいでしょうか。自然と調和した教会、心も癒されるでしょうね。

毎回のお楽しみ、羊と牛の登場ですね🎶
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ひろさん (Balaton620)
2020-08-21 14:59:11
おはようございます!
遠くに行かなくとも、自分の周りにいっぱい良い所があるんだなあと再認識させられました。 歴史もいっぱい埋まっているようですし、興味深く、もうちょっと土着してみたいなぁ~と。
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Unknown (まーちん)
2020-08-22 10:30:20
Balaton620さま おはようございます。

いつかど田舎と仰ってましたが本当に何も無い所なんですね?こう言う所で毎日のんびりと過ごされているのですね!
長生きできますねー(笑)。退屈しませんか?
狭せこましい日本を離れてそちらに移られたお気持ち分かる様な気がします。いい所なんでしょうね!?
町に出るのは遠いのですか?
素敵なスケッチ拝見しました有り難うございました‼︎
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まーちんさん (Balaton620)
2020-08-22 14:59:46
おはようございます! 時差が7時間ありますのでこちらは朝になりました。
ここは首都ブダペストからクルマで1時間ほど離れた郊外です。 東・中欧で最も大きな湖のある避暑地なので夏は百万都市になりますので田舎感はなくなりますがシーズンオフは寂しい所ですね。
多分、日本で言えば箱根あたりに似ているかも知れませんね。 最近は道路等も良くなり通勤圏内になりつつありますので、冬以外は退屈さはなくなりました。 山と水(湖)があって自然の豊かさは捨てがたいですね。
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Unknown (maru-peace)
2020-08-24 14:27:33
こんにちは。
今日も素敵な風景にますますハンガリーに、はまりそうです。
今回のスケッチも羊さんや牛さんがいて。ほつこりで
とても楽しいですね。😀
本当に良く描けていて私。、ニッコリしています、(*_*)
たくさんの🇭🇺ハンガリーのこと教えて頂いて有難うございます。、
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Miyan さん (Balaton620)
2020-08-24 15:07:02
おはようございます!
いつもご訪問下さりありがとうございます。
そう言われれば、まだワンズくん達を描いていませんでしたね。 今度、登場させなけばいけませんね。
残暑厳しき折、頑張って下さい。
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Unknown (shoko)
2020-08-25 08:14:30
balatonさん、おはようございます。
ほんとにここに人の営みがあったのだろうかとお書きになっていますが、ほんとですね私もそう思いながら見せていただきました。美しい風景、ありがとうございました。
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shokoさん (Balaton620)
2020-08-25 08:40:44
コメントありがとうございました。
ツワモノどもの夢の跡などとよく言われますが、ハンガリーは負けてばかりの国でしたから、多いんですよ
手つかずの遺跡が。 そういうのを見る度にここで涙した人、笑った人、汗した人が居たのかと思うと当時のことが知りたいと思ってしまいますね。
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